幕張メッセで1万5000人が約10時間熱狂。<ビクターロック祭り~2016~>

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ロック祭り中盤戦、唯一3年連続出演となるDragon Ashが登場。情熱的なビートとアグレッシブなアンサンブルで歓喜に沸き返るフロアを、Kj(Vo・G)のシャウトがさらに揺らしていく。「屋根ぶち破るぐらい飛び跳ねろ!」というコールとともに叩き付けた「AMBITIOUS」の沸き上がる観客の歌声に、満足げに親指を立てるKj。BOTS(DJ)のスクラッチとともに流れ込んだのは「百合の咲く場所で」。ばりばりと空気を震わせるKjの絶唱と魂のロックサウンドに応えて、BARK STAGE狭しとオーディエンスの手と歌声が突き上がる。熱いステージの最後を飾ったのは「Fantasista」。観客丸ごとロックの彼方へと導いていくような、強さと激しさに満ちたアクトだった。


オリジナルグッズ『INAHO(イナホ)』を揺らしまるで田園風景さながらの不思議な空間に、突然ほら貝の音が響き渡った。現れたのは、今年で2回目の出演となるレキシ。「何だ、そのイナホの数は? ありがとね。ケビン・コスナーです!」と、ウィットに富みまくった挨拶を経て、1曲目「狩りから稲作へ」。誰もが知っている名曲の大胆な引用も連発、お約束のコール「キャッツ!」もバッチリ決まった。「せっかくなので十二単衣に……」と紫式部に変身してから届けられたのは、もちろんあの曲「SHIKIBU」。ラストに披露された「きらきら武士」はパワフルに躍動するビート、ソウルフルな歌声が、人々のダンス衝動を果てしなく加速していく。圧倒的な一体感を生み出しながらラストナンバー「きらきら武士」へと辿り着いた瞬間、さわやか極まりない余韻が会場全体に広がっていた。


岸田繁のアコギでスタートしたくるりは、「グッドモーニング」でゆったりと1曲目を聴かせる。そこから「Morning Paper」「Race」「ロックンロール」「Hometown」と、04年のアルバム『アンテナ』を頭から5曲目まで披露。「ロック祭りということで、普段はフォークソングをやってるバンドなんですが、今日はロックを用意してきました(笑)」と岸田は言いつつ、「すけべな女の子」でまたも強靭なグルーヴを響かせる。「まだレコーディングもしてへん曲やけど、やります。シングルとかでも出ません。幕張の思い出にしてください」と、「どれくらいの」という新曲をプレイし、スケール感のあるリズムとメロディに会場から拍手がなり続けた。


BARK STAGEのトリを飾るのは、2度目のヘッドライナーを務めるサカナクション。ステージ前面のPCの前でスタンバイしたメンバー5人が繰り出す1曲目は「ミュージック」。曲中の暗転とともにバンドセットに切り替わると、その音世界はよりいっそう肉体的な躍動感を帯びて、BARK STAGEの空気を刻一刻と熱く震わせていく。「帰ってきました! サカナクションです!」という言葉に続けて、「アルクアラウンド」でオーディエンス丸ごとクラップと大合唱の嵐へと巻き込む。立て続けに披露した「モノクロトウキョー」の曲中に「ビクター!」のコールを盛り込み、日本舞踊の踊り子を呼び込んで「夜の踊り子」を高らかに響かせ、レーザー光線舞い踊るメッセの頭上を高々と指し示す山口。その姿はまさに、ロックとポップの未知の可能性を力強く開拓していく冒険者を思わせるものだった。和太鼓のバチを手にした岩寺&草刈の太鼓乱れ打ちが轟く「SAKANA TRIBE TRANCE MIX」では、山口がエレクトリック・ポイを回転させると「ビクターロック祭り」の文字が。そこからノンストップミックス状態で「アイデンティティ」へ突入、アウトロとクロスフェードする形で「ルーキー」へ流れ込んだ後、「新宝島」のエモーショナルなアンサンブルとともに「なんだかんだ言って、僕たちビクターが大好きです!」と叫び上げた彼の言葉に、ひときわ熱い歓喜の声が湧き起こった。鳴り止まない手拍子に応えて再登場した5人。アンコールで鳴らしたラストナンバーは「Aoi」。ハイブリッドな構築美を強烈にドライブさせる5人のバイタリティが、BARK STAGEを目映く彩って――終了。現在はツアーの真っ最中、サカナクションの「その先」への期待感に胸躍る、最高のステージとなった。
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