【インタビュー】井手綾香「音楽でもいろんなことにチャレンジしたいから、まず気持ちを変えて見た目も変えようと思って髪も切っちゃったんです」

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井手綾香が前作「つばさ」から約1年ぶりのシングル「235/消えてなくなれ、夕暮れ」を7月17日にリリースする。この1年、彼女はミュージシャンとして、また一皮むけるための成長過程にあったという。そこから飛び出し、新たな気持ちで音楽に向き合う姿がこのシングルには詰まっている。変化を恐れず、原点も大事にした井手綾香の「今」が詰まったこのシングルについて聞いた。

■自分を責めてもがいていた時間も
■前に進んでいたんだって思うことができた

――髪を切ったんですね。ジャケットの写真でも髪が短い井手さんと長い井手さんが並んでいますが、女性が髪を切るのは意味があることも多いですが、井手さんは?

井手綾香(以下、井手):すごく前向きな気持ちで切りました。髪を切った理由は、私のイメージって、ロングヘアで染めてなくて、化粧も薄くて、服もナチュラルなっていうのがこれまでずっとあったと思うんです。それと同じように自分が唄ってきた曲も、「ヒカリ」や「雲の向こう」みたいに、すごく大きな世界を唄っていて、曲の中には光とか希望が込められていて、前向きっていうイメージがあるなぁと思っていて。それイコール井手綾香だなって、勝手に自分で思ってたんです。たぶんみんながそう思ってるんじゃないかなって。それに自分が縛られてしまって、私は希望や光に溢れた曲を作らなきゃって思ってしまっていて、なかなかそこから抜け出せなくなっていたんですね。

――枠のようなものができて息苦しさを感じていたんですね。

井手:はい。もちろん「ヒカリ」も「雲の向こう」も自分から出て来たものなので、それが井手綾香だっていうのは間違いないんですが、決してそれだけではないんだっていうのを伝えたくて。音楽でもいろんなことにチャレンジしたいから、まず気持ちを変えよう、見た目を変えようと思って髪も切っちゃおうと思ったんですよね。

――実際に切ってみて気持ちは変わりましたか?

井手:変わります! 服も真っ赤とかを着るようになってきたんです。意外と着てみると楽しいって思って。洋服もいろんなものに挑戦したいって思ったし、それと同じように音楽もいろんなものをやりたいって思うようになって。今回のシングルもこれまでの曲よりも音数を減らしてるんです。もっと生っぽく人間味のある音にしたりとか。これまでとは違うことに挑戦しようって思いはすごくありますね。もちろん、髪を切る前からレコーディングはしているんですが、そのときから変わりたいって思いは強かったので。でも髪を切ったのってかなり大きいと思います。切って、一気にフワッと軽くなりましたから。

――この「235」は、まさにそういう曲ですよね。

井手:はい。私が生まれてから235ヵ月経った時に書いた曲ということで「235」と名付けたんです。

――歌詞には「変わりたい」っていう気持ちが書かれていて。

井手:はい。でも、変わる前の自分のことは責めたくなかったんです。悩んでいるときは自分のことを責めて、「どうして自分はこうなの?」「自分の良いところって何なの?」「自分は何のためにここにいるの?」ってすごく考えていたんです。音楽の道に進むのは夢だったし、夢を叶えたいからここに来るって決めたのに、なんで力が出し切れないんだろう、力を出そうと思ってるのに出ないんだろう、そういう自分がダメだし、嫌だって思ってずっと悩んでたんです。でも今考えると、そういう風に悩んでいた時期も、前に進もうと思って一生懸命考えていた時間なんですよね。その時間があったからこそ今の自分がいるし、いろいろ自分を責めてもがいていた時間も、ちゃんと前に進んでいたんだって思うことができて。だから、そのときの自分を責めることはせずに、過去の自分にちゃんと「ありがとう」っていう気持ちを込めて、私は新しい自分を見つけに行きたい気持ちになったから「さよなら」をして。それでPVの中でも髪を切っているんです。

――冒頭にある「さよならをありがとうに込めたら」というフレーズに、いま話してくれた想いがそのまま乗ってるんですね。

井手:はい。いつもなら歌詞はサビから書くことが多いんですが、この曲は唄い出しの言葉から出てきて、決意表明みたいな気持ちで書いています。「これから私は変わって前に進むから見てください!」っていう気持ちで。書いちゃったのでもう進むしかない(笑)。

――サウンドも軽やかですね。

井手:メロディはかなり軽やかに作りました。前向きに。コードもずっと上がって行くコードですし。今まで歌詞でも音作りでも、自分から「今のこの音はあまり好きじゃないな」って思っても言えなかったんです。どうしてもっていうときは勇気を振り絞って言ってましたが、人の意見を気にし過ぎる自分の性格のせいで、自分がやりたいことや本当の気持ちを言えずにいたっていうことが結構あったんです。周りの人がいろいろ私に言ってくれたことって、自分のことを思って言ってくれていたわけで、全部それを受け入れなくてはいけないってことじゃなく、その中から自分の色を見つけなきゃいけない。それを踏まえて自分からやりたいことを言わなきゃいけないし、みんなはそれを待っているんだって気づいて。

――10代のうちから大人の中に入って、そこで意見を言うことって難しいですものね。

井手:そうなんです。どうしても「自分なんて」って思っちゃって。でも自分で曲を書いてるし、唄うのも自分、前に出るのも自分なので。だから、自分がやらなきゃいけない。だから、今回はミックスとかバンドのレコーディング、アレンジの打ち合わせ、歌詞についても、いっぱいやりとりをして。最後までこだわって作りました。

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