【インタビュー】PENICILLIN、結成25周年第2弾「根源から脈々と続く今と未来を考えて」

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■全体的に手数を増やすのをやめたんですよ
■人力で行けるところまで行ってみようと

──では「メランコリック」はアルバムのリード曲ですが、選んだ決め手は?

千聖:レコーディング中にHAKUEIが「メランコリア」でいいかなって言ってたような気がするけど。

HAKUEI:そうだね。「メランコリア」か「Perfect Flame」かなって。リード曲に決まった時には“だよね”って思いました。

千聖:HAKUEIくんの声質とのマッチングがいいからね。それでいて激しいアプローチをしている曲でもあるし。

O-JIRO:アルバムタイトルが背中押してくれた感はありますね。

千聖:『Lover’s Flame』じゃないなって。『Lover’s Melancholy』のほうがPENICILLINに雰囲気的には合ってる。

O-JIRO:ジメジメ感がね(笑)。

千聖:“燃え上がる恋人たち”っていうのはね。

HAKUEI:鬼ダサいしね(笑)。

千聖:ま、中身はFlameですけど。

──ははは。炎のように燃え上がっていると。

O-JIRO:でも、曲順も「メランコリア」が最後に来て落ち着いたなって。

HAKUEI:いいよね。

千聖:いいバランスになったよね。


──「メランコリア」のミュージックビデオはどんな仕上がりに?

HAKUEI:監督曰く、「みなさんでの演奏シーンはさんざん撮ってきたでしょ?」ということで、スチール写真が動いているようなモード感のある映像にしてみたいという要望が。なので今回、集合のカットがないんですよ。しかも、各自のポジションをあまり変えずに撮った。それがスチールっぽくってことだと思うんですけどね。あとハーフのモデルさんに出てもらってイメージ映像を撮ったり。

──おしゃれな感じの映像ですかね。

千聖:そうですね。今までにない感じの映像ですね、新しい監督と一緒にやったので。

O-JIRO:回したロールも少ないし、集合カットもなかったんですけど、監督の中にヴィジョンがあって「大丈夫だ」って言ってくれて、そういう方と一緒にやったことがなかったので新鮮でしたね。

──監督さんに委ねたんですね。

千聖:初めての方でしたけど思いきり委ねましたね。シナリオを送ってもらった段階で、すぐに行けるなっていうのがあったので。

O-JIRO:「自分が持っている感性をPENICILLINのビデオで表現したい」と言ってくれたので、委ねるしかないなって。

HAKUEI:撮影中はイメージ通りの素材が撮れたらOK。「一応、こういうパターンも撮っておこう」っていうのもなかったですね。

──アーティスト写真の艶やかさとはまた違うイメージですね。

HAKUEI:そう。色のトーンも落ちてて、もう少しレトロっぽい感じ。

──では、各自チャレンジした楽曲について教えてください。

HAKUEI:1曲目の「黙示録」はJIROさんがデモを持ってきた時にチャレンジ精神を感じて、ボーカルなしのインストにしても良かったんでしょうけど、しっかり歌が入った設定にしたくて、すごく満足しています。

──先ほど映画のような始まり方という話も出ましたが。

HAKUEI:そうですね。演奏もしていて、ここまで劇版っぽい雰囲気の曲で始まる作品というのはなかったので。短い曲ですけど、すごく大事な曲だと思ってます。

──なぜ「黙示録」というタイトルにしたんですか?

HAKUEI:7つの大罪の英語のつぶやきから始まるっていうアイディアがJIROさんからあったんですよ。

O-JIRO:作った時は“人の本質”みたいなものを表現した曲になったらいいなって。生命が生まれて大地を走り回ってるみたいなイメージでリズムやテンポから作り始めたので、歌詞の内容にも満足です。最初は作り込んでシンセをいっぱい入れてたんですけど、MSTR(千聖)が激しいギターをガンガン入れてくれたので、さらに躍動感が出たんですよね。妖しいクリアトーンのギターを2本弾いてくれて、音的にだんだんお腹いっぱいになっていくような感じを出したかったから、すごく良い出来になって嬉しいですね。

千聖:「黙示録」は、自分からすると、ジェーンズ・アディクションのデイヴ・ナヴァロのギターに近いイメージかな。‘80年代のニューウェーブのノリと‘90年代のオルタナ系のギターを合わせたような、変則的なフレーズを弾いていますね。

──短い曲だけど濃縮されてますね。

O-JIRO:そう。ガーッと行く感じを短い中に全部表現できてるんじゃないかなって。

HAKUEI:尺は普通の曲の半分ぐらいなんですけど、このサイズがカッコいいなと思ったんですよね。

▲ミニアルバム『Lover's Melancholy』Type-A

──「黙示録」から「Perfect Flame」のダイナミックなアプローチに移行するのがいいんですよね。サバンナをライオンが駆け抜けていく描写で始まる歌詞もピッタリで。

HAKUEI:そうですね。曲順は最後に決めたんですけど、偶然流れが出来て。

千聖:「Perfect Flame」は、リフを作った時にスピード感のあるジミヘンとか、マシュー・ベラミー(MUSE)の疾走感のあるギターの感じとベルベットリボルバーのセクシーで重いサウンドとか、いろんな要素をくっつけて。湿度はイギリスだけどダイナミクスはアメリカみたいなイメージでデモを作って、最終的にはHAKUEIとJIROさん、シゲさん(プロデューサー)に参加してもらいましたね。

──ギターソロもカッコいいですね。Flame=炎のイメージですか?

千聖:タイトルは後でつけたので何とも言えないですけど、揺れてる感じはしますよね。ジミヘンとかのイメージだったのでエフェクターもファズとかフェイザーを使っているんですよ。揺れたり、激しかったりする音にしたかった。パンチ力のある音になっているのはそういうところもあるのかもしれない。

HAKUEI:歌詞は根源的なもの=本質がテーマ。そういう大事なことって時々思い出さないと忘れちゃったり気づかなかったりするので、嫌だなと思うんですよね。歌詞はメッセージでもあるので、メンバーや聴いてくれる人と共有したいと思って書きました。タイトルも情熱的ですね。

──ピンクのイルカが出てくるのもHAKUEIさんらしい。

HAKUEI:官能的なものと神秘的なものを融合させるのに良いイメージかなと思って。ピンクのイルカって実際アマゾンにいて“神の使い”って言われてるんですよ。

──そうなんですね。あとこの曲、ドラムの後半の追い込みがすごいなって。

O-JIRO:でも、今回のミニアルバムは全体的に手数を増やすのをやめたんですよ。もうちょっとテンポが欲しいなと思っても人力で行けるところまで行ってみようというのを課題にして。

千聖:手数、少ない?(笑)。

HAKUEI:俺も多いと思うけど。

O-JIRO:ははは(笑)、これでも減らしたほうなんですよ。

HAKUEI:効果的に抜くところ抜いてるんじゃない?

O-JIRO:打ち込みと同じぐらいの手数があったのをだいぶ減らしたんですけど、好きにやるともっと増えちゃうんでしょうね。アタックが増えてパンパンパーンってノレるような箇所も本当に強いアクセントしか入れてなくて。

千聖:入れようと思えばいくらでも入れられるぞってことだよね。

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