【インタビュー】ウラニーノ、3年半ぶりのアルバム『音楽はあるか』で新たなステージの幕をあけた

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ウラニーノ復活。いや別にどこかに行っていたわけではないが、メンバーが2人になり、3年半ぶりのアルバム『音楽はあるか』を完成させ、そのタイトル曲「音楽はあるか」が歴史的ロック・ドキュメンタリー映画『ベイビー大丈夫かっ BEATCHILD 1987』の主題歌に抜擢された今、ウラニーノは新たなステージの幕をあけたと言っていい。70年代のフォークやロックをルーツとしたメッセージ性の強いシリアスなロックサウンドを鳴らしつつ、シニカルなシャレやジョークもふんだんに盛り込んだ、笑えて泣ける感動巨編。“BEATCHILD”の世代へ、そして今の若い世代へ、ウラニーノという特別な希少種ロックバンドの存在価値を知らしめる時は来た。

■僕の性格やクセでど真ん中ストレートが苦手
■でもそれを探りながら作った曲が「音楽はあるか」なんです

──ウラニーノといえばBARKSでは連載コラムでお世話になっておりまして。あれは毎月書いてるんですか。

山岸賢介(Vo&G):いや、なんか、不定期なんですけど。

小倉範彦(Dr):締め切りがないんです。

山岸:毎回、特に催促もなく(笑)。

──あのコラムはめちゃめちゃ面白いです! 毎回身を削ってバンドマンの生活の実態を暴き続けていると言いますか(笑)。

山岸:どこまで書けるかということになってますね(笑)。とにかく楽しく面白く、ほかの人が書かなそうなことを書こうかなと思って。

──いつだったか、“顔は知ってるけど名前が思い出せない関係者と会話しながら名前を探る方法”というエピソードには、激しく同意しましたけども(笑)。相当ハイレベルの文章力だと思うんですけど、もともと文章を書くの、好きみたいですね。

山岸:好きです。本を読むのも好きなんですが、読むほうは全然面白いものではなくて、固いやつが多いんです。純文学とか。僕が書いてるようなやつは、あんまり読まないです。エッセイとかは。

──歌詞を書く時は、また違った頭の働かせ方ですかね。

山岸:歌詞の時も文章と似てるところはあるんですが、構成はまったく別です。ただ、読んでくれる人にこう思ってもらいたいとか、ちょっと計算しながらやるところは、文章も歌詞も同じかなと思います。

──なるほど。さてアルバムの話に入りますが。久々ですね。

小倉:前回の1stアルバムから3年半ぐらいですね。ようやく。

──3年ぐらい空ける人は珍しくないですけど。メジャー1枚目と2枚目でこれだけ空くと、おいおい大丈夫かと(笑)。

小倉:一応メジャーです。移籍もしてません(笑)。

──話せば長いと思うんですが、実際どういう感じで1stから2ndへと向かって行ったんですか。

山岸:前回の1stには12曲入っていて、その時のものを出し切った感があったんです。そのあとは、同じようなものを出しても結果は同じだろうという思いがみんなにあって、どこかしら変えなければいけないという気持ちは僕自身にもありました。それでどう変えるかをいろいろ試行錯誤してたら、3年経っちゃったみたいな感じです。

小倉:端折ったね(笑)。

山岸:まぁでも、苦しかったと言えば苦しかったですね。曲は作れてはいたんですが、“いいけど、今までと一緒だよね”というような感じになっちゃって。どうしたらいいんだろう? というのを、ずっと探ってました。

──自分のやりたいこと、周りが求めること、時代が求めること…そういうものの接点を探す作業というか。

山岸:それは、誰しもそうだと思うんですけどね。

──そこで2011年の震災が、一つのターニングポイントになったという話を聞きました。

山岸:そうですね。今回の表題曲「音楽はあるか」というのは、震災がなかったらできなかった曲なので。大きな出来事でした。曲を作らなきゃいけない時期と、ちょうど時期が重なっていて。アーティストはみんなそうだったと思うんですが、今こそ音楽なのか、こんな時に音楽は二の次なのかと、みんな考えたと思うんですよ。そのタイミングで「音楽はあるか」と書いたんですが、僕自身も結局答えはわからなくて、わからないなりに書いた曲です。

──問いかけですよね。「音楽はあるか」ですから。それは自分に向けての問いかけでもあるという。

山岸:自分に向けてでもあり、聴いてくれる人に対してでもあり。問いかけというよりも、切なる希望というか、「音楽があってほしい」という前提で書いたんですけどね。あってほしいと思うから迷うわけで。

──この曲は映画の主題歌でもあるので、あとでもう一度詳しく聞きます。どうですか、小倉さん。今回のアルバムの制作については。

小倉:震災のこともあって、曲を作れない時期もあったり、いろんな苦しみも見てきたので。全体を通して聴くと、今まで通りのウラニーノのアルバムなんですよね。1曲1曲が独立した物語であることは変わってないんですが、何か1曲がないとアルバムに持っていけないという流れだったんですよ。

──アルバムの芯になるような?

小倉:そうです。それが何なのか?をずっと探っていた感じです。

山岸:よく言われたのは、おまえは変化球をいろんなコースに投げるけど、“ど真ん中のストレートがない”と(笑)。それはすごくわかりやすい表現で、僕の性格やクセで、どうもそこを避けるところがあって。ど真ん中ストレートが苦手で、どこかひねくれた表現にしたいという…。ど真ん中ストレートというものが、ネガティヴな意味でありきたりだったり、わかりやすすぎたり、そういうふうにとらえていたので避けていたと思うんですけど。でも決してそうではなく、誰にもドスン!と届くものを、ということだったと思うんですよ。結果的に、それを探りながら作った曲が「音楽はあるか」で、ど真ん中かどうかはわからないですけど、アルバムの核にはなったかなと思います。

──ほかの曲も、基本的に今回は直球が多いと思います。直球で、コースをいろいろ突くというような。

小倉:わりと攻めてますね。僕らなりに。

──“僕の歌にはどんな意味があるんだろう”というような言葉がいっぱい出てきます。「ブランクミュージック」もそうだし、「無題」もそうだし。「愛してる」もそうかな。そういうストレート系の曲がいくつかあって、「音楽はあるか」が一番ズバッと胸に響くという感じがします。

山岸:そう考えると、3年半もあったんですけど、寄せ集めてみるとコンセプチュアルなアルバムになったのかなという。それは感じますね。

──何かサウンド的な楽しみや、新たなチャレンジや、そういうものがあれば。

小倉:やっぱり佐久間(正英/プロデューサー)さんとの仕事ですね。ドラムにすごいうるさい人で、僕なんかペーペーだから最初は緊張してたんですが、何回もレコーディングしていくうちに、僕の良いところと悪いところを指摘してくださっって。今回のレコーディングで成長できたという感じはあります。

──ちなみに、どこをほめられたんですか。

小倉:ドラマーって目立ちたがり屋で、自分のエゴをどんどん出しちゃう人が多くて、“だから年を取るごとにダメになっちゃうんだよ”っていう言い方をされるんです。上手くなりすぎたりとかして。でも大切なのは“自分はこれしかないんだ”というものを作ることだと。僕の場合は、最初はリズムキープもできなくて、それがなんとかできるようになって、それをどんどん自分の中で消化していってるというのを、佐久間さんが感じてくださったのか、すごいほめられて。“小倉くんは素直にやってるのがすごくいいね”って言ってくださったのがすごいうれしかったです。

──佐久間さんらしい。いい言葉です。

小倉:上手くなるってどういうことなんだろう? って考えたりしました。それはまだ全然わかんないですけど。面白いですね、楽器というのは。ギターもそうだと思うんですけど。

山岸:今はレコーディング技術がすごいので、何でもできちゃうんですよ。でも佐久間さんに「音楽はあるか」でギターソロを弾いてもらった時に、全然フレーズも決めずに3回ぐらいやってみて、“違うなー”とか言って、タバコ吸いに行って、帰ってきてもう一回やって。毎回全然違うことを弾かれるんですよね。ミスタッチとかリズムがよれたとか、そういうことじゃないんだということを教えられて、本当に魂が乗ってるようなギターで、“こういうことだよな”って気づかされました。

小倉:アナログの時代を生きてきた方なので、一発勝負という度胸はありますね。そう考えると、昔のレコードを聴くとすっごい感動しますよ。60年代70年代の音楽を聴くと、寒気がしてくるぐらいで。長い曲もあるじゃないですか。

山岸:クリックも使わずに。

小倉:まだまだ、日々勉強ですね。

──でもウラニーノはずっと、そういう生々しい人間らしさみたいなものを音にするということをやってきてるバンドだと思います。

小倉:そうですね。そこをもう12年ぐらいやってるので。味となり、武器となってくれればいいんですけど。

◆インタビュー続きへ

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