【インタビュー】I.T.R、結成10年目の1stアルバム完成「テーマは聴きやすくてポップなツインベース」

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BULL ZEICHEN 88やRayflowerのバンド活動をはじめ、西川貴教やL'Arc-en-CielのTETSUYAソロのサポートベースなど、そのテクニカルなスタイルで引く手数多なベーシストIKUO。日野皓正や小比類巻かほる、高橋みなみなどジャンルを超越したセッションワークほか、日野JINO賢二や小林香織等のプロデュース、楽曲提供、編曲トラック制作も行うベーシストTAKAこと村田隆行。両者によるツインベースユニット“I.T.R”が6月25日、結成10年にして初のオリジナルアルバム『「Bass Life Goes On」~今こそI.T革命~』をリリースした。同アルバムを掲げた<アルバムリリース記念ツアー2021>も7月25日(日)の熊本CIB公演を皮切りにスタートする。

◆I.T.R 画像

全編書下ろしによる収録10曲はIKUOボーカル曲「Life is Groovin'」以外、全編インスト。ゲストに白井アキト(Key)、坂東慧 (Dr / from T-Square)、山崎慶 (Dr)といったおなじみの面々が参加したほか、「We Love Henrik」ではダーティーループスのHenrik Linder(B)を迎えたトリプルベースを聴くことができる。全曲テクニカルではあるが、ツインベースによるポップな楽曲が楽しめるエンターテイメント性の高いアルバムであり、タイトルに冠した『Bass Life Goes On』からは2人のスタイルも決意も感じることができる。

このアルバムリリースを機に、ユニット名をI.T.Revolutionから“I.T.R”に改名したIKUOとTAKAに、結成の経緯やお互いのベーススタイル、収録楽曲のポイントや発表されているライブについて訊いたロングインタビューをお届けしたい。なお、同作品は新レーベルMzes Recordzの第一弾アーティストとしてリリースされるものであり、このコロナ禍に敢えて新レーベルを発足した意図やI.T.Rとの馴れ初め、そして今後についてレーベルオーナーに語ってもらった。

   ◆   ◆   ◆

■僕はフュージョン畑のファンク系スタイル
■IKUOさんはロック畑で超絶テクを持つ

──1stアルバム『Bass Life Goes On」~今こそI.T革命~』の話をする前に、まず10年前にI.T.Rを結成した経緯から話していただけますか?

IKUO:言い出したのは村田(隆行 / TAKA)君でした。

TAKA:全くスタイルが異なる2人のベーシストが一緒に演奏したら、面白いんじゃないかなと思ったんです。うまく混ざるだろうという確信もありましたし。


▲IKUO (B)

──そもそもお2人の出会いは?

TAKA:僕がベースを始めたのは22歳のときで、ベーシストとしてのキャリアをスタートさせたのも30歳を超えてからだったので、遅かったんですね。もともとは中学生のときに、音楽好きの友人からCasiopeaを教えてもらって、“歌がないフュージョンだからギターでも目立てる!と”思ってギターを始めたんですけど、その半年後くらいに鳴瀬喜博さんが加入したCasiopeaのビデオを観て、“あれ? ギターよりもベースのほうが目立てるんじゃないの?”と(笑)。すぐにベースをやりたくなったんです。まぁ、「そもそも、その出発点は間違っている」といろいろな人から言われますが(笑)。当時、バンドを組む約束をしていた友達がベースだったからできなかったりしたんですけど、それでもずっとベースに憧れがあって、やっと22歳で始めるわけです。遅くスタートしたから他のベーシストに興味があったというか、自分と違うスタイルとか、自分が求めているプレイをしているベーシストをファン目線で見てしまうところがあったんですね。そういう中で、知り合いがIKUOさんを紹介してくれたんです。そうしたら、IKUOさんはこういう人じゃないですか。

IKUO:「こういう人」って、どういう人ですか(笑)?

TAKA:いや、悪い意味じゃないです(笑)。なんでも知ってて、女の子にもすごくモテる近所のお兄さんっていますよね。IKUOさんは僕の中でそういう位置付けで。音楽業界に入ってまだまだの僕はいろんなことを知りたかったし、IKUOさんはそういう僕の話を聞いてくれたり、相談に乗ってくれたんです。

──人間的な魅力にも惹かれていたと。

TAKA:はい、すごくお世話になりました。それにIKUOさんは音楽的にもスタイル的にも僕とは真逆。僕はフュージョン畑のファンク系スタイルで、IKUOさんはロック畑だし、超絶テクニックを持ってる人なので。

──だからこそ、10年前に「全くスタイルが異なる2人のベーシストが一緒に演奏したら、面白い」と思ったわけですね?

TAKA:それにロック畑の人はインスト系のセッションがあまり得意じゃなかったりするんですけど、IKUOさんはロック畑でありながら、インスト系のセッションをよく知っているんですよね。だから、“うまく混ざる”という確信が最初からあった。それでIKUOさんに「ツインベースのユニットをやりませんか?」という話をしたら、「やろう」と言ってくれたんです。

IKUO:ベーシスト2人のユニットというのはあまり聞いたことがないし、村田君となら面白いことができるんじゃないかなと思ったんです。

TAKA:IKUOさんと知り合った頃に言われた、すごく記憶に残っている言葉があるんです。「テクニックも大事だけど、エンターテイメントが一番大事だと思う」って。それって、すごく一致した意見なんです。やるからにはいろんな人に届けたい。楽器を弾かない音楽好きにも“いいな”と感じてもらえるような音楽を提示したいと思っているから。それが、I.T.Rが長く続いている理由かなと思いますね。

IKUO:そうだね。


▲TAKA (B)

──今、言われたとおり『Bass Life Goes On』もベーシストに限らず、幅広い層のリスナーが楽しめる作品になっています。今作を作るにあたってテーマはありましたか?

IKUO:もともとI.T.Rはセッションバンドで、結成から10年とはいえ、カバーを中心に好き放題やってきたんです。という意味では、エンターテイメント性はあるけど、音楽的に目指すところは特になかった。つまり、僕らの音楽性を提示することよりも2人が一緒にベースを弾き合うことで面白い何かを生んで、それをお客さんに楽しんでもらうことを重視してきたんです。だからライブでもカラオケを歌ったり、変なことをよくやるんですよ。僕の活動の中では一番ラフな場所だし、もちろんアンサンブルはしっかり聴かせるけど、そこまで深く考えないツインベースというか(笑)。

TAKA:はははは! そのとおりです(笑)。

IKUO:でも、作品をリリースするとなるとそういうわけにはいかない。カバーも違うと思ったので、「今回は完全オリジナル曲で、クオリティー重視で」という話をしました。「ここで本気を出そう」みたいなね。そういう姿勢で制作を始めて、村田君と僕が3曲ずつ書いたほか、白井アキト(Key)君にも作曲に加わってもらいました。外部の人を入れたのも、楽曲のクオリティーを上げたかったからなんですよ。まぁ、白井君は外部というか、おなじみのサポートミュージシャンですが、やっぱり作品としてリリースする以上、しっかりと聴いてもらえる音楽を提示したいから。

──良質な楽曲が揃ったアルバムなので、10年間に作った楽曲の中から厳選されたのだと思っていました。

IKUO:全然違う(笑)。全曲、今回のアルバムのために書き下ろしました。

TAKA:しかも、すごく短期間で作ったんです。プランは去年から立てていたんですけど、みんなのスケジュールの関係で今年1月くらいから各々が曲作りを始めて、2月に録音をスタートして、3月にはほぼ完パケしたという。

──短期間でこのクオリティーは、さすがです。

TAKA:僕自身が思いました、“プロだな”って(笑)。締切が近づくと本領を発揮するという。

IKUO:締切は守らないといけない世界ですからね。


──ツインベースユニットという言葉からイメージするのは“ブイブイいわせる低音”かもしれませんが、『Bass Life Goes On』収録曲はしっかりしたメロディーがあってキャッチーなことが印象的です。

IKUO:“聴きやすくてポップなもの”というテーマが自ずとありました。マニアックな音楽を作る気はまったくなかったですね。

TAKA:口ずさめるメロディーだったり、わかりやすいアレンジだったり。テクニックよりも、そういうところを大事にして曲を書いたので。

──そもそものユニットコンセプトである“エンターテイメント性”を持ちながら、コンポーザーとしての2人の魅力も味わえる作品になっています。

IKUO:そうですね。

◆インタビュー【2】へ
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