【インタビュー前編】純白の女帝ホワイト・エンプレス、「唸ったり吠えたりだけのシンガーではないわ」

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5月12日(火)渋谷クラブクアトロで、ベルフェゴールとのジョイント公演<ロック・オブ・ケイオス>、5月14日(木)には原宿アストロホールでホワイト・エンプレスの単独公演が行われる。元クレイドル・オブ・フィルスのポール・アレンダー(G)と元ルナ・モーティスの女性ヴォーカリスト、メアリ・ズィマーを中心としたこのバンドは、デビュー・アルバム『純白の女帝』がセンセーションを呼び、来日が熱望され初の日本上陸を果たすことになった。

◆メアリ・ズィマー画像

初来日公演に先駆け、PR来日したメアリー・ズイマーは、秋葉原で海外向けの写真撮影、TV出演など精力的にPR活動を行っていたが、そんなメアリーが我々の取材に応じてくれた。

インタビュー前編ではバンドの成り立ちと“純白の女帝”のコンセプトについて語ってもらった。

──ポール・アレンダーと知り合ったのは、どのような経緯ですか?

メアリー・ズイマー:2013年の春、クレイドル・オブ・フィルスがセカンド・ヴォーカリストとして女性シンガーを探していて、私に話が来たことがきっかけだった。ポールと知り合ったのはその時だけど、その何年も前からクレイドル・オブ・フィルスのライヴは見たことがあったわ。彼らの音楽とホラー映画を思わせる世界観が大好きだったし、まるで夢のようだったけど、そのとき私はちょうど大学の卒業がかかった時期で、留年や中退はしたくなかった。それで辞退することにしたのよ。ポールがミネアポリスに住んでいたこともあって、「また何かあったら一緒にやろう」って話していた。彼は新しいプロジェクトについて話してくれた。何人かヴォーカリストを試してみたけど、適任者が見つからないというんで、デモを聴かせてもらうことにしたのよ。ヴォーカルの入っていないベーシックなデモだったけど、吹っ飛んだわ。リフもアレンジも、既に完成されたものだった。

──あなたが影響を受けたヴォーカリストは?


メアリー・ズイマー:アット・ザ・ゲイツのトーマス・リンドベリ、それからカーカスのジェフ・ウォーカーから多大なインスピレーションを受けた。彼らのヴォーカルはハーシュだけどありったけの感情が込められていて、初めて聴いたときは自分の耳を信じられなかった。私が大学で学んでいたのはオペラなどだったから、あんな歌い方は聴いたことがなかったしね。でも実はクラシックとデス・ヴォイスの発声法は、決して大きく異なるものではないし、最高のヴォーカル・コーチに教わったことで、凄く上達したわ。『The Zen Of Screaming』という教則DVDを出している、メリッサ・クロスという先生よ。アーチ・エネミーのアンジェラ・ゴッソウやオール・ザット・リメインズのフィル・ラボンテ、トリヴィアムのマット・ヒーフィー、スリップノットのコリー・テイラー、ラム・オブ・ゴッドのランディ・ブライズ…あらゆるメタルのビッグ・ネームが彼女のコーチを受けているわ。面白いことに私の場合、彼女からはスクリームよりも普通声のロック・ヴォーカルで多くを学んだけどね。

──アルバム『純白の女帝』では、デス・ヴォイスからオペラチックな歌唱まで、多彩なヴォーカルを聴くことができますね。

メアリー・ズイマー:デモで歌うとき、どんなヴォーカルを求めているのかポールに訊いたら、「君の思うように歌ってくれ」と言われた。それで自分にできるあらゆるスタイルで歌ってみたら、それが気に入られたのか、「ホワイト・エンプレスを公式なバンドにしよう」と提案してきたのよ。アルバムが出たとき、けっこう誤解された。スクリーム・ヴォーカルはポールが歌っているんじゃないかって(苦笑)。もちろんアルバムのヴォーカルはすべて私のものよ。私は大学で声楽を専攻していたし、9年間ヴォーカル・コーチを仕事にしてきた。だから唸ったり吠えたりだけのシンガーではないわ。

──クレイドル・オブ・フィルスから参加オファーがあった時、大学で音楽を学んでいたのですか?

メアリー・ズイマー:いや、その時は工学部で再生可能エネルギーを専攻していた。風力・潮力発電とか、燃料を必要としないエネルギーについて研究したのよ。だから音楽と工学、2つの学士号を取得しているわ。当時は自分の本業がメタル・シンガーになるとは考えていなかったけど、今ではホワイト・エンプレスでのキャリアを真剣に考えているし、胸を張って本業だと言えるわ。

──ホワイト・エンプレスの“純白の女帝”というコンセプトは、どのようにして生まれたのですか?

メアリー・ズイマー:私が参加する1年以上前から、ポールが徐々に創り上げてきたものよ。でも私が合流して、何人かのヴィジュアル・アーティストやコスチューム・デザイナーと話して、コンセプトを固めていった。“純白の女帝”の顔をデザインしたのはミス・ラクーネというポーランドの女性アーティストだった。そうしてアルバムを完成させるまで1年間かかっているから、決してすべてがスムーズに進んだわけではなかったのよ。いろんな試行錯誤を経て作ったのが『純白の女帝』だった。

──純白のヴィジュアル・イメージや帝国の盛衰、“スヴェンズ・タワー”という塔が登場するなど、北欧的な雰囲気がありますね。

メアリー・ズイマー:そうね、メタルには古城や叙事詩など、ヨーロッパ的なイメージが似合っているし、ある程度意図したものだと思う。でも実は“スヴェンズ・タワー”は、私が住んでいるウィスコンシン州にあった塔なのよ。ドアー半島にスヴェンズ・ブラッフという断崖があって、そこに塔があった。今はもう解体してしまったけどね。でもウィスコンシン州と北欧は秋から冬にかけて極寒なせいか、メタルが盛んという点で共通しているのよ。私が住むミルウォーキー、それからポールが住んでいるミネソタ州ミネアポリスは内陸部で、暖流がないから、1年の半分は冬で、マイナス45度まで下がるわ。

──バンドのバイオグラフィを読むと、「戦士は目を覚まし、どうにか膝立ちをした…」など、ミルウォーキーの話題はまったく出てきませんね。

メアリー・ズイマー:だってバンドのバイオグラフィって、だいたい退屈でしょ?「元○○のギタリストで、どこ出身で~」とかではつまらないし、私の友達のライターで、ヴィタ・ノヴァのシンガーでもあるVKリンにバイオグラフィを書いてもらったのよ。ダーク・ファンタジー的な物語で、気に入っているわ(メアリとVKは“グリッターモーティス”というユニットも結成している)。当初、メンバー全員が正体を隠して、幻想的な世界観を作ろうと考えていたのよ。でもソーシャル・ネットワーキング全盛のこの時代では、隠し続けるのは無理だと思った。ゴーストみたいなバンドが正体不明を貫き通しているのは本当に凄いわね。


後編では5月に行われる『ロック・オブ・ケイオス』と初来日公演と単独ライヴ、そしてバンドの向かう先について語ってもらおう。


<伊藤政則のロックTV! Presents BURRN!創刊30周年記念『ロック・オブ・ケイオス vol.1』「ベルフェゴール vs ホワイト・エンプレス」>

5月12日(火)
@東京 渋谷クラブクアトロ
6,800円(税込/1ドリンク代別途)
開場18:00 開演19:00
CD購入者来場スペシャルプレゼント
・ベルフェゴール / ホワイト・エンプレス バンドロゴ入りマフラータオル
・ワードレコーズダイレクト クーポンチケット 1,000円分
【日本国内盤CDどちらかを会場に持参し入場された方全員対象】
[2014年8月6日発売]ベルフェゴール『コンジュアリング・ザ・デッド~屍者召喚』
[2014年10月1日発売]ホワイト・エンプレス『ライズ・オブ・ジ・エンプレス~純白の女帝』
[問]クリエイティブマン 03-3499-6669

<ホワイト・エンプレス 単独来日公演>


5月14日(木)
@原宿アストロホール(東京)
6,300円(税込/1ドリンク代別途)
開場18:00 開演19:00
※ミート&グリート開催
【日本国内盤CDを会場に持参し入場された方全員】
[2014年10月1日発売]『ライズ・オブ・ジ・エンプレス~純白の女帝』

<ベルフェゴール 単独来日公演>


5月13日(水)
@原宿アストロホール(東京)
6,300円 税込/1ドリンク代別途
開場18:00 開演19:00
ミート&グリート開催
【日本国内盤CDを会場に持参し入場された方全員】
[2014年8月6日発売]『コンジュアリング・ザ・デッド~屍者召喚』
[問]クリエイティブマン 03-3499-6669

◆ホワイト・エンプレス・オフィシャルサイト
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