【ライブレポート】エピカ、起伏に富んだヘヴィ・メタル浪漫主義

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2017年4月、エピカが初来日公演を行った。15年のキャリアを誇り、オランダから世界へと飛躍するシンフォニック・メタル・バンドとして熱狂的に支持されてきた彼らが遂に日本上陸。その反響は大きく、大阪・名古屋公演が大盛況、最終日の東京公演はソールドアウトとなった。

◆エピカ画像

彼らの来日を長年待ってきたファンも少なくなく、開演前から会場内の温度は上がりっぱなし。最新アルバム『ザ・ホログラフィック・プリンシプル』の最初を飾る「アイドラ」のイントロ・テープが流れると、彼らは波が打ち寄せるように前方へと押し寄せていき、「エッジ・オブ・ザ・ブレイド」で一気に爆発した。


ヘヴィなメタル・サウンドとオーケストレーションが空間を埋め尽くす中、シモーネ・シモンズはステージ上のシャーマンのようにバンドを従え、観衆を導いていく。伸びやかでハリのあるヴォーカルで魅了するのに留まることなく、彼女の歌声とステージ・パフォーマンスは、一挙一動が聴く者を惹きこんでいくカリスマ性を伴うものだ。その圧倒的な存在感とバンドの演奏の厚み、そして観客の声援で、クラブ規模の会場は天井が抜けてしまいそうだ。

さらに「ア・ファンタズミック・パレード」と、『ザ・ホログラフィック・プリンシプル』の曲順通りショーは続く。トータル性のあるアルバムゆえ、このまま行くのか…?と思われたが、次はファースト・アルバム『ザ・ファントム・アゴニー』(2002)からの「センソリアム」だった。新作で仮想現実、前作『ザ・クアンタム・エニグマ』(2014)で量子物理学を題材にするなど、“理数系メタル”バンドの側面も持つエピカだが、15年の月日を一気に遡る“時間遡行”をやってのけるのも、彼らならではの荒業だった。


エピカの強みはシモーネ、クリエイティヴ面の要でギターとグラウル・ボイスを担当するマーク・ヤンセン、シンフォニック面を担うキーボード奏者コエン・ヤンセンという3人のバンドの支柱がデビュー以来そびえ立っていることだ。鉄壁の三角形が揃っている限り、彼らの音楽性のアイデンティティは微動だにしない。そんな中でもコエンはシンセサイザーでバンドのシンフォニックな部分を背負うのと同時に、エンターテイナーとして湧かせる。彼は楕円状にカーブしたショルダー・キーボードを抱えてフロアに飛び込んでいき、観客の真っ只中でソロをプレイ。ただでも熱気の漲る場内の温度をさらに上げていた。


「アンリーシュド」や「マーター・オブ・ザ・フリー・ワールド」、「ジ・エッセンス・オブ・サイレンス」など、初来日公演に相応しく歴代のベスト選曲で臨んだ彼らだが、観衆はどの時代の曲にも熱く反応。「ストーム・ザ・ソロウ」では手拍子で場内がひとつとなり、「ジ・オブセッシヴ・ディヴォーション」ではサークル・ピットも実現した。メロディアスでクラシカルな要素と同時に、エクストリーム・メタルの過激さを兼ね備えるエピカのステージは、15年の軌跡を1時間半に凝縮した密度の濃いものだった。

再び新作からの「アセンション~ドリーム・ステイト・アルマゲドン」「ダンシング・イン・ア・ハリケーン」を披露して、本編ラストはファーストからの「クライ・フォー・ザ・ムーン」だ。ヘヴィでクラシカル、シモーネの美旋律とマークの咆哮が交錯する、これぞエピカという起伏に富んだ、ヨーロッパ出身バンドならではのヘヴィ・メタル浪漫主義は、ライヴを単なるパーティーに終わらせず、余韻を残しながらいったん幕を下ろした。


アンコールは「サンクタ・テラ」と「ビヨンド・ザ・マトリックス」、そして「コンサイン・トゥ・オブリヴィオン」の3連打。ラストではモーゼの紅海のように観衆が左右に割れ、コエンの合図と共に全力疾走で激突するウォール・オブ・デスが発生し、バンド・観客ともに100%完全燃焼してライヴが終了した。

だがエピカは日本に大きなものを残してステージを後にした。彼らの噂に違わぬ凄演は、本邦のメタル史にひとつの“伝説の始まり”として刻まれることになったのだ。この伝説の続きは、必ずや綴られることになるだろう。





文:山崎智之
Photo by Mikio Ariga

<EPICA来日公演>
2017年4月6日(木)
@東京渋谷クラブクアトロ

エピカ『ザ・ホログラフィック・プリンシプル』

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◆エピカ『ザ・ホログラフィック・プリンシプル』オフィシャルページ
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