LOVE LOVE LOVE、骨太いロックサウンドで人の深い思いを狂おしく描き切るデビュー・ミニアルバム『ソライロノオト』リリース大特集

ポスト
LOVE LOVE LOVE デビュー・ミニアルバム『ソライロノオト』リリース大特集
空の色はどこまでも青く
青春はどこまでも青くさく
生きることはブルー(憂鬱)
そんな色彩を感じさせる
アルバム「ソライロノオト」
澤本康平(Dr)、寺井孝太(Vo/B)、浦山恭介(G)

INTERVIEW-2-

――今回は寺井さんがほとんどの曲の歌詞を書いてるけど、歌詞を書くとき意識することは?

寺井:前は3人とも書いてたんですけど、3人の書く歌詞の世界はキャラがそれぞれ濃くて、統一感がなくなっちゃう。それで今回は僕が中心で。文字で言うなら、浦山の書く歌詞は明朝体って感じですね(笑)。

浦山:澤本は丸文字(笑)。

寺井:書くとき意識しているのは、シンプルな言葉を使うことですね。それと景色をちゃんと作ること。1回目のAメロと2回目のAメロでどう景色が変わるか、どう時間が経過しているかということを大事にするようにしています。音楽は絵本をめくっていくように聴いてほしいと思ってるので、歌詞の世界にもストーリーがあって、その上でメッセージがあるようにしたい。あと基本的に日本語で書くということもこだわってますね。

――ロックに日本語を乗せるのは難しいってよく言われるけど、LOVE LOVE LOVEの場合はどう?

寺井:曲によっては難しいですね。とくにリフで進んでいく曲なんかは英語のほうが楽です。そもそも僕は日本語で歌いたくなかったんですよ。でも、 “はっぴいえんど” と出会って音楽観がガラッと変わって、日本語を大事にしたいと思うようになった。音楽をやってる理由として、自分を理解してほしい、興味を持ってもらいたいというのがあるんで、それには言葉が大事だと思う。日本語の面白さとか、日本語ならではのあいまいな部分とかが重要だというのも、はっぴいえんどを聴いて感じたことですね。

――3人とも、はっぴいえんどの影響を受けているの?

寺井:みんなそれぞれ違う音楽が好きなんですけど、共通して影響を受けているのがはっぴいえんどなんです。

――みんなまだ若いけど、どこではっぴいえんどに触れる機会があったの?

浦山:僕はもともと 山下達郎 さんがすごく好きで、達郎さんが昔バンドをやってたことを知ってシュガーベイブを聴き、そこから 大滝詠一 さん経由ではっぴいえんどにつながった。日本のロック、ポップってどこから来たのかを探っていって辿りついたんです。

澤本:僕は高校時代の友達に聴かされたのが最初です。聴いてて古いとは思わなかったけど、実はそんなに前の曲だったというのを知ってすごく驚いて、それからずっとハマって聴いてたんです。このメンバーで僕のウチで飲むときとかにもはっぴいえんどをよくかけてたのに、寺井は1年くらい経ってもなかなか食いつかなかった(笑)。

寺井:そのときは酒しか興味がなかった(笑)。その後でCMで「風をあつめて」を聴いて、ええ曲やなと思いました。てっきり最近の曲だろうと思ってたんですが、澤本に聞いたら“ずっとウチでかけてたよ”って(笑)。ちょうど浦山も聴いてた時期だったんで、3人のマイブームみたいになって、かなりハマって聴きました。その共通の部分がこのバンドのベースになってると思います。

――今回のアルバムも、全体にオールドスタイルのロックサウンドになっているけど、音作りでもはっぴいえんどを意識することがある?

浦山:今回は、はっぴいえんど寄りというよりは、ロックバンド寄りという意識で音作りしました。

寺井:“はっぴいえんど熱”も今はそれほどでもないんで(笑)。一時期はかなりサウンドも傾倒していたんですけど、昔のいいものって、どんどん僕たちが進化させていかなければとも思うし。

澤本:傾倒していた頃はけっこうデッドな音だったはずなんですけど、今回はあえて派手めな音にしたり。ただ聴きやすさも重要だと思うので、自然に聴ける範囲でということを意識しました。

――演奏者として、目標とする人、憧れる人ってどんな人?

寺井:僕は レディオヘッド のジョニー・グリーンウッドが好き。コード進行とかフレーズの構成のしかたとかがすごくいい。あとレッチリのフリー。あのベースの気持ちよさは、どうやったらできるのかわからないくらいすごい。

浦山:やっぱり はっぴいえんどの鈴木茂 さんですね。ギタリストとしてもすごいし、音楽とか機材に対するこだわりとか姿勢が好きです。僕も真似して秋葉原に通ってエフェクターを自作しようかと思うくらいです。

澤本:僕は くるり にいたクリストファー・マグワイア。ドラムってこんな細かいことができるんだって、ある意味ショックでした。あと叩いてる姿も楽しそうでよかったんですけど、脱退は残念でしたね。

――結成してからずっと3人でやっているけど、3ピースのバンドにこだわりがある?

寺井:たぶん家族みたいなところがあるんです。決められた運命の中で一緒にいるような感じというか。この3人でやってて面白いと思うのは、僕の頭の中にはやりたい音楽が描かれていて、それをやろうとしてもそこには行きつかない。意外に逆方向に行っちゃうこともあるのが面白いし、それがバンドをやってる意味なんだと感じることもありますね。

――この3人でやってきて、自然に役割分担なんかも決まってきたのでは?

澤本:音楽的にリーダーとして引っ張っていくのは寺井ですね。

寺井:それ以外は僕はどうやら“天然”らしく、あまりいい働きができない(笑)。だから事務的なことなんかは浦山。文書作成とか(笑)。

澤本:明朝体なんで(笑)。

浦山:澤本はご覧の通り“食、食、食”で(笑)。典型的なドラマーキャラですね。どっしり構えて、さし障りないというか、人に害を与えない(笑)。

――では最後に、このアルバム『ソライロノオト』の聴きどころ、そしてアルバム発売後に控えているライヴへの意気込みをどうぞ。

浦山:肩の力を抜いてすごく素直に聴けるアルバムだと思います。とらえ方はそれぞれ違うかもしれませんが、何か伝わることはあると思います。ライヴでも、僕らの武器であるコーラスワークもどんどんアピールしていきたいので、ぜひ見に来てもらいたいと思います。

澤本:とてもカラフルな一枚になったんで、楽しめると思います。聴いてもらって、ライブでも一緒に歌ってもらうとさらに気持ちよくなれると思うので、ライヴにぜひ来てもらいたいです。

寺井:曲って、バンドのもんやと思ってなくて、聴く人のものと思ってるんです。聴く人が景色とか印象を作ってもらえばいいし、そこで初めて曲が生きると思うんです。色々なことを思いながら自分の中で曲を作り上げるような感じで聴いてほしい。そしてライヴでは歌を聴いてほしいですね。僕らはノリだけのバンドじゃなくて、むしろ歌が強みのバンドだと思うんで。ぜひ歌を聴きにライヴに来てください。

取材・文●田澤 仁

特集トップに戻る

この記事をポスト

この記事の関連情報