【BARKS編集部レビュー】風邪ひいたときは、まずGRADO SR60iを処方

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これまでもことあるごとにGRADO(グラド)のヘッドホンをご紹介してきたが、フラッグシップPS1000から人気モデルRS1i/SR325is/PS500、そしてGS1000i…と、高額モデルばかりに注目してしまったがゆえに、こりゃ早急に紹介せにゃあかんと思っていたのがSR60i…、今回はGRADO最安価のエントリーモデルのお話である。

◆GRADO SR60i画像

▲GRADO SR60i。定価¥14,910(税込)というGRADOの中で最も安価なエントリーモデルだが、そのサウンドは一点の曇りなくGRADOサウンド。迷いなきストレートな胸すくようなサウンドだ。

▲GRADO製品共通のことだが、ハウジングは一本の丸棒でヘッドバンドにつながっているだけなので、くるくると回り放題。DJヘッドホンの90度回転するスイーベル機構もびっくり。

▲ハウジングはプラスチック製。高級感は全くないが丈夫で軽量であり、使い心地はばっちり。

いや、自分でも気付いておりますよ「GRADOばかり記事にしてバカじゃねーの?」と。でもね、止まらないのです。もう全機種制覇したい衝動にかられながら、今私はSR60iを頭に乗せてヘラヘラしているわけです。

最下位機種だけに、SR60iは他のGRADOモデルと比べると解像度も落ち、音の立体感にも欠けるのは偽らざる事実。…なのだけど、そういうスペックダウンの残念さは最背面に押しやり、秀でたところを前面にぶっ放すそのキャラがSR60iの凄いところ。ボリュームをくいっと上げてSR60iでドカンと出せば、「え?SR325isとか、要らなくね?」と思えてしまうような、不満要素を寄せ付けない明るく健康的な鳴りっぷりをみせる。もはやGRADOの鑑のようで、これぞGRADOと言いたくなるサウンドを、最下位のエントリーモデルからぶち放つGRADOって、なんだかやっぱり凄い。

はつらつとした炸裂感と抜けの良さは、むしろGRADOで1番なのではないかとさえ思える。キレッキレなサウンドは、どこまでも突き抜ける爽快感を直球で投げかけてくるものだ。オーバードライブしたギターの響きやスネアがスコーンとヌケていく気持ち良さはまさにSR60iの真骨頂で、エントリーモデルにありがちなコモリや抜け切れない頭打ち感とは完全に無縁。雲ひとつない真っ青な青空が広がるイメージだ。

購入において、重要なのは「上位機種と比べて何が劣るのか?」というポイントだと思うが、音は平面的で奥行き感に欠ける点が最大の短所だと思う。逆に音場など気にすることなくノリの良さで音楽を楽しもうとするのであれば、通常音楽を楽しむ可聴領域における周波数帯域の広さは、世のハイエンド軍団に引けを取らない実力を持っている。強いて言えば超低域が弱いけれど、聞いている分には不満を感じさせない勢いがある。耳元でエネルギッシュに鳴らす感じは、GRADOの中でも最も遠慮のないおらおらキャラで、何でもかんでも元気いっぱいに鳴らしまくるちょいと空気の読めない元気炸裂野郎という感じだ。でもね、それで何の問題がありましょうか。

他のモデルと比較するべく、私の完全なる独断と偏見でアイスクリームで例えるならば、PS1000は誰が何と言おうとハーゲンダッツで決まり。GS1000iは濃厚ながら切れ味もいい明治Granだ。SR325isはシャキシャキ感が最高なロッテ爽、一方のRS1iは安定した旨さの明治エッセルスーパーカップ、そしてSR60iは誰が何と言おうとガリガリ君ソーダなのである。どれも大好きすぎる。

GRADOは、エントリーモデルSR60iから最上位機種PS-1000まで、共通して爽快かつ豪快なロックなサウンドを楽しませてくれるブランドだが、仕様とサウンドの傾向には緩やかな相関関係も見え隠れする。かなり大雑把な話だが、勝手にまとめてしまうと、
(1)エアチャンバーに「マホガニー」が使用されるとサウンドに艶が加わる
(2)イヤーパッドが「大きく」なると重みと深さが加わる。
(3)エアチャンバーが「ハイブリッド」になると凶暴性が加算される。
▲左がSR60i、右がGS1000i。GRADOヘッドホンの中で、最もコンパクトなSR60iと大きなGS1000とでは、これほどのサイズの差がある。

▲エントリーモデルSR60i(左)とプレスティージ・シリーズの最上位モデルSR325is(右)。上から見るとほとんどサイズに違いはないが、厚みはこれほどの違いが出てくる。SR325isのハウジングは無共振アルミ合金製。

といった傾向が見て取れる。(1)はRS2i、RS1i、そしてGS1000iのこと、(2)はPS1000とGS1000i、そして(3)はPS1000とPS500の特徴を表わしている。そしてこれらの追加特性を持たないGRADOラインナップのど真ん中を形成するプレスティージ・シリーズ:SR60i、SR80i、SR125i、SR225i、SR325isこそ、細かいことは気にするなというGRADOスピリットを端的に放つコア・メンバーということになる。そしてその良さをシンプルに体現しているのが、末っ子SR60iなのである。長男SR325isと聞き比べると、解像度から表現力、バランスから艶の乗りまで音の心肺能力が全く違うと言わざるを得ないけれど、細かいことを言わなければ、ざっくりと方向性は同じであり、いっそ基本的に同じサウンドと思ってしまえばいい。

最後に今さらながらの注意点だが、音はダダ漏れ、遮音性はゼロという開放型丸出しの特性をもっているので、とても屋外では使用できない。ハウジングはプラスチック製のシンプル&コンパクトなものなので、重量は軽く使用感も軽い。側圧はヘッドバンドの中に入っている鉄板をグニャッと曲げて自分の頭にあわせてクセを付けるというのがGRADO式なので、側圧は自在だ。

GRADOサウンドに興味あるけれど、どうにも高額すぎてなかなか手が出ないという人も多いことだろうが、もう迷わずSR60iを手にしていただきたい。一家に一台、SR60iを。風邪気味で調子悪いときはなんて、薬飲むより、横になるより、ねぎを巻くより、SR60iを大音量で嗜む…これ一発でOKっすよ。いや意外とマジで。病はプラシーボからって言うでしょ?

text by BARKS編集長 烏丸

GRADO SR60i
¥14,910(税込)
・形式:オープンエア
・エアチャンバー:無共振プラスチック
・ダイアフラム:排気型
・ダイアフラム口径:40mm
・周波数特性:20~20,000Hz
・チャンネルバランス:0.1dB
・インピーダンス:32Ω
・ヴォイスコイル:OFC銅線
・感度:98dB
・接続コード:OFC銅線
・接続コード長:2.1m
・本体質量:140g
・総質量:210g
・入力端子:ミニプラグ
・ヘッドバンド:側圧調整板内蔵合成皮革貼
・付属品:1/4インチ標準プラグアダプター

◆GRADO SR60iオフィシャルサイト

BARKS編集長 烏丸レビュー(■イヤホン ●ヘッドホン ◆カスタムIEM ◇他)
◇Astell&Kern AK100-32GB-BLK(2012-11-15)
●オーディオテクニカ ATH-WS99(2012-11-10)
■アトミック フロイドPowerJax+Remote(2012-10-29)

◇VORZUGE VorzAMPduo(2012-10-26)
●ファイナルオーディオデザイン heaven VI(2012-10-16)
●beyerdynamic T 90(2012-10-08)
●GRADO GS1000i(2012-09-30)
●SENNHEISER HD 700(2012-09-16)

◆ACS T1 Live!(2012-09-11)
●オーディオテクニカ ATH-AD2000 ATH-AD1000(2012-09-03)
●GRADO RS1i、SR325is、PS500(2012-08-20)
◆FitEar MH335DW(2012-08-15)
●DIESEL VEKTR(2012-08-07)

◆カナルワークスCW-L51 PSTS(2012-07-30)
●Fischer Audio FA-002W(2012-07-25)
●Pioneer SE-MJ591(2012-07-16)
■GRADO iGi(2012-07-12)
●HiFiMAN HM-400(2012-06-26)

●Klipsch Reference One(2012-06-17)
●GRADO PS1000(2012-06-09)
●ULTRASONE edition 8(2012-06-02)
●PHONON SMB-02(2012-05-28)
■音茶楽Flat4-粋(SUI)(2012-05-20)

●<春のヘッドフォン祭2012>、Fischer Audio FA-004(2012-05-13)
◇Hippo Cricri、Go Vibe Martini+、VestAmp+(2012-05-04)
■ファイナルオーディオデザインheaven IV(2012-04-28)
■フィッシャー・オーディオ Jazz (2012-04-22)
●SHURE SRH1840 & SRH1440(2012-04-16)

■FitEar TO GO! 334(2012-04-08)
◆Unique Melody Mage(2012-03-26)
●Takstar PRO 80、HI 2050、TS-671(2012-03-20)
●klipsch Mode M40(2012-03-15)
■Fischer Audio DBA-02 Mk2(2012-03-07)

◆AURISONICS AS-1b(2012-02-27)
■UBIQUO UBQ-ES503、UBQ-ES505、UBQ-ES703(2012-02-21)
◆Heir Audio Heir 3.A(2012-02-15)
■moshi audio Clarus(2012-02-12)
◆Thousand Sound TS842(2012-02-08)

◆Heir Audio Heir 8.A(2012-02-01)
■CRESYN(2012-01-17)
◆Unique Melody Merlin(2012-01-08)
◆カナルワークスCW-L01P(2012-01-03)
■ファイナルオーディオデザイン Adagio(2011-12-31)

◆LEAR LCM-2B(2011-12-26)
●SOUL by Ludacris SL100、150、300(2011-12-23)
●AKG K550(2011-12-20)
■SENNHEISER IE80 & IE60(2011-12-16)
■DUNU(2011-12-14)

◆カナルワークスCW-L10(2011-12-12)
■オーディオテクニカ ATH-CK90PROMK2(2011-12-09)
◆Ultimate Ears UE 5 Pro(2011-12-06)
■REALM IEM856(2011-12-02)
■ファイナルオーディオデザインAdagio III(2011-11-26)

◇Ultimate Ears用交換ケーブルFiiO RC-UE1&オヤイデ電気HPC-UE(2011-11-25)
●Reloop RHP-20(2011-11-22)
■オーディオテクニカ ATH-CK100PRO(2011-11-14)
■SOUL by Ludacris SL99(2011-11-04)
■Fischer Audio Ceramique(2011-10-25)

■SHURE SE535 Special Edition(2011-10-21)
■JVCケンウッドHA-FX40(2011-10-16)
■BauXar EarPhone M(2011-10-10)
■SONOCORE COA-803(2011-10-02)
◆TripleFi 10 ROOTHリモールド(2011-09-25)

■AKG K3003(2011-09-18)
■Atomic Floyd SuperDarts+Remote(2011-09-11)
■Bowers & Wilkins C5(2011-09-06)
■Westone3(2011-09-02)
◆カナルワークスCW-L31(2011-08-26)

◇ORB JADE to go(2011-08-22)
■YAMAHA EPH-100(2011-08-14)
■NW-STUDIO(2011-08-09)
■NW-STUDIO PRO(2011-08-02)
◆FitEar MH334(2011-07-29)

◆ROOTH SE530×8(2011-07-26)
■Westone ES5(2011-07-21)
●SHURE SRH940(2011-07-17)
◆Ultimate Ears 18 Pro(2011-07-15)
■クリエイティブAurvana In-Ear3(2011-07-06)

◆カナルワークス CW-L01(2011-07-01)
■GRADO GR10&GR8(2011-06-25)
◇SAEC(サエク)SHURE SE用ケーブル(2011-06-21)
■フィアトンPS 20&PS 210(2011-06-17)
■ZERO AUDIO ZH-BX500&ZH-BX300(2011-06-11)

■フィリップスSHE8000&SHE9000(2011-06-03)
■アトミック フロイド(2011-05-26)
■モンスター・マイルス・デイビス・トリビュート(2011-05-20)
■SHURE SE215(2011-05-13)
■ファイナルオーディオデザインPiano Forte IX(2011-05-06)

■ラディウス・ドブルベ/ドブルベ・ヌメロドゥ(2011-05-01)
■ローランドRH-PM5(2011-04-23)
■フィリップスSHE9900(2011-04-15)
■JAYS q-JAYS(2011-04-08)
◇フォステクスHP-P1(2011-03-29)

■Klipsch Image X10/X5(2011-03-23)
■ファイナルオーディオデザインheaven(2011-03-11)
■Ultimate Ears TripleFi 10(2011-03-04)
■Westone4(2011-02-24)
■Etymotic Research ER-4S(2011-02-17)

■KOTORI 101(2011-02-04)
■ゼンハイザーIE8(2011-01-31)
■ソニーMDR-EX1000(2011-01-17)
■SHURE SE535(2011-01-13)
■ビクターHA-FXC51(2011-01-12)
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