【インタビュー】DECAYS「フランクに自由に音楽をやっていくバンドで在りたいんだ」

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DIR EN GREYのギタリストのDieとMOON CHILDのドラマーの樫山 圭が中心となって結成したDECAYSが、12月7日にアルバム『Baby who wanders』でメジャーデビューを果たす。DECAYSが始動したのは2015年の7月。現メンバーであるDie(Vocal & Guitar)、樫山 圭(Drums)、中村 中(Vocal & Guitar)、Ayasa(Violin)、寺沢 リョータ(Bass)、チドニー(☆)での活動は、第3期になるという。初登場の今回は、結成の経緯から1stアルバム『Baby who wanders』までをDieと樫山、そして、中村、Ayasaにじっくりと語ってもらった。

<DECAYS メンバー>
Vocal & Guitar:Die
Drums:樫山 圭
Vocal & Guitar:中村 中
Violin:Ayasa
Bass:寺沢 リョータ
☆:チドニー

◆DECAYS~画像&映像~

■中の歌に引っ張られてる。10年歌ってきている先輩ですからね(Die)
■DIR(DIR EN GREY)何年やってるんですか(笑)(中村 中)


──まず、結成の経緯から伺っていいですか? Dieさんからだったんですか? 樫山さんからだったんですか?

Die:最初は同時というかね。

樫山 圭(以下、樫山):最初、僕とDieくんで、声優の堀川りょうさんのバックをしてたんですよ。

Die:樫山さんと音を出したのは、そこが初めてだったんですけど、知り合うきっかけとなったのは、DIR EN GREYのレコーディングのドラムチューナーだったんですよ。知り合った時期でいったら、2013年くらいでした?

樫山:そうやね、3年前くらい。一緒にはよく呑んでたんですけど、その流れで“なんかやってみる?”みたいな話になって。でも、いつも飲みの席だから、だいたいその場で“やろう!”って盛り上がっても、そこから進んだ試しがなくて(笑)。いっつも3歩進んでは、また振り出しに戻って……みたいなんをずっと繰り返していたんです(笑)。

Die:あははは。そんなもんですよね、飲みの席での話って(笑)。でも、堀川さんのバックは基本カヴァーが中心なので、やるならオリジナル作ってやりましょうよってことになって。そこから、メンバー探そうってことになり。その時点では、ヴォーカルを立てて、自分はギターとして、4人体制のバンドをやって行くつもりだったんです。

樫山:でも、いろいろとありつつ、最初の面子を集めて、去年スタートしたっていう感じです。

Die:今のメンバーで3期になるんです。


▲『Baby who wanders』通常盤


▲『Baby who wanders』初回生産限定盤A


▲『Baby who wanders』初回生産限定盤B

──Dieさんと樫山さん以外は、固定メンバーではないということですか?

Die:固定じゃなくそうって決めている訳ではないんですけどね、一応、僕と樫山さんだけは固定なんですけど、みんな他にもソロやバンドで活動してるということもあって、ぶっちゃけスケジュールの問題でもあるんですよ。もちろん、このパートは絶対に必要やって話になれば、そのパートの人は固定になっていくのかもしれないんですけど、そんなところから、今回の第3期も、まずヴォーカルを探さなくちゃいけないということになり、そこで中村 中の名前が挙がってきたんで、会いに行ったんです。

──あ、それまで中さんと面識はなかったんですね。

Die:そう。なかったんですよ。最初はまったくイメージがつかなかった。

──そうなんですね! すごくDECAYSのイメージにピッタリでした!

樫山:そうだね、結果的にはすごくハマったけど。最初はほんまにイメージできなかったもんな。

Die:そうですね。まず、ソロシンガーであるというとこから、エレキギターを持ってバンドのヴォーカリストとして歌うという絵が想像つかなくて。

──中さんの名前が挙がったのは?

樫山:僕が最初に中を紹介されたんですよ。僕と中とAyasaを売り出してくれてる人が共通の人だということもあって、その人から紹介してもらったんです。もうライヴのスケジュールを切ってしまっていたんですけど、前任のヴォーカリストの小林くん(小林祐介/THE NOVEMBERS)のスケジュールがどうしても合わなくて、急遽ヴォーカルを決めなくちゃいけない状況になって。そんななかで、中(あたる)の名前もあって。そんじゃ3人で会ってみよかってなって。

Die:それが2016年の2月やったかな。

中村 中(以下、中村):そうでしたね。まず、間に入ってくれた人に、音を聴くよりもご本人と会いたいって伝えて。あるホテルのロビーで待ち合わせてお会いしたんですが、背の大きな2人が居て、明らかにこの人たちだろうなと(笑)。そこで音楽性とか質問して。それぞれがバンドを持っているメンバーだったりするから、フランクに、自由に音楽をやっていくバンドで在りたいんだっていう話をされて。私もお話をいただいたときは想像がつかなかったんですけど、私のプロデューサーからは、“ロックバンドとか似合うと思う”って言われていたので、挑戦できるいい機会なのかなと思って。2月に“4月のライヴに出てもらえないか”というお話だったので、深く考える時間がなかったけど、まずは出てみようってことになって。

Die:そう。次に会ったのが、リハーサルやったからね。

中村:そうなんです。合わせてみたら楽しくて!

Die:4回くらいだったかな、合わせたの。その他に、2人でギターを合せるためにスタジオに入ったりはしたけどね。

中村:しましたね。


──そういう経緯だったとは! でも、声の相性がすごくいいですよね、Dieさんと中さん。

中村:嬉しいです。

樫山:今回アルバムのレコーディングをしていて、すごく良くなったなって感じました。4月のライヴのときは、正直ちょっと不安はあったんですけど、今回レコーディングして、俺も“Dieと中の声似てきたな”って思ったんですよ。まだ、Dieの中にヴォーカリストとしての完成形がないというか、未知の部分もあるから、小林くんがヴォーカルやったときは、小林くんとの相性がすごく良かったし、小林くんの声とか歌い方に近くなっていったんだよね。でも、今回、中と歌ったことによって、すごく中と相性のいい声と歌い方になって、すごくハマっていてびっくりした。

Die:自分では分からないんですけどね(笑)。

樫山:だから、Dieはいろんなヴォーカリストとコラボしていったら、その分だけ振り幅広がって、すごいヴォーカリストになるんちゃうかな? って思ってるんやけど(笑)。

一同:(爆笑)

──最強のヴォーカリストですね!

Die:そうなれたらね(笑)。中の歌に引っ張られてる感は、春のツアーから自分でもすごく感じていて。10年歌ってきている先輩ですからね、中は。

中村:DIR(DIR EN GREY)何年やってるんですか(笑)。

樫山:いやいや、DIR EN GREYはギタリストとしてやからね。ヴォーカリストとしては、まだ1年だから。

Die:そうそう。まだ駆け出しなんで(笑)。

中村:そっか(笑)。

Die:でも、本当にそこは大きくて。ヴォーカリストとしては、そこに合わせていくって感覚は自然とあるのかなって思います。加入してもらったんだけど、ヴォーカルに関しては、中に舵を取ってもらったというか、引っ張っていってもらっている感じでしたからね。

──Ayasaさんは、どういった経緯で?

Die:Ayasaは、去年USBで出した音源(2015年12月16日に完全生産限定盤としてUSBメモリーでリリースされた『Red or Maryam』)があるんですけど、そのときに収録されていた「愛と哀を遺さず...」で、ヴァイオリンで参加してもらったのがきっかけで、そこから去年ライヴでゲストとして出てもらって、何曲が聴いてもらったんです。そのときに、自分たちの中で、“ヴァイオリンって自分たちの曲の中に有りなのかもな”って感じたこともあって、4月に中が加入することになったときに“Ayasaもどうかな?”って声をかけさせてもらったんです。


──そうなんですね! そこもなんだか意外です。中さんのヴォーカルがDECAYSのイメージにピッタリだと感じたように、ヴァイオリンという楽器は必須な気がしたんです。

樫山:最初は、「愛と哀を遺さず...」1曲だけにヴァイオリンが欲しくてお願いしたんですけど、ゲストで何曲か弾いてもらったら、すごく世界観に合ってたので、じゃぁフィックスしてもいいのかなって思ったんです。

──そうなんですね。逆に、DECAYSというサウンドを創るためには、ヴァイオリンの音が、コンセプトとして最初から嵌め込まれていたのかと思いました。

樫山:なるほどね。でも、それで言うなら、最初、マストでアコーディオンを入れようと思っていたんですよ。でもね、アコーディオンは音にパンチ力があり過ぎて、その音が入ることによって、全部そっちに引っ張られちゃうというかね。

Ayasa:全部がケルト感というか、民族感がすごく強くなっちゃうんですよね。

樫山:そうそう。もちろんそれが魅力なんだけど。

Die:そっちの世界観が強くなりすぎてしまうからね。

樫山:でも、ほんまに第1期DECAYSの顔合わせのときに、小林くんが“チンドン屋みたいですね”って言ったからね。

Die:あははは。言うてた言うてた(笑)。初めてみんなで会ったとき、“チンドン屋”ですか?って。ちょっと待って待って、整理しよう整理しよう! って(笑)。

──アーティストのイメージ写真からは想像が付かないぶっちゃけトークになっていますけど、すごく親近感沸きますね(笑)。Dieさんも、DIR EN GREYというバンドのイメージが強いのもあって、ちょっと近寄りがたい感じを受けますが、一気に距離が狭まった気がします。

Die:あははは。DECAYSは“自由を重んじるバンド”なんでね(笑)。

──そうでしたね(笑)。でも、最初からDECAYSというサウンドのイメージはあったけれど、その理想の音に近づけるためにいろいろな試行錯誤や、思わぬ化学変化があったということですね。

Die:そうそう。単なるバンドサウンドではない、もう1つそこに何か印象的な音色を加えてのサウンドにしたいというイメージは最初からはっきりとあった。それもあって、試しにヴァイオリンの音を入れてみたら、すごくハマったんですよ。

──またAyasaさんのヴァイオリンも、クラシカルな印象はもちろんのこと、ギターの音色と馴染みがいいというか。たまに、ギターの音なのかヴァイオリンの音なのか、どっちだろう? って思うような音を出されてますね。

樫山:Ayasaが5弦のヴァイオリンを使ったり、エフェクターを使ってくれるんで、ギターと混ざってくれるんですよね。

──ロック寄りの個性をお持ちですよね、Ayasaさんのヴァイオリンって。

Ayasa:嬉しいです。ありがとうございます。私は、今、DECAYSの他にソロでもやっているんですけど、前にロックのインストゥルメンタルのバンドをやっていたんです。バンドでプレイをするという経験があったので、自分が目指すヴァイオリンというのが、クラシックというよりは、ロックに近いものなのかなと思います。今、ヴァイオリンを入れている楽曲や形態が多いと思うんですけど、クラシックにするためのヴァイオリンというのがほとんどだと思うんですね。でも、個人的には、クラシックじゃないヴァイオリンをやっていきたいと思っているんです。バンドにヴァイオリンがレギュラーとして置いてもらえるバンドって、少ないと思うので、そこに関しては、去年の年末にライヴに出させていただいたときには、まさかこんなに長くご一緒出来ると思っていなかったので、“本当に一生のいい思い出をありがとうございました!”って思っていたんですが。

樫山:一生のお別れかいっ(笑)!

Die:あははは。さようなら、みたいなね(笑)。

Ayasa:いやいやいや、違うんですよ(笑)! 本当に1回きりのゲストだと思っていたんです。ずっと出来たらいいなって感じていたので、本当に嬉しかったんです。自分としても、こんなに個性溢れるバンドで私のヴァイオリンを使っていただけるということがとても嬉しいですし、DECAYSとしても、“ヴァイオリンがレギュラーとして居るバンド”というところを個性にしていってもらえるようになっていけたらなって思っています。私にとっても、お互いにとっても、必要不可欠になってもらえたらと思います。

樫山:あ、めっちゃ上手いこと売り込んできたな(笑)。

Die:事務所教育が行き届いていますね(笑)。

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