<TGE DIRECT THIRD>に見るDAITAライヴの魅力とは?

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DAITAは、現在活躍しているプロのギタリストにも影響を与え、リスペクトされるギターヒーロー。SIAM SHADEのギタリストとしてDAITAが弾いていたフレーズを何度となく練習したというギターキッズは数知れない。なぜDAITAがそんなにたくさんのミュージシャンからリスペクトされるのか。その理由は彼のソロワンマンライヴを観に行けば、誰もが理解するだろう。

まだDAITAのライヴを体験したことがない人のために、その魅力を6月16日にO-EASTで行われたライヴ<TGE DIRECT THIRD>を例にお伝えしたい。

6月16日、SHIBUYA O-EASTにて、DAITAのワンマンライヴ<TGE DIRECT THIRD>が行われた。2011年11月20日、渋谷QUATTROでの前回のワンマンライヴでは、演奏されたほとんどの曲がアルバム『DIRECT CHORD』と『DIRECT MODE』からの選曲で、いつも以上にマニアックでライヴハウスに似合う、アグレッシヴなライヴだった。

そのライヴで発表された今回のライヴは、6月9日(ロックの日!)にリリースされたプロジェクトアルバム『DIRECT THIRD』をタイトルに掲げたステージ。毎年、DAITAのバースデー月(誕生日は6月19日)に行っている恒例のライヴでもある。毎年梅雨時期の開催にもかかわらず、これまでは晴れていたのだが、この日は初めての雨模様。ライヴ中のMCでも、「初めて雨が降ったね!」と、DAITAが悔しそうに語る場面もあった。だが、「Emphatic Line」でライヴがスタートすると、外の天気を忘れるほどのトリッキーなプレイが次々に繰り広げられた。

DAITAのギタープレイはライヴでもCDのようなクオリティだ。緻密で繊細、正確である。だが、音源の再現にとどまらないのがギターヒーローたるゆえんであろう。毎回見ていて、DAITAはギタリストであるが、エンターティナーでもあるということを痛感する。良質なエンターテインメントには小細工は必要ない。ダンサーはそのダンスだけで人の心を動かし、シンガーはスキャットだけでも涙腺を決壊させる。そして、DAITAは、ギタープレイで客席をステージに惹き付ける。だから、MCでもそんなに言葉を必要としない。長々喋ることはなく、とても簡単だ。にもかかわらず、本編15曲はあっという間に感じてしまう。DAITAは唄わないが、ギターに唄わせ、言葉の代わりにギターの音に想いを乗せる。

基本、どの曲も熱量は高いが、オープニングナンバー「Emphatic Line」に続いての「Rock'n Roll Driver」「真実と闘争」では熱のこもったプレイ。「FREE」は曲の8割はタッピング奏法で、その神業のような指さばきに思わず息を呑む。曲の終わりのほうでコードを鳴らした瞬間の爽快さ! 緊迫と開放のギャップを感じる演奏にタイトル通りの「FREE」を感じる。

「たまにはこんなマニアックなのもいいよね!」と、DAITAはMCでも言うが、テクニックとしてはマニアックかもしれないが、DAITAの弾くギターは決してマニアックではない。ギターの奏法だとか楽器に詳しくない人が観に行っても楽しめるほど、ギターが紡ぎ出しているメロディは唄いたくなるほどキャッチーだ。まるで言葉が聞こえてくるようでもあり、「Wild Blood」にしろ、自分の中に流れている野性味を喚起させられたり、「Earth Beat」「Breath Of The Sea」では、壮大な大自然の景色が見えて来る。新作「DIRECT THIRD」を軸に、過去音源の楽曲もひと繋がりのストーリーで、まるで台詞のない映画を見ているよう。ライヴ会場であることを忘れ、音の奥にある風景が心にバァーっと広がり、その場所にトリップさせてくれるような感覚に陥った。

こんな風に、歌モノのライヴでは味わえない、独特な世界を体験させてくれるのもDAITAのライヴの特徴だ。一緒に唄ったり、タオルを回したり、そういうライヴとは少し違う一体感。見ている人がそれぞれの解釈で、それぞれの楽しみ方が出来る。そして、技術が高いだけではなく、ギターとバンドの演奏だけで、ここまで集中させ、時間を忘れさせてしまうエンターティナーだからこそ、多くのギタリストたちがDAITAに憧れるのだろう。

最近は、テレビでもなんでも、いろんなことを説明しすぎて、感じることを忘れているように思える。DAITAのライヴは、説明しなくとも、もっと魂の根底で、直感で音楽を楽しめる。テクニックを超越した精神性が強いからこそ、忘れていた本能的な何かを思い出させてくれるのだ。

まさに「Don't think,feel」の精神が息づいている。

取材・文●大橋美貴子
写真●菅野秀夫

●Live Member
佐野康夫(Dr)
大神田智彦(B)
大島俊一(Key)
中野哲靖(MANIPULATER)

<DAITA@Shibuya O-EAST 2012年6月16日>
1.Emphatic Line
2.Rock'n Roll Driver
3.真実と闘争
4.FREE
5.AVG
6.DS Generator
7.WILD BLOOD
8.Earth Beat
9.Breath Of The Sea
10.INNERSPACE
11.CYBER TONE
12.Volcano High
13.Metamorphosis
14.Volplane
15.19 Boogie
EN1.新たなる旅路
EN2.Triumphal Return
EN3.Zenith

Third Project Album 『DIRECT THIRD』
発売日:2012年6月9日
Online Complete Limitation
SMDL DT-12-06-09 \2,500(Tax in)
収録曲
1. FREE
2. AVG
3. DS Generator
4. WILD BLOOD
5. INNERSPACE
6. Rock'n Roll Driver
7. CYBER TONE

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