【ライブレポート】THE ポッシボー、「横浜BLITZを埋めて、ここにいるみんなと見たい、中野サンプラザでの景色がある。」

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THE ポッシボーの単独ライブ<THE ポッシボー単独ライブ 続・満員御礼宣言っ! ~今度こそガチで勝負だぁ~!!!~(プチ発表もあるよっ)>が、3月30日に新宿BLAZEにて開催され、8月に横浜BLITZへの凱旋公演を含めた東名阪ツアー<THE ポッシボー東名阪ライブツアー2013勝負 ~合計2222名動員でサンプラ押さえっ!!~>の決定が発表された。

◆<THE ポッシボー単独ライブ 続・満員御礼宣言っ! ~今度こそガチで勝負だぁ~!!!~(プチ発表もあるよっ)> 画像

激しさを増す彼女たちのライブは噂に噂を呼び、動員数も急激に増加。夢を諦めない姿勢と応援してくれているファンとの絆を胸にV字回復を見せているTHE ポッシボーにとって、この日の新宿BLAZEは乗り越えなければならない試練だった。2012年12月1日にも彼女たちは新宿BLAZEで単独ライブを開催し、1枚のチケットで2名が入場できるというシステムを採用して、夜公演は満員御礼。しかし、昼公演はソールドアウトまであと一歩届かず、悔しさを滲ませた。

今回の公演は、前回ソールドアウトできなかった昼公演へのリベンジという意味も込められていた。しかも、タイトルの<続・満員御礼宣言っ! ~今度こそガチで勝負だぁ~!!!~>のとおり、今回は前回採用した1枚で2名まで入場制を廃止。700人というキャパシティに真っ向勝負を挑んだ。

ニコニコ生放送でも中継されていた本公演。定刻を過ぎ、「ポッシボー、行きます!」の声でTHE ポッシボーがステージに登場、1曲目は「さぁ来い! ハピネス!」。冒頭から彼女たちはアグレッシブなステージを見せつける。それは集まったオーディエンスに対しての挑戦、自分たちの覚悟をみせているかのよう。そんな姿を目の当たりにして、客席側も黙ってはいない。当然、5人の挑発に受けて立つ構えで、湧き上がる衝動を声にしてそのままステージへと投げ返す。両者のパワーがぶつかり合う最前列は早くも熱気が立ち込め、興奮のつるぼ、もしくは新宿の一角、地下空間に出現したエナジーの火薬庫。一時期、“全力”なんていう言葉がこの界隈で流行ったが、そんな“言葉だけの演出ではないリアル”が展開されていく。

「こんなに満パンな新宿BLAZE、初めて!」

ロビン(岡田ロビン翔子)が叫ぶと、その声は集まった群衆の大声援にかき消される。そう、公演のチケットは、無事にソールドアウトしたことが数日前にアナウンスされていた。

ハットやステッキを使った「I LOVE YOU 私の君」や「いじわるCrazy love」「サヨウナラなんて」では、フェアリーのようなへそ出しスタイルとともに、セクシーなステージを作り上げる(「I LOVE YOU 私の君」のラストに客席へ投げ込んだハットには「Thank You」「大当たり」といったメンバーからの直筆メッセージが書いてあった)。さらに、2月から3月にかけて秋葉原で開催していた<Weekly Acoustic Live>の際に、ロビンをフィーチャーしたものの「ぶっちゃけ、失敗した。」という「幸せの形」のアカペラをこの公演でリベンジ。固唾を飲んで見守るフロアに、5声のコーラスワークが伸びやかな響きで広がっていく。

「We Will Rock You」を彷彿とさせるようなアレンジも聞くこともできた「家族への手紙」を経て、再びライブは熱気を増していく。さっきまで歌声に聴き入って暗闇を作り出していた客席も、色とりどりのサイリウムが輝きながら弧を描いていく。ステージでは、ポッシボーの歌姫・はしもん(橋本愛奈)や安定のあっきゃん(秋山ゆりか)を中心に据えつつ、ごとぅー(後藤夕貴)やもろりん(諸塚香奈実)が、端から端まで動きながら観客に「もっと熱く! もっと激しく!」と求めてマイクを向ける。「ラヴメッセージ!」ではオケまでも暴れだす(?)が、ポッシボーは「この音は何?(笑)」と、音響トラブルまでも楽しみながらライブを続行。歌声に笑い声を混ぜながら、歌うことの楽しさ、ライブの喜びを体いっぱいに表現する。ロビンも1曲の中で、マイクで歌うのと同じくらい(いや、それ以上)客席を煽っていく。

ライブはあっという間に終盤のような盛り上がりをみせて、最後は「卒業式 ~大人になる1ページ~」をしっかりと聴かせる。もっとも、最後といっても、これは第1部の最後。ナイスガールトレイニー選抜7人のパフォーマンスを挟んで、第2部がスタートする。

1部の大きな盛り上がりとなった「HAPPY 15」からの数曲の間に、ニコ生では会場のファンに向けて「現場は体力を温存しろ」といったつぶやきが流れていた。第2部、さらにアンコールにかけて、会場は天井知らずな勢いでボルテージが上がっていく。これを知らずに初めてポッシボーのライブに足を運んで、周りの雰囲気のままに最初から飛ばすと、後半のオイシイところでバテてしまう。忘れてはいけない。ステージに立っているのは、アイドルイベントに出演すると「また無双した」とか「次のグループはやりにくいだろ」と言われてしまうほどに会場をガチアゲしてしまうTHE ポッシボーであり、周りにいるのは、そんな彼女たちを現場で支え続けてきた百戦錬磨のポッシファミリーであるということを。

109で買ったというおそろいのスカジャン姿で、“ヤンキー臭”も醸し出しながらの第2部は、バックバンドを従えての「永遠ファイヤーボール!」から。振り回されたタオルと、ぶつかり合う感情、突き上げる拳と飛び交う歓声。「桜色のロマンチック」ではステージに桜の花びらも乱舞する。

ところで今回、ポッシボーのバックバンドには新たにサポートメンバーが登場した。それが“さわちゃん”こと、バイオリン姉妹Duo・Alcottの澤田昭子。ポッシボーでは出せない大人の色気を纏ってステージへと降り立った彼女に、ファンは“ポッシファミリー”なんだか“さわちゃんファミリー”なんだかわからなくなるほど大興奮。そしてさわちゃんの奏でる流麗な生のストリングスの音色と、ポッシボーの歌声が、また新たなハーモニーを生み出した。

本編最後に披露されたのは、4月10日にシングルリリースされる「全力バンザーイ! My Glory!」。みんな一緒になって全力でバンザイをする光景は、まさに壮観だ。

<夢が遠すぎて 本気でやめようとした時>

一度はTHE ポッシボーを辞めることも考えたあっきゃんが、魂を歌にぶつける。<だって まだ やりたい事 / いっぱーい! いっぱーあーい!>と叫ぶリアリティー。あっきゃんだけではない、ロビンも、はしもんも、ごとぅーも、もろりんも。THE ポッシボーには、THE ポッシボーとして、やりたいことがまだたくさんある。そのために、彼女たちは今、このステージに立っているのだ。

会場の盛り上がりがカメラを通じて画面の向こう側にも伝わったのか、あっきゃんが熱唱する最中に、ニコニコ生放送のほうでは視聴者数が2万人を突破。会場は熱気とともに一体感が増していく。そしてラストはバンドは演奏をやめ、メンバーもマイクを外して、ステージ、客席がひとつになって全力での大合唱。飛んで跳ねて叫んで歌って。1部での盛り上がりを超える熱狂と感動を残して本編は終了となった。

アンコール。まずやってきたのは、THE ポッシボーの単独ライブではいつも登場する“カリスマロックシンガー”シャーク諸塚。女の子ファンからの黄色い歓声が飛ぶ中、シャークは東京ドーム(?)を詰めつくした観衆に向けて言葉をかけ、そして「ありがとう!マジで!」を、さわちゃんのバイオリンの伴奏で届ける……ものの、THE Possible(THE ポッシボーのバンド形態)のメンバーが、全員まさかのエアバイオリン。シャークはいつの間にか手にしていたスリッパでメンバーの頭をはたいて、「だからお前ら売れないんだよ!」「ジョセフか! (※ ジョセフはストューカスことロビンの実兄の名前。スケボーでライブにやってくる)」と、ひとりずつダメ出し。そんなドタバタなステージと見せかけといて、「忘れたら知らんで! シャークもろづか!」をしっかりとキメて、「会社で我慢して、学校で我慢して、ここで我慢してちゃあ、つまらないぜ!」という、なんなんだかよくわからない名言と爪痕を新宿BLAZEに残したシャーク諸塚だった。

喧騒のシャークがステージを降りた後、ロビンから、あらためて会場のオーディエンスに向けて感謝の言葉と、予告されていたプチ発表がなされる。口にすること自体、ものすごくドキドキするという彼女から告げられたのは、以下の言葉だった。

「ポッシボーの次の単独ライブ……横浜BLITZでやらせていただきます! さらに、なんと、名古屋と大阪も行っちゃいます!」

その瞬間、地鳴りのような大きな喜びの声で沸き返る新宿BLAZE。ファンの笑顔を見て、メンバーも瞳を潤ませる。なお、横浜BLITZ公演は8月11日(ロビン曰く“はいー”の日)。名古屋と大阪は横浜公演の翌週となる8月17日と18日で、会場等々は追って発表される。

さらに、このタイミングでツアータイトルも発表された。<THE ポッシボー東名阪ライブツアー2013勝負 ~合計2222名動員でサンプラ押さえっ!!~>と題されたタイトルについて、あっきゃんは「中野サンプラザの最大集客数が2222名なので、東名阪ツアーでこれだけ動員できたら、中野サンプラザをやっと押さえにかかります。」と説明。中野サンプラザ公演“決定”ではなく“押さえ”であることについては、「なぜなら、ビビっているからです。2013年、ポッシボーきてるんですけど、取締役がビビっているんです。」と発言する。会場が大爆笑する中、メンバーの後ろでドラムを叩いていた取締役は下を向いて苦笑い。

なお、このツアーでは、チケット1枚で2人まで入場できる制度が復活。「今、(会場に)いない友だちのスケジュールも押さえてもらったら、1400人。」と、本編全曲新曲で構成される横浜BLITZ公演に向けて、ファンに呼びかけた(※ 1400人は横浜BLITZのスタンディングでのキャパと同じ数字)。

「ちょうど5年前の今日、3月30日がポッシボーの初単独の日で。横浜BLITZで、演らしてもらったんですけど。正直、その時はがむしゃらすぎて。ありがたみがなかった……といったら嘘ですけど、子どもだったから全然わかってなくて。すごいことなんだな、って最近あらためて知って。5年経って、今日。横浜BLITZに挑戦できるチャンスをいただけました。もう絶対、この横浜BLITZを埋めて、ここにいるみんなと見たい、中野サンプラザでの景色がある。」

声を震わせながらも、気を抜いたら溢れ出してしまいそうになる感情を力づくで押し殺し、一言一言、噛み締めるようにしっかりと決意を述べるロビン。その言葉をちゃんと受け止めようと、さっきまでのがむしゃらにはしゃいでいたのが嘘のように、しんと静まり返る会場。

「絶対、“ポッシボーを応援していてよかった!”って言ってもらえるような大きなグループになるんで、みなさん、これからも熱い応援よろしくお願いします!」

頭を下げたメンバーに包み込んだのは、「頑張れッ!」と背中を押すような、温かくもあり、頼もしくもある大きな拍手だった。

観る人を圧倒し、釘付けにしてしまう熱いパフォーマンスを見せるアイドルグループ。生演奏だけでなく、アカペラでもちゃんと歌を届けることができるアイドルグループ。かといって、他のアイドルが真似をしたり、要素を取り入れようとしても、ちょっとやそっとの努力では、到底、THE ポッシボーのライブパフォーマンスには及ばない。そこには、経験や実力だけでなく、幾多の苦難や挫折を乗り越えてきたからこその、伝わってくる想いがあるから。彼女たちが歩いてきたのは、大きく円を描くような遠回りばかりの道だったかもしれない。しかし、そんな道程があったから、今がある。5年前があったから、8月の横浜BLITZ公演にも大いなる理由が生まれる。そしてこれから行なわれる東名阪ツアーは、きっと、中野サンプラザへとつながっている。

公演ラストの曲は、そんなTHE ポッシボーのすべてが始まった、インディーズデビュー曲「ヤングDAYS!!」。メンバーと同じように、周りのファン同士で肩に手をおいて“トレイン”も発生し、誰もが8月のツアーに向けて、気持ちをあらためてひとつにした瞬間だった。

「1年前に私が言った、“中野サンプラザで演りたい”っていう夢物語のような言葉が、少しずつ、すっごい遠くなんですが、見えてきました。ほんとにみなさんのおかげです。ありがとうございます!」── 岡田ロビン翔子

「横浜BLITZは5年ぶりなので、絶対に埋めて、ポッシボー、また上に上がって行きたいと思います。お願いします!」── 諸塚香奈実(終演後のコメント)

text and photo by ytsuji a.k.a.編集部(つ)

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◆THE ポッシボー オフィシャルサイト
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