【インタビュー】DECAYS「フランクに自由に音楽をやっていくバンドで在りたいんだ」

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■全曲ヴァイオリンを入れるとどうなるか? ツインボーカルをどう活かすか?
■“どこをどう活かすか”というのが、コンセプトでもあるのかなと思います


──今回のアルバムは、いつ頃から着手し始めたんですか?

樫山:8月の末くらいからですね。コンセプトアルバムというよりは、今回は、去年動き始めたなかで出来て来たものからピックアップしてまとめたという1枚になっていますね。

Die:USBで音源化したことはあったんですけど、盤でリリースしたことがなかったので、DECAYSを知ってもらうためのとっかかり的な1枚になったんじゃないかな。

──楽曲もバラエティに富んでいますもんね。

樫山:そうなんですよ。今回コンセプトがあるとするならば、全曲ヴァイオリンを入れるとどうなるか? だったり、ツインボーカルをどう活かすか? という“どこをどう活かすか”というのが、コンセプトでもあるのかなと思いますね。

──なるほど。個人的には、2曲目の「Zero Paradise」は意外でした。すごく開けた歌モノのポップロックですよね。勝手なイメージですけど、DECAYSがやりそうにない音楽性だなと感じたので、ビックリしました。1曲目のインダストリアルなイントロを置いた「Aesthetics of the transgression」がイメージ通りだったので、2曲目に「Zero Paradise」が流れたときは、“え!? そうくるんだ!”と思って。

樫山:うんうんうん。「Zero Paradise」はね、“Dieくん! これ、アニメのタイアップにええやろ!”って持って行った曲だったんですよ。そこを狙って作ってみたみたいな感じ。

Die:あ、そうそう。そう言ってましたね。


▲『Baby who wanders』通常盤


▲『Baby who wanders』初回生産限定盤A


▲『Baby who wanders』初回生産限定盤B

──まさにそういう印象でした。

樫山:ライヴではアンコールにやる、みたいなね。ちょっと毛並みが違う感じなんで(笑)。

Die:今回SEがないので、1曲目の「Aesthetics of the transgression」はSEっぽさも入れたというか、アルバムの導入部分だと考えてもらったらいいかな。2曲目を「Zero Paradise」にしようというのは、結構早い段階から決まっていましたよね。

樫山:うん。“キュン”としてほしいなと思って。“キュン”としたでしょ?

──しました。ギャップ萌え的なキュン。中さん的にも「Zero Paradise」のような楽曲を歌われるのは、珍しいですよね。

Die:こんなポップな曲歌ったことないんじゃない?

中村:んー。私は、誰かが書いた曲を録音することがあまりないんですけど、今回アルバム作ってみて、最初に言っていた“自由を重んじるバンド”なんだっていうのが、よく分かった気がしたんです。私自身、自分で曲も歌詞も作るので、どうしても頭でっかちになっちゃうタイプなんです。目的は何なのか? 目指す所は何処なのか? って考え過ぎちゃう。だから、ライブリハーサルとかでも困らせてしまったことがあったと思うんですけど、とにかく本番では、音圧の中に塗れるというか、音圧の中でしか身軽になれない感覚というのが私にはあって、そのへんはDieちゃんもそうなのかな? って感じたんですよね。爆音の中でこそ生き生きしていられるバンドなのかな?と。それを今回のレコーディングでも感じることができたので、ポップさとかサウンドがどうとかあんまり考えていないです。鳴っている音の中で泳ぐということだけを意識してレコーディングしていたので、終始気持ち良かったです。


──今回、中さんも作詞されているんですよね?

中村:はい。樫山さんからいくつかお題をいただいて。何曲か歌詞を書かせていただいたんですけど、ここからスタートとなるデビューアルバムでもあるし、そういう気持ちも歌詞に書けたので、私的には満足しています。

──中さんの声がすごく気持ち良かったというか、すごく声にあっているなと感じたのは「Eve」でした。

Die:うん。すごくあっていますね。「Eve」も、『Red or Maryam』に、別の歌詞で入れていた曲なんですが、4月に中が歌ったときにすごくハマりが良かったんで、今回、中のヴォーカルでちゃんと録り直そうってことになったんです。中が歌うなら、中が歌詞を書いて録り直したいなと思って、中に書いてもらって、リニューアルされた1曲です。

中村:「Eve」は、この世に生まれる前夜をイメージして書いたんですけど、Dieちゃんの作るメロディが素晴しいから、そこに歌詞を乗せられたというのもありがたく。素敵なやりとりでしたね。

──本当に吸い込まれる感じがしました。Ayasaさんもヴァイオリンならではの魅力を存分に注ぎ込まれているし、強いタム使いもすごく魅力的でしたし、泣きのギターフレーズが、もうたまらないっていう。

Die:泣きのギターフレーズね(笑)。

樫山:泣きのギターフレーズって、また言葉古いですね(笑)。

──いや、でも、その泣きのギターフレーズ最高でした。

Die:ありがとうございます(笑)。ギターソロはドラマティック感を狙って弾きましたからね、ある意味正解です(笑)。

中村:あとドラムの音も、カッコイイですよね。このアルバム、ギターとドラムの印象がやっぱり強くて。ギターとドラムで楽曲を引っ張っていっているなって感じます。アルバム全体を通して言えることだなって思います。

樫山:ドラムはボリューム上げただけや。

一同:(爆笑)

──タムの音が特に印象的で。

樫山:ボリューム上げただけやって(笑)。

一同:(爆笑)

──(笑)。「Eve」から繋げられる「Rana」も、これまたすっごく意外で。明るいギターフレーズとDieさんのヴォーカルが印象的な「Rana」は「Zero Paradise」以上の驚きでしたけど。

樫山:たしかに。「Rana」は、このアルバムで1番の意外曲と言えますね。

──各楽器隊のスキルを感じるリレーションと、ハモリで聴かせるヴォーカルと、ループ感がすごく気持ち良かった「シークレットモード」から、最高のテンポ感で繋がれる、ニューウェーヴを感じるインスト的な魅力を持った「HELLO!NEW I」の流れも最高でした。

樫山:うんうん。もともとね、オシャレなディスコみたいな曲を作りたいって言っていたんですよ。“クラブ”じゃなくて、“オシャレなディスコ”ね。「シークレットモード」から「HELLO!NEW I」の流れはディスコですね。

──解ります! すごく解ります、ディスコ感ですよね!

樫山:そう。マハラジャじゃないけど、そんな時代のオシャレなディスコね(笑)。

Die:あははは。バブル時代のね(笑)。

樫山:そうそう。お金かかってんねん、内装とか。そんな感じのディスコソングが作りたかったんです。

Die:「HELLO!NEW I」が上がってきたとき、最初に聴いたときは、ディスコそのものだったんですよ。だから、このままだと完全にディスコやから、そこをいかに新しいDECAYSのディスコにしていくか? ということろが課題だったんです。

樫山:うんうん。カッティングとかすごい利いてるもんな。

Die:そうですね、カッティングを入れたりとか、導入部分のシーケンスの音をバリバリに歪ませたりとかして、だいぶ雰囲気を変えたてみたんです。

──中毒性があるインスト曲みたいなイメージですよね。

樫山:そうですそうです。


──Ayasaさんとかは、世代的に“ディスコ世代”ではないですよね? こういうディスコ的なサウンドはどう受けとめられました?

Ayasa:すごく好きでした。あと、終始Dieさんが曲を作るにも、ライヴに関しても、“高級感を出していきたい”と言っていたので、そこはすごく意識しました。親しみやすいっていうのと、安っぽいって紙一重だと思うんです。世に溢れ過ぎている感じというか。“あぁ、なんかこういう感じってよくあるよね”で終わっちゃう感じじゃなくしたいと思ったというか。時代には乗ってるけど、そこに高級感を乗せていきたいっていうところを、私的にはすごく意識しました。マハラジャとかすいません……ちょっと解らないんですけど……(笑)。

樫山:解らんでええわ(笑)。

Die:俺も解らへんから(笑)。

樫山:リアルタイム俺だけ?

──だからこそ、すごく懐かしくもあり、新しさもあって。すごく入ってきやすかったです! Ayasaはリアルタイムではないですもんね(笑)。

Ayasa:はい(笑)。でも、カッチリはし過ぎてない、大人の妖しさもあるけど、下品じゃない感じというか。そんな雰囲気は、解っているつもりです(笑)。

樫山:それでいいんや(笑)。

Ayasa:ですよね、合っていますよね! 樫山さんの言っている“オシャレなディスコ感”とDieさんの言っている“高級感”っていうのが、この曲を作っていて、すごく解ったんです。高級感がありつつも踊れる感じというか。

──そうですね。中村さん的に、「HELLO!NEW I」の世界観はどう受け止められました?

中村:私も、時代感とかはリアルタイムじゃないのでよく解らないんですけど、嫌なことがあるから踊りに行くとか、それを忘れるために体を揺らす、ビートに乗る感覚はわかるので、そういうイメージでとらえてますね。

樫山:ダンサーやな。中、踊るの好きなん?

中村:好きです。大好き。アフロ・キューバンとか。

──ジャズですね!

中村:生演奏で踊るの好きです。サンバとかも好きだし。踊りを愛している民族の音楽が好きかな。悲しいから踊っている。そういう感覚でビートをとらえているので、「HELLO!NEW I」もそういう感覚ですかね。

Die:次のライヴ、踊る?

中村:踊らない踊らない(笑)!

──いや、踊ってほしいな! すごく似合いそう! DECAYS独特のライヴ空間が生まれそうですよね!

樫山:いいよね。じゃぁ、次、中とAyasa踊ろうよ。

Ayasa:あと、チドニー(☆)さんも居ますしね!

樫山:アイツはええわ。

一同:(爆笑)

Die:ドスンドスンしちゃうからね(笑)。

Ayasa:あははは。でも、ライヴでは、お客さんが、どうやって楽しんだらいいかを先導してくれるのがチドニー(☆)さんですから。

──チドニーさんは、マニュピレーターの方ですよね?

樫山:いや、マニュピレーターというより、☆です。スターです。スターにしきのです!

──樫山さん、若干古いです(笑)。

Die:あははは。若干(笑)。いや、チドニーの☆は、僕が付けたんですけど、チドニーのパートって何やろ? って思ったときに、僕、よく、いろんな目印に☆を付けるのが癖なんで、あ、じゃぁ☆でいっか、と思って、チドニーのパートは(☆)になったんです(笑)。

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