<HighApps SPECIAL!! ~SPRING ROCK PARTY 2015~>東京公演、15組が堂々たるステージ

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▲GOOD ON THE REEL

今年のHighAppsもあっという間に折り返し地点。High STAGE後半戦の先頭を切るのはGOOD ON THE REELだ。ステージ中央で足をピタリと揃え、ハイトーンヴォイスで歌い上げる千野の姿は実に独特。観客もそんな彼の様子に引き込まれるようにステージに見入っている。精一杯歌声を届けようとする千野のカリスマティックな存在感が目立つが、それを支える演奏陣も素晴らしい。パフォーマンスこそ控えめだが、確固たる自信のようなものがにじみ出ている。終盤のMCでは、6月3日にミニアルバムをリリースし、7月には東名阪2デイズツアーが開催されるという嬉しい報告も。千野が最後に歌い始めたのは“ハッピーエンド”。<私達はいつでも ハッピーエンドを待ってるの>と繰り返されるフレーズが胸に染みわたる。演奏後、上手下手そして、中央に深々とフロアに向かってお辞儀をしてステージを去る千野の姿が印象的だった。


▲Sawagi

ロックからジャズ、ファンク、エレクトロまでを横断し、ダンサブルなサウンドを鳴らすインスト・バンド、Sawagi。ライヴの冒頭で雲丹亀卓人(B)も語っていたが、今日はアコースティック・バージョンでのライヴという趣向である。1曲目の“22”からやや大人びた雰囲気を醸し出し、やはりいつものイメージとは一味違う。その流麗なグルーヴに乗ってステージ前方の観客はゆったりと踊り出す。“Thonis”ではnicoの叩き出すゆったりとした、それでいてタイトなビートが心地良く、他の3人もそのビートに乗って、心地良さそうに演奏している。ラストに披露した“light”。序盤はベース、キーボード、ギターで静謐なサウンドを奏で、途中、ドラムが加わると一気に躍動感を増していく。その後も静と動を対比させるかのように、ダイナミクスを駆使したアンサンブルを聴かせた。その堂々たるステージングとサウンドは、風格を感じさせるものだったと思う。


▲Kidori Kidori

夕刻を過ぎ冷えてきたテントステージであるApps STAGEの観客に「寒いな。すぐにあっためるで!」というマッシュ(Vo,Gt)の一言から、変拍子極まれりな“Come Together”でスタートしたKidori Kidori。3曲目“Take Me Home,Country Road”のカバーを妙なセンチメンタリズムとサイケデリアが残るコード感で聴かせるセンスは、ホントにユニークで深い。中盤には6月3日に3年ぶりとなるニューアルバム『![雨だれ]』のリリースを発表し、新曲“なんだかもう”へつなぐ。そして、シンプルなギターリフと表情豊かなベースが、ぱっと聴き懐かしさもある“ホームパーティ”の熱をどんどん熱くしていく。立て続けに裏拍のレゲエのリズムが冴える“Watch Out!!!”を演奏し終わったマッシュの「早いな、もう次で終わりです」という一言以上に、ファンから落胆の声が上がったのが、今日をもって藤原がサポートを終え、お互いまた別の道を歩んでいくという事実。そしてラストはこの曲の歌詞に悩み、完成できたことでバンドの矢印が見えたという“テキーラと熱帯夜”。記念すべき終わりの始まりに惜しみない拍手が鳴り響いたApps STAGEだった。


▲SAKANAMON

「この後にやるんでよろしくお願いします!」とサウンドチェックの時点でフロアに熱烈アピールしたのはSAKANAMON。今回のGUEST ARTISTだ。オープニングナンバーは“マジックアワー”。初っ端から3人もフルスロットルでガンガンに攻め立てる。限られた時間を少しでも無駄にできないとばかりに、次々と楽曲を繰り出す。MCでやっとひと呼吸置いてからプレイしたのは、4月15日にリリースされる最新作『あくたもくた』から“ぱらぱらり”だ。中国風のギターフレーズがかなりキャッチーで、相当耳に残るグルーヴィな1曲。これはアルバムの内容もかなり気になる。ここで縦ノリのダンスチューン“TOWER”。「みなさん!よかったら手を上げてください!」という藤森の合図と共に一斉にフロアの手が揺れ、終盤のコーラスパートではフロア全体を巻き込んでラララの大合唱。最後はこの日一番のダンスチューン“アリカナシカ”で締め。ライヴ巧者らしさを存分に見せつけたステージだった。


▲フレデリック

Apps STAGEのトリを飾るのはフレデリック。 BPMの速さで踊らせる・飽きさせないタイプのバンドとは違って、ディスコファンクなノリを持つ彼らの音楽はすっかり、その中毒性で客層にも浸透した印象。中盤、三原康司(Ba,Cho)が、去年は同じ場所で一番手、今年はトリを務められることへの感謝を述べつつ、“プロレスごっこのフラフープ”を挟み、目下の新曲である“オワラセナイト”で、これまた中毒になりそうなサビを投下してくれた。ラスト“オドループ”のイントロから、赤頭隆児(Gt)のトリッキーなギターフレーズもキャッチーに響き、サビの突破力の凄まじさや、ファンの手拍子の見事さにも驚いたり笑ったり…。間口は広く、入ると深いフレデリックの世界に、大トリを待たずに体力を使い果たした人をたくさん見た。


▲KANA-BOON

トリを飾ったのはKANA-BOON。フロアを埋め尽くした観客の大歓声をSE代わりにメンバーがステージに現れる。彼らはこの日の最後に相応しい、堂々たるステージを展開。早くも中堅バンドの風格すら漂わせる横綱相撲を見せた。KANA-BOONはまだ2枚しかフルアルバムを出していないバンドだ。しかし、この日のセットリストは、多くの邦楽ロックファンが耳にしたことがあるであろう楽曲ばかりで構成されていた。しかも、演奏の質も高い。派手なパフォーマンスではないが、一人ひとりのプレイはかなり安定したもの。一切のブレを感じさせないシュアな演奏を見せつけた。4つ打ちを駆使するバンドの生命線でもあるグルーヴは、こうして支えられているのである。一旦はステージを後にした4人だが、アンコールの手拍子に応えて再び登場。最後はキラーチューン“ないものねだり”。「みなさん、歌は歌えますかー?」という谷口の呼びかけで、フロアは大合唱。メンバーがステージから去った後も、フロアからは満足そうな、そして一日の終わりの寂しさを吹き飛ばすかのような笑い声がいつまでも鳴り響いていた。


▲かえるの「ぶっち」

最後の最後にステージにはHIP LAND MUSICが手掛けるUstream番組「夜のぶっちスタジオ」のMC、かえるの「ぶっち」が登場。閉幕宣言を告げ<HighApps SPECIAL!! ~SPRING ROCK PARTY 2015?」は終了した。

次回のHighAppsは全国9カ所に渡るツアー、<HighApps TOURS 2015>。Kidori Kidori、 Hello Sleepwalkers、The Flickers、フレデリック、Homecomings、ユナイテッドモンモンサン、LAMP IN TERRENの出演がすでに発表されており、HighAppsオフィシャルサイトでは4/15までチケット先行を実施中。HighApps SPECIALの熱気をライブハウスに凝縮したツアーを体感したい方は早めにチケットを確保しよう。

Photo:山川哲矢、鈴木公平、Viola Kam (V’z Twinkle Photography)
Text:林 拓一朗/FIX、イシハラマイ、竹内伸一、石角友香、阿刀大志

<HighApps SPECIAL!! ~SPRING ROCK PARTY 2015~>
東京公演 セットリスト

■ユナイテッドモンモンサン
1.Base Ball Girl
2.星に願いを
3.星になって
4.Pazzle Game
5.君だけのキス
■avengers in sci-fi
1.Yang 2
2.Riders In The Rain
3.Tokyo Techtonix
4.Sonic Fireworks
5.Citizen Song
■LAMP IN TERREN
1.portrait
2.ランデヴー
3.ゴールド・ルーズ
4.緑閃光
5.ボイド
■チーナ
1.はじまる
2.Granville Island Market
3.tokyo yu-ei girl
4.アンドロイド
■a flood of circle
1.KIDS
2.Daincing Zombiez
3.Golden Time
4.ベストライド (新曲)
5.GO
6.シーガル
■The fin.
1.Illumination
2.The End of the Island
3.Veil
4.Night Time
5.Till Dawn
6.Days With Uncertainty
■THE ORAL CIGARETTES
1.STARGET
2.ハロウィンの余韻
3.エイミー
4.大魔王参上
5.Mr.ファントム
6.起死回生STORY
■Predawn
1.Keep Silence
2.霞草
3.Suddenly
4.Autumn Moon
5.Over the Rainbow
■The Flickers
1.midnight express
2.white heat
3.nova
4.techno kids
5.lovender
6.love in the music
■GOOD ON THE REEL
1.カルキニクハ
2.夕映
3.ただそれだけ
4.ゴースト
5.ハッピーエンド
■Sawagi
1.22
2.MOTOR POOL IS NOT DEAD
3.Thonis
4.light
■Kiori Kidori
1.Come Together
2.NUKE?
3.Take Me Home, Country Roads(cover)
4. なんだかもう(New)
5. ホームパーティ
6. Watch Out!!!
7.テキーラと熱帯夜
■SAKANAMON
1.マジックアワー
2.幼気な少女
3.ミュージックプランクトン
4.空想イマイマシー
5.ぱらぱらり
6.TOWER
7.アリカナシカ
■フレデリック
1.SPAM生活
2.ディスコプール
3.ふしだらフラミンゴ
4.プロレスごっこのフラフープ
5.オワラセナイト
6.オドループ
■KANA-BOON
1.タイムアウト
2.ウォーリーヒーロー
3.なんでもねだり
4.盛者必衰の理、お断り
5.フルドライブ
6.シルエット
EN.ないものねだり


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