【ライブレポート】植田真梨恵、<Lazward Piano>ファイナルで「自分の納得する、美しいと思える道を」

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植田真梨恵が3月25日、東京グローブ座にて<植田真梨恵 Live of Lazward Piano “bilberry tour”>のツアーファイナルを開催した。

◆植田真梨恵 画像

「<Lazward Piano>の7年間を全部詰め込んだようなツアーにしたいと思いながら、全国を廻ってきました。違う会場、違うお客さん、違うグランドピアノ、1ヵ所1ヵ所を楽しんできましたが、12ヵ所を廻って、今までのなかで一番長い<Lazward Piano>ツアーが、今日、終わってしまうんだなって。
 初日の札幌(2/3@札幌KRAPS HALL)から、大切にしている思いがあります。<Lazward Piano>は、青く静かだけどとても強く、高い温度で燃える炎のようなイメージなんです。そんな青さのなかで、より瑞々しく、よりワイルドで、よりプレシャスに、そんなイメージでライブができるといいなと。そう思って、“bilberry tour”と名付けました」──植田真梨恵

同ライブ中盤のMCで植田真梨恵はこう語っていた。ビルベリーはブルーベリーの原種ともいわれる近縁種。房をつくらない果実は、小さいが味わい深い。加えて、育てることが極めて難しい野生種だという。<Lazward Piano>の甘美さも価値の高さも濃縮された同夜のレポートをお届けしたい。

   ◆   ◆   ◆


2013年以降はほぼ毎年恒例となっている植田真梨恵 (歌とアコギ)、西村広文 (グランドピアノ)のふたりによるピアノツアー<Lazward Piano>が、2年ぶりに帰ってきた。<植田真梨恵 Live of Lazward Piano “bilberry tour”>と名付けられ、全国12都市を巡ったツアーの最終日は、東京グローブ座。大きなシャンデリアが、ステージ上のグランドピアノを柔らかく灯し、LEDライトの小さな明かりがステージのあちらこちらで揺れ、天井には星のように瞬いている。とてもポエトリーな空間だ。

会場SEには、ピアノやアコースティックギターの調律音が流れている。不規則で、それでいて妙な心地よさもある音響感は、会場の雰囲気ともあいまってエクスペリメンタルな現代音楽のようにも聞こえてくる。<Lazward Piano>は、歌とギターとピアノというミニマムな構成でありながらも、既曲を大胆な解釈でリアレンジし、ふたりの感性をかけ合わせた想像力に富んだ音の世界を生み出す実験的な精神にあふれたライブ。この導入から、観客はするりとその世界に入り込んでいく。


SEから連なるように西村がピアノを奏で、白いドレス姿で登場した植田真梨恵が、アコギを手にし「壊して」がスタートする。一音も逃さぬように耳を澄まし、目を凝らしてステージに集中する観客の緊張感が、ひたひたと会場を満たしていって、ふたりの呼吸の音までも聞こえそうなくらいの静かで熱いテンションになっている。「きえるみたい」、そして囁くように歌う「流れ星」へと、観客の心をがっちりとつかんで、さらに<Lazward Piano>のディープな世界へと連れていった。

そんなヒリヒリとした空気から、一気にボルテージをあげていったのは、「スメル」「S・O・S」。「スリー、フォー!」という植田のかけ声でスピードを上げると会場には手拍子が沸き起こり、「hanamoge」へと続く。原曲はどんなだったかを、瞬時にして忘れさせるくらいに、気持ちのいいギターの刻みと真新しい多彩なフレーズをまとったピアノのアンサンブルは、色鮮やかでエネルギッシュだ。曲によっては、ギターを置いてハンドマイクでステージを闊歩して歌い、あるいはアコギを抱きしめながら歌ったりと、表情も、声の表情も豊かで、饒舌なピアノとかけあうステージは、芝居のような雰囲気もあって、どんな瞬間も見逃せない。


「<Lazward Piano>は2人編成でお届けするライブです。私のライブにはいろいろありますが、そのなかでもより自由で、より今に近い、そんなステージになっています。とっておきの<Lazward Piano>、濃い<Lazward Piano>をみなさんにお届けしたいと思っています」──植田真梨恵

「センチメンタリズム」など、後半はさらにアグレッシヴになって、会場の気温も上昇。「暑い! 春だから暑い!」と生声で叫んだ植田だが、その熱はステージから生み出されるもの。その後も、濃密なアンサンブルで熱を放出しながら、本編ラストナンバー「さよならのかわりに記憶を消した」を静謐に、美しく響かせて本編の幕を閉じた。再び仄暗いステージに、チカチカと小さな灯りが揺れている空間が訪れると、会場は夢を見ていたような甘美さで包まれた。不思議な時間に紛れ込んでしまったような、とても濃い音楽体験となったライブだ。


アンコールは「REVOLVER」から。続いて、今回のツアー恒例となった“観客のリクエストに応えるコーナー”ではツアーファイナルならではの大盤振る舞いで、2曲をセレクト。超早口の「旋回呪文」を披露(何度も噛んでしまって、西村氏に突っ込まれたり)したほか、「サファイア!」が万雷の手拍子とともに奏でられた。ツアーのラストを飾るナンバーは名曲「朝焼けの番人」。あまりにもエモーショナルな歌とピアノが東京グローブ座に感動を満たして、<植田真梨恵 Live of Lazward Piano “bilberry tour”>が幕を閉じた。

この夏には、インディーズデビュー作である1stアルバム『退屈なコッペリア』リリースから10年を迎える。その10年を祝して、<indies 10th ANNIVERSARY LIVE「loadSTAR」>と題したアニバーサリー・ライブが大阪と東京で開催されることもアンコールで発表された。


「みなさんが“楽しい!”と思えることが、少しでも多い世の中でありますように。そういう歌が作れたらいいなと思いながら、たぶんずっと生きていきます」とは同ライブ中盤のMCで植田本人が語った言葉だ。独自の観点で音楽を生み出し、またこの<Lazward Piano>のようにその音楽を解体し、新たに構築するなど、アーティストとして恐れなくアイディアを更新して自分を耕し続けている彼女の軌跡と、この先へ期待したい。

取材・文◎吉羽さおり

■<植田真梨恵 Live of Lazward Piano “bilberry tour”>2018.3.25@東京グローブ座セットリスト

01. 壊して
02. きえるみたい
03. 流れ星
04. スメル
05. S・O・S
06. hanamoge
07. メリーゴーランド
08. 優しい悪魔
09. a girl
10. 灯
11. 勿忘にくちづけ
12. I was Dreamin' C U Darlin'
13. 夢のパレード
14. 心と体
15. センチメンタリズム
16. FRIDAY
17. 変革の気、蜂蜜の夕陽
18. よるのさんぽ
19. さよならのかわりに記憶を消した
encore
en1. REVOLVER
en2. 旋回呪文
en3. サファイア!
en4. 朝焼けの番人

■<植田真梨恵 Live of Lazward Piano “bilberry tour” Special Edition!>

2018年4月14日(土) 愛知・NAGOYA Blue Note
2018年4月28日(土) 大阪・Billboard Live OSAKA
2018年4月29日(日) 神奈川・Motion Blue yokohama

■<indies 10th ANNIVERSARY LIVE「loadSTAR」>

2018年7月21日(土) 大阪・Shangri-La
OPEN18:00 / START18:30
(問)Shangri-La 06-6343-8601
2018年7月30日(月) 東京・新宿ReNY
OPEN18:15 / START19:00
(問)新宿ReNY 03-5990-5561
▼チケット
¥4500 (税込 / オールスタンディング)
※入場時別途ドリンク代必要
※整理番号順の入場となります
※未就学児入場不可
一般発売日:2018年6月30日(土)

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