【インタビュー】FABLED NUMBER、決意と勝負の1st SG

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■嘘をついていたんです

──“熱さ”が根っこにあるバンドということを踏まえたうえで、最新作「I Bet My Life (or Death)」について話しましょう。今作を作るにあたって、テーマやコンセプトなどはありましたか?

Taichi:僕らはインディーズの頃はずっとラウドシーンで活動していて、暴れたい人がライブに来て、対バン相手もすごく激しくて……という感じだったんですよ。でもシャウトがある曲はないし、激しい音楽をやっているというイメージは自分たちとしてはそんなになかったけど、メンバーの人間性とかライブがものすごく激しいから、ラウドに位置づけている人がいっぱいいたんです。そういうスタンスのバンドだったから、メジャーデビューするにあたって歌モノのほうに寄って、そっちで人気を得ていく流れも悪くないんじゃないかという話になって。それで、メジャーの一作目から、若干そういう方向に寄っていったんです。でも、やればやるほど、なにか違うなと思うようになった。ライブをするときは人間性や性格は偽れなくて、自分たちに嘘をついていたんですよね。

──嘘、ですか。

Taichi:お客さんもわかっていて、めっちゃアッパーな気持ちにさせてくれるFABLED NUMBERを求めているのに、なんか喋り口調がおとなしいとか、ちょっとよそよそしいというところに不満を感じていたようなんです。初めて僕らに触れる人のことを踏まえてそういうアプローチを採っていたんですけど、自分達に一番向いていて、自信を持って“これや!”といえるものを今回のタイミングで提示しようということになり、メンバーと事務所、メーカーと話し合って、バンドとしての決意を形にしたのが、今回の「I Bet My Life (or Death)」です。



Eita:インディーズの頃は、対バン相手と自分たちのどっちがお客さんをより激しく暴れさせられるかということに関して、絶対的な自信を持っていたんですよ。FABLED NUMBERは器用にいろんな音を鳴らせて、ミドル・チューンで飛ばせるものが主体のバンドだけど、お客さんの激しさが圧倒的だったんです。ライブで体力をしっかり使えるバンドがカッコいいと考えている人たちがFABLED NUMBERを押しあげてくれたんだとしたら、メジャーデビューしてからの自分たちは戦っている場所が違うんじゃないかと思うようになって。メジャーデビューしたときは、そんなふうには考えていなかったし、僕ら自身もやりたいことがいっぱいあったから、歌モノに寄ることに抵抗はなかったんですけどね。

Taichi:デビューしたときは、そうやったね。

Eita:でも、『ILLUNINATE』(2017年2月発売)と『THUNDER』(2017年11月発売)を経て、次にシングルを出すとなったときに、自分たちはなにがしたいのかを全員でもう一度見つめ直そうということになったんです。それで、ワンマンのときにお客さんからリクエストを取ったら、みんなアッパーな曲を求めていることがわかったんです。そういうことも踏まえて、どうすんねんとなったときに、自分たちは激しくいきたいと思ってライブをし続けているし、お客さんもそれを求めているなら迷うことはないだろうということになりました。次に出すシングルは、極端なことをいえば、激しいものが無理な人は聴かんでもいいよ……くらいのものにしようと。

──メジャーデビューするにあたって周りから歌モノという言葉が出たことから、FABLED NUMBERがそれに対応できるポテンシャルを持ったバンドだということがわかります。

Taichi:そう。周りの人たちは、みんなそう言っていました。

Eita:自分たちとしても歌モノ寄りの曲も楽しめたし。でも、ひと周りして、一度自分たちの原点に立ち返りたくなったんです。

▲Eita(Vo&G)

──時期を見て原点回帰するというのは大事なことですよね。それに、激しさを押し出したということですが、リード曲の「I Bet My Life (or Death)」はパワフルかつ生々しいバンド感とEDMに通じる要素を絶妙に融合させて、独自の世界を構築していることが印象的です。

Taichi:そこは、こだわりました。ただ単にバンド感を押し出したものはFABLED NUMBERではないし、シーケンスがバンドに勝ってしまうのも違うというのがあったから。だから、一番いいバランスを見極めるようにしたんです。かなり音数が多いけど、それを感じさせずにシンプルに聴かせるというところも大事にしました。

──さすがです。「I Bet My Life (or Death)」は曲を作る段階から、そういうことを意識されていたのでしょうか?

Taichi:いや、「I Bet My Life (or Death)」は、元々は『ILLUNINATE』を作ったときに、候補曲として原形ができあがっていたんですが、そのままお蔵入りしていて。今回のシングルを作るにあたって、「I Bet My Life (or Death)」よりもうちょっとミドルテンポの別の候補曲があったんですよ。そういうテンポ感の中で激しさがあるという自分たちのオハコみたいなことをやるつもりで、“もう、これやから”と出したんです。その後、メーカーの人と話をしたときに、もっと的を絞ったものをやったほうがいいんじゃないかという話が出て。それを聞いて、僕は頭を抱えたんですよ。一周まわって、ようやくいい感じのところに落ち着いたと思ったのに、また戻っていくのかと。それでいろいろ考えたけどそんなことを言っている場合じゃないと思ったし、自分たちが本当に好きなものがあってそれを求めている人がいるなら、一回そこで勝負せえへんとどうにもならんなって。今後自分たちがどんな音楽をやっていくことになるかはわからないけど、また新しい場所があると思うんですよ。そこに辿り着くために、今バンドが求められているもので、かつ自分たちが好きなものをわかりやすく表現して、それをシングルとして出そうということになりました。

──そう決意するとともに、用意していた曲ではなくて「I Bet My Life (or Death)」を持ってきたんですね。

Taichi:そう。これは使えるなと思って引っぱり出してきて、今の自分たちの感性だったり、時代性だったりに合わせてアレンジし直しました。

Eita:「I Bet My Life (or Death)」にしても、カップリングの「Windshield」にしても、全然激しくないと捉える人もいると思うんです。でも、これが僕らの思う激しさなんですよね。

──そういうスタンスが奏功して、幅広い層にアピールするアッパーな楽曲に仕上がっています。「I Bet My Life (or Death)」の歌詞についてもお聞きしたいのですが、“自分らしく生きろ”ということを歌っていつつ、ファンに向けたメッセージとも、ラブソングとも取れるものになっていますね。

Eita:もう、それで纏めておいて欲しいなという感じです(笑)。捉え方というのはいろいろなので、自分たちに向けて言っているんだなと受け取る人もいると思うんですよ。でも、今は自分たちのことを歌う時期で、誰かの背中を押したいとはまったく思っていない。誰かのことを歌うようなバンドや平和について歌うバンドもいれば、常にポジティブなことを歌うバンドもいるし、恋愛のことだけを歌うバンドもいる。だから背中を押すような曲はそういうアーティストが作るべきやと思うんです。なので、この曲は今の自分が本当に歌いたいことを書きました。基本的に英語で、少し日本語が入っているという形なんですが、歌の流れがカッコよくないとカッコいい曲とは言えない、英語にするならカッコよく聴こえないと……という思いがあり、言葉の響きを大事にしましたね。

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