オアシスのライブ映画『オアシス フジロックフェスティバル'09』が、3月25日より東京・丸の内ピカデリー3で開催中の<丸の内ピカデリー爆音映画祭>で上映中だ。本作は文字通り、新潟県湯沢町の苗場スキー場で行われた<FUJI ROCK FESTIVAL '09>での彼らのステージを記録したもの。日本でのラストライブとなってしまった、ファンにとっては忘れられない一夜の出来事が完全収録されている。

◆『オアシス フジロックフェスティバル'09』 関連画像&映像

2009年7月24日、オアシスはこの年のフジロックの初日ヘッドライナーとして出演した。天気は大雨。おなじみの「ファッキン・イン・ザ・ブッシーズ」が流れる中、メンバーのリアム・ギャラガー、ノエル・ギャラガー、ゲム・アーチャー、アンディ・ベルが姿を現すと、ステージの前を埋め尽くしたびしょ濡れのオーディエンスは温かい拍手と大歓声で迎えた。

苗場とはいえ真夏なのにモッズコートを着たリアムは、口にタンバリンをくわえてマイクの前に登場。レザージャケット姿の兄ノエルも上手側の定位置について、ライブは「ロックンロール・スター」からスタートした。悪天候にもかかわらず、フジロッカーたちのテンションは冒頭から高く、2曲目の「ライラ」では早くも「Hey, Lyla!」と合唱が沸き起こる。もみくちゃになりながら満面の笑顔を見せるファンの姿も、彼らがメンバーの名前を叫ぶ声も、映像の中にしっかりと収められていた。

実は筆者自身、大雨に打たれながら彼らのライブを観ていた一人だ。とはいえ、あの夜のことをそこまで鮮明に記憶しているわけではない。まさかあれがオアシスのラストライブになってしまうとは思いもよらなかったし、後ろで手を組んで体を少し傾けて歌うリアムの姿も、そんな弟を時々にらみながら演奏するノエルの姿も、これから先もずっと見られる“いつもの光景”だと思っていたから。それだけに、自分が一度体験したはずの出来事を追体験するという今回の劇場での時間は、何とも不思議な感覚をもたらしてくれた。

その後もバンドは、前年に加入したばかりだったドラマーのクリス・シャーロックと、ノエルから「『ロード・オブ・ザ・リング』のガンダルフに激似」と紹介されたキーボーディストと共に、「ザ・マスタープラン」「モーニング・グローリー」「ワンダーウォール」「リヴ・フォーエバー」など、ヒット曲の数々を演奏した。また、ノエルが「日本でプレイするのは初めてだと思う」と「ハーフ・ザ・ワールド・アウェイ」を披露したり、リアムが自身が書いた名曲「ソングバード」を歌う場面もあり、そのグレイテストヒッツ的なセットリストに改めて彼らの偉大さを感じた。

「これがラストライブ」と認識して観ると、「シャンペン・スーパーノヴァ」で苗場の山に響き渡るリアムのボーカルも、毎回楽しみにしていたノエル率いる「ドント・ルック・バック・イン・アンガー」の大合唱も、少し切なかった。ギャラガー兄弟は解散後も、それぞれのバンドでオアシスの楽曲を披露しているが、やはりあの二人がそろったステージが放つエネルギーは全く別物なのだ。

フジロックでのライブから約1ヶ月後、ノエルは公式サイトで「少しの悲しみと大いなる安堵感と共に、今夜、オアシスを脱退したことを発表する」と宣言。その理由を、「もうこれ以上、一日でも長く、リアムと続けることはできなかった」と説明した。そしてその後、リアムが「オアシスは終わった」と述べ、バンドは解散。あれから何度も再結成が噂されているものの、現時点でオアシスが再びステージに立つ予定はない。

過去に観たライブ映画では、スクリーンの中の盛り上がりに取り残されたような気分になることが多かったのだが、今回は<丸の内ピカデリー爆音映画祭>と冠されているだけあり、音響のクオリティが素晴らしかった。スクリーンの裏でメンバーが演奏しているかのようなライブ感が味わえるし、劇場の暗がりが苗場の夜の闇を想起させるのも良い。いつかまた、オアシスのライブが観られる日が来るかどうかはわからないけれど、あの夜あの場にいた人も、いなかった人も、機会があればぜひ劇場で彼らのライブを体験してみてほしい。

文・Thumper Jones




『オアシス フジロックフェスティバル'09』

2017年3月25日(土)〜4月7日(金)
@丸の内ピカデリー3/丸の内ピカデリー爆音映画祭
・入場券2,800 円(税込)
・上映時間 約100分
・配給:ローソンHMVエンタテイメント、カルチャヴィル
・協力:ソニー・ミュージックレーベルズ、ソニー・ミュージックパブリッシング、スマッシュ
・入場者特典:オリジナルB2ポスター ※数量限定・無くなり次第終了
セット・リスト(全20曲):ファッキン・イン・ザ・ブッシーズ/ロックンロール・スター/ライラ/ショック・オブ・ザ・ライトニング/シガレッツ&アルコールロール・ウィズ・イット/ウェイティング・フォー・ザ・ラプチャー/ザ・マスタープラン/ソングバード/スライド・アウェイ/モーニング・グローリー/マイ・ビッグ・マウス/ハーフ・ザ・ワールド・アウェイ/アイム・アウタ・タイム/ワンダーウォール/スーパーソニック/リヴ・フォーエヴァー/ドント・ルック・バック・イン・アンガー/シャンペン・スーパーノヴァ/アイ・アム・ザ・ウォルラス

<丸の内ピカデリー爆音映画祭>

2017年3月25日(土)〜4月7日(金)
@丸の内ピカデリー3(東京都千代田区有楽町2-5-1有楽町マリオン新館5F / TEL:03-3201-2881)
上映作品:オアシス フジロックフェスティバル'09/キングコング:髑髏島の巨神/マッドマックス 怒りのデス・ロード<ブラック&クローム>エディション/ダークナイト/パシフィック・リム/ゼロ・グラビティ
映画は“音”で、もっと楽しめる!というコンセプトをもとに、映画館にライブ・コンサート向けの大規模かつ高品質な音響機器をセッティングし、作品の持つ“音”の世界や可能性を極限まで探求し、高品質な“音”を大音量で表現する映画祭。映画祭を総合的にプロデュースするのは、04年から東京・吉祥寺バウスシアター、そして日本全国各地にて、音楽用のライヴ音響システムを使用しての数々の爆音上映を企画・上映し、まさに“爆音”という「新しい映画の楽しみ方」を創出した樋口泰人(株式会社boid 代表)。映画愛に溢れ、繊細かつアーティスティックなプロデュースで定評のある樋口氏が、これぞ“爆音”で堪能してほしいと考える7本の名作を、新作・旧作織り交ぜ選出し、作品それぞれに適した音響調整を実施。迫力のあるシーンは、よりダイナミックに、緊張感のあるシーンは、よりきめ細やかになるよう、作品、シーンそれぞれに合わせ、繊細に音量・音圧を調整していくことで、これまでには決して体験することのできなかった新たな感動を創造する企画。
・入場料金:各作品によって異なる
・企画:松竹マルチプレックスシアターズ、ローソンHMV エンタテイメント、メイジャー
marupicca-bakuon.com


二度と体験できないかもしれない<丸の内ピカデリー爆音映画祭>について

今はなき吉祥寺バウスシアターを拠点に、boidによる企画制作で2004年に産声を上げた<爆音上映>。ライブ用音響システムを使い大音響の中で映画を見・聴く試みがそれだ。その爆音によって視覚までもが変容して映画そのものも違って見える。大音響でなければ聴こえてこない幽かな音を聴くという、大胆かつ繊細な上映のことを指す。その画期的な面白さが広がり、08年からは映画祭として始動。現在は全国の映画館、公共施設、ライブハウスなどにて<爆音上映>&<爆音映画祭>が行われている。

このたび<爆音映画祭>のために丸の内ピカデリー3に設置された機材は、フランスL-Acoustics社のARCS & SB218 System。一般的なスピーカーシステムは隣り合ったエンロージャーの水平軸上の干渉が強すぎるため、結果的に明瞭度を大きく損なうことになるが、ARCSではそのような事象が起こらないのが特徴。<爆音映画祭>では、もはや音声を5.1チャンネルとか7.1チャンネルとかで捉えることなく、音を全てミックスするやり方で今回のために持ち込んだ機材はもちろん、丸の内ピカデリー劇場内に常設されているスピーカーもすべてを鳴らすことで28系統の音を作りだしている。『オアシス フジロックフェスティバル’09』もそれらの機材を使用し全20曲にあった音響・音圧調整を細かく行っている。この<丸の内ピカデリー爆音映画祭>でしか、体験することができない貴重な機会となっているのだ。

◆『oasis FUJI ROCK FESTIVAL '09』 オフィシャルサイト