【インタビュー】ザ・チョッパーズ・レボリューション、三位一体による攻めの新作『3B』誕生

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▲鳴瀬喜博

■新しい自分を発見できた
■これは、ジャズの偉い人とかにやらせるコード進行だよな(笑)

――5曲目の「H.H.B」は、IKUOさんが書かれたファスト・チューン。

IKUO:僕は前回「Pure Smile」という曲を書いたんですけど、「H.H.B」はパターン的には一緒なんですよね。テーマは、速い曲(笑)。速い曲が欲しいというメンバーのリクエストに応えて作りました。今回のテイストとしては、僕の中にはそのタームでマスターしたテクニックを形にしたいという想いがあって。僕はYouTubeとかを見て新しいテクニックと出会うと練習したり、実験的に採り入れてみたりするんですよ。ここ最近よくやっているのは、左手でタッピングしてラテンのリズムを刻んで、右手でスラップをするというテクニック。ヴィクター・ウッテンが、よくやっているプレイですよね。それをやりたくて、無理矢理はめ込みました(笑)。

鳴瀬:それを、ものすごい速さでやっているという(笑)。しかも、ずっとやっているんだから、凄いよな。

村田:本当に。IKUOさんはこの技を、いつの頃からかライブのソロ・セクションでやるようになって。最初に見た時はビックリしました(笑)。

IKUO:あとは、「H.H.B」は中間のソロも僕がメインで良いと村田君が言ってくれたので、ほとんど僕が弾いています。

鳴瀬:あれは助かった。この曲でソロを弾いてくれと言われたら、どうしようと思ったから(笑)。

村田:アハハ(笑)。今回IKUOさんは1曲1曲に違うテクニックを入れたいと言っていて。まさにその通りで、“あれ? IKUOさん、こういうフレーズを入れているんだ”というのが結構ありますね。それに対して、僕は全体的にちょっと鳴瀬さんに近いスタンスをとるということをテーマにしました。鳴瀬さんは、どの曲でも鳴瀬さんとして存在しているんですよね。絶対にブレないし、曲を書いている僕としても、それを想定して鳴瀬さんのパートを考えているんです。そういうブレないカッコ良さを僕も出したくて、全曲に共通したフレーズを入れたりしました。

IKUO:全体的なアプローチという面では、僕も前作とは違っています。僕はレコーディングする時はほぼ1本のベースで通すようにしていて、前回は“ジャコ(・パストリアス)・トーン”というか、リアPUのブリブリした音で弾いたんですね。今回はESPの5弦をメインにしていて、それにBOSSのBB-1Xというプリアンプをかました音で録ったんですけど、ジャズベースに近い感じのバキバキした音なんですよ。その音からフレーズが出てきた部分もあって、今回はマーカス・ミラーじゃないけど、スラップでメロディーを奏でたり、ソロも指弾きよりもスラップが多くなっています。今までは音に呼ばれるということはあまりなかったので、今回はそれが面白かったですね。それに、僕のESPは速弾き専用に改造してあるので、そういうこともやりやすくて。ジャズベースっぽいトーンで速弾きというところも楽しんでもらえればと思います。

――続いて、村田さんが書かれた「Carnival」にいきましょう。

村田:「Carnival」は、ライブで何回かやっていまして。今回の中でも一番、“その場でやりました感”が出ている気がしますね。その場では、やっていないんですけど(笑)。ジャズ/フュージョンの中で、よくある感じの曲かなと思います。

――ありがちな曲ではないと思います。翳りを帯びたラテン感が、本当に魅力的です。

村田:ありがとうございます。僕はクルセイダースとか、ジョー・サンプル辺りのナイト・カーニバル的な感じのフュージョンが大好きなんです。3ピース・ベースでも、そういうものができるはずだという想いのもとに作りました。この曲で僕がすごく嬉しかったのは、鳴瀬さんが普通の5弦ベースを弾いてくれていることです。

鳴瀬:ああ、そうだったね。

村田:ずっとボトム・ベースを弾いてくれているんですけど、副弦が付いていないことで、鳴瀬さんのボトムを支えるベースの凄さを改めて感じました。あと、IKUOさんはいつも、「俺は、とにかく音を埋める。スピードと音数で勝負だ」と言っていて。たしかにそのスタンスは、「Carnival」にも入っているけど、すごくメロディアスなんですよね。なので、この曲はIKUOさんのメロディアスな部分も楽しんでもらえると思います。それから、この曲と白井君が書いた「Speed Test」のソロの部分で、僕はBOSSのSY-300というギターシンセを使いました。「Speed Test」は鳴瀬さんが8弦ベースで強烈なソロを弾くから、それに見合ったレベルに引き上げるには、SY-300を使うしかないと思って。これで、やっと鳴瀬さんの8弦に対抗できたかなという(笑)。

IKUO:「Speed Test」は、すごく難しかった。白井君のちょっと空気を読んでない感じがあって、“おーい!”みたいな(笑)。

鳴瀬&村田:ハハハ!!(爆笑)

IKUO:でも、それをスラップでやったら、すごく良い感じになったんですよ。この曲は新しい自分を発見できたというところで、印象が強いです。

――「Speed Test」の単なるハモリではなくて、3本のスラップでアンサンブルするアプローチは絶妙です。

村田:そこは、白井君の指定です。最初はもっと細分化されていたので、さすがにやめてくれと言いました(笑)。

IKUO:クレームを入れた(笑)。でも、ああいうのはベーシストにはない発想だから面白いし、白井君は凄いなと思いますね。あと、宮崎裕介(key)君が書いた「Moratorium」は、なぜか僕のフレットレスをフィーチュアした形になっていて、“マジか?”みたいな。しかも、鳴瀬さんと僕にソロを弾けというんですけど、バックのコードがまた……。

鳴瀬:とんでもねぇよな(笑)。この曲は、久しぶりに何もない状態でスタジオに行って、ベースを入れたんだ。そうしたら、コード進行がすごいことになっていて(笑)。これは、ジャズの偉い人とかにやらせるコード進行だよな(笑)。だって、サビ・パートとか一小節ごとに転調するんだよ。それに合わせて、その場でメロディーを考えないといけなくて、本当に大変だった。「今のどう? 大丈夫だった? よし、じゃあ次いこう」みたいな(笑)。一歩ずつ山を登っていく感じだったね。そうじゃないと、到底形にできなかった。だから、IKUOがフレットレスでソロを弾くのが楽しみだった。

IKUO:本当ですか?

鳴瀬:うん、もう泣きながら録るんだろうなと思って(笑)。

IKUO:えっ、そっち?(笑) いや、本当にコードが難しくて。コードに沿ってソロを組み立てていったので、すごく時間が掛かりました。

鳴瀬:でも、スカしたフレーズ、いっぱい弾いてるじゃん(笑)。

村田:スカしたって(笑)。この曲で僕は宮崎さんが指定したアルペジオを弾いているんですけど、弦楽器っぽくないコードなので、それも大変でした。“このコードから瞬間的にこのコードに行くのか……運指どうしよう?”みたいな(笑)。ラッキーだったのは、僕のワーウィックは24フレットなんですよ。だから、対応できたというのはありますね。

鳴瀬:この曲は、大変だった。俺のルーツのブルースは、コードは3つだけだからさ。ジャズの人はブルースをやる時も20個くらいコードを入れたりするんだ。ああいうのは良くないよな(笑)。この曲もね、こういうことをしてはいけません(笑)。

IKUO&村田:ハハハ!!(爆笑)

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