【インタビュー】Jun Gray、PIZZA OF DEATH内主宰レーベルを語る「新しい流れができたら」

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■普通だと思ってたんですけど、気付かされたんです
■女性ボーカルをよく聴いているってことに

──では、ここからは“Jun Gray Records”についてお話を伺いたいと思います。そもそもレーベル立ち上げについては、健さんから打診があったんですよね?

Jun:そうです。2013年の夏ぐらいに健が、「PIZZA OF DEATH RECORDSの中にレーベル内レーベルを立ち上げたい」って話をしていて。それは俺のレーベルだけじゃなく、SLANGのKOちゃんのレーベルだったり、いろいろやりたいって。で、「Junちゃん、女の子の歌モノが好きだし、そういうレーベルをやってみれば?」って振られたのがきっかけなんですけど。……いや……もうちょっと前から言われてたかな? ちょっと記憶が曖昧なんだけど(笑)。でも最初は、「いやいや、俺そういうのできねえし」って断っていて。その後、俺以外にも「いろんな人がやるんだよ」ってもう一回言われて、だったらやってみようかっていう流れだった記憶があります。

▲Jun Gray

──そもそもJunさん自身がレーベルをやってみたいと考えたことは?

Jun:まったくないです。そういう事務的なことはむしろ苦手だったし、“俺、バンドマンだしプレイしてればいいんでしょ?”ぐらいの気概しか持ってなかったんで。もちろん、高校卒業したぐらいのときに、田舎で音源を作ろうってときは自分でレーベルを作って音源を発送してっていうことはやりましたけど、それはすごく小規模でしたからね。俺には、健が考えてるようなことできないんじゃないかなと思ってたんだけど、「難しいことはPIZZA OF DEATHのスタッフに手伝ってもらいながらやればいいじゃん」って健が言ってくれて、だったらできるのかなと。ぶっちゃけ、“俺これ、好きだな。一緒にやりたいな”と思うアーティストをリリースしていけばいいのかなと。もちろんそのバンドの将来や責任を担うわけだから、いろいろ考えましたけど、これから世に出ていこうとするバンドをもっと世間に広める手伝いができたらなという思うようになったんです、レベールを使うことで。だから、すでに知名度があってというバンドはほとんどいない。ま、……UNLIMITSの場合はまたケースが異なるんですけど。

──UNLIMITSはすでに実績のあるバンドでしたもんね。

Jun:彼らはちょうど、前のレーベル契約が切れたときで、たまたま俺もレーベルをやろうと思っていたときでしょ。だから、ギターの大月(義隆)と何度もミーティングしたんですけど、バンドをこのまま続けるかどうかというところまで話し合ってましたね。ちょうど彼が30歳になったぐらいだったのかな、違った道でもやり直しが利くんじゃないかと考えてたみたいだけど、その頃40歳を超えてた俺からすると「確かにいろんな道はあるけど、とりあえず35歳まで頑張って、ダメだったらそこからでいいんじゃない? 俺からしたら、まだいくらでもどうにかなると思うけど」って話でね。だから、俺のレーベルで一緒にやろうよという話をして、リリースすることになったんです。

▲UNLIMITS

──そういう経緯が。

Jun:UNLIMITSはそういう縁で来てもらったけど、それ以外のバンド……たとえば今回のコンピに入っているバンドは、まだ全然知名度もないけど、自分がライブを観に行ってみつけためちゃめちゃカッコいいヤツらで。音を聴いたことがないから知らないだけであって、一度聴いたらみんなに絶対にいいと思ってもらえるんじゃないかな。そういうことができるという意味ではレーベルも面白いかなと思うんです。

──これからという存在に、Junさんの名前をいい意味で利用して表舞台に羽ばたいてほしいと。

Jun:そうですそうです。そういう思いですし、その作業をするのが俺の役目なんだろうなと思ってます。

──Jun Gray Recordsには“女性ボーカルバンド専門レーベル”というコンセプトがありますが、Junさんはずっと女性ボーカルバンドが好きだったんですか?

Jun:俺は特別好きという意識はなかったんですけど、健から「Junちゃん、女性ボーカルに特化したレーベルをやったら面白いんじゃない?」っていう話があって、そこで気が付いたんですよ。確かに、ツアーの移動車でも聴いてたし、健やMinamiちゃんからすると「随分と女性ボーカルものを聴くんだね」って話で。自分では普通だと思ってたんですけど、みんなそこまで聴いてないんだなって。あと、ツアーで対バンしたいバンドを聞かれたときに、UNLIMITSとかSCOTLAND GIRLSとか女性ボーカルバンドばかり名前を挙げたのもあったのかな。それで、逆に気付かされたんですよね。

──女性ボーカルものって、それこそロックやパンクに限らず聴いてたんですか?

Jun:そうですね。中学の頃からなんとなく耳に残るのが、例えばシーナ・イーストンとかリンダ・ロンシュタットとかで。ここ10年ぐらいも普通にR&B系が好きで聴いてたんですよね。それ以外にもミシェル・ブランチとかシェリル・クロウ、最近だとアデルやシーアも好きだし。あとリリー・アレンもいいですね、去年来日したときはライブも行きました。ああいうジャンルは、パンクとは関係ないじゃないですか。だからジャンル関係なく、女性ボーカルものが好きなんだなって。でも、もちろんモーターヘッドとかも好きですよ(笑)?

──周りの人たちよりも深く女性アーティストの楽曲を聴いてたんですね。それにしても、女性ボーカルという形で限定されたレーベルって、あまりないですね。

Jun:だから健は、そういうのをやれば?と言ったのかもしれないですけどね。しかも俺的には女性ボーカルバンドを探すのは苦じゃない。友達や知り合いのライブを観に行って、女性ボーカルのバンドが出てくると目がいくし、ライブじゃなくてもYouTubeとかで気になるバンドがあると、“これ、リリースできないかな?”って連絡先調べちゃいますから。実際、今までもコンタクトを取ってみたけどうまく話がまとまらなかったケースもあったりするんですよ。

──なるほど。その第一弾はコンピでした。

Jun:2013年にレーベルが立ち上がって、12月にコンピ第1弾『And Your Birds Can Sing』をリリースして。それを名刺代わりというか挨拶代わりに、UNLIMITSのアルバムをはじめとした単独作品をリリースしていった感じですね。

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