【インタビュー】NIKO NIKO TAN TAN、骨太なオルタナとミクスチャーをコアに荒々しく感情を揺さぶる

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なにからなにまでユニークすぎるグループの登場である。写真を見ても名前を聞いても正体不明、パフォーマンス担当2名とアートワーク担当2名という構成も、通常のバンドの概念からは大きく外れている。だが肝心の音は実に魅力的で、生演奏による尖ったオルタナ、ミクスチャーの骨格にメロディアスやR&Bや精密なダンス・ミュージックの要素を取り込み、時にチルアウト・ミュージックのようにゆったり心地よく、時にエモ・ロックのように荒々しく感情を揺さぶる。彼らの名はNIKO NIKO TAN TAN。どんな気難しい奴らが来るかと思ったら実に気さくでシャイな男たち。しかし胸の内に秘めた音楽的野心はめらめらと燃えている。注目のニュー・カマーNIKO NIKO TAN TANの初インタビュー、OchanとAnabebeに話を訊いた。

Ochan / オオチャン
・Vocal,Keyboard,Guitar,Sampler,Composition,Lyrics
Anabebe / アナベベ
・Drums , Chorus
Samson Lee / サムソンリー
・Video,Graphics,Lyrics
Drug Store Cowboy / ドラッグストアカウボーイ
・MotionGraphics

■このバンドは誰がどういう楽器を弾くかというパート分けがない
■純粋な気持ちで作品として良いものを作ろうと思ったんで


──NIKO NIKO TAN TANを組んだのって最近なんですよね。

Ochan:そうです。曲を作り始めたのは去年ですけど、今年から活動を始めました。

──パフォーマンス・チーム2人とアート・チームが2人という、非常にユニークな形態ですけども。これはコンセプトありきなのか、人ありきなのか。

Ochan:どっちか言ったら人ありきですね。元々全員友人で、ここ(オオチャン&アナベベ)はもう10年ぐらいの付き合いです。最初のきっかけは映像を作るサムソンリー(ビデオ、グラフィックス、作詞)が、東京から種子島に移住したんですよ。そこに僕が音の仕事で呼ばれた時に、僕は音楽で彼は映像で「一緒に何かやりたいな」という話をして。初めは2人で実験的なことをやっていたんですけどだんだん幅が広がってきて、アナベベとドラッグストアカウボーイ(モーション・グラフィックス)を加えてやってみたという感じですね。

Anabebe:僕はそういうなれそめをあんまり知らなくて、スタジオに入っているうちに、どんどんこうなっていった。

Ochan:よくわからんうちに加えられてた(笑)。

──誰もやっていない新しいことやりたいとか、通常のバンド形態じゃつまらないという意識はあったんですか。

Ochan:バンドはいろいろやってきているんですけど、違うことしたがりなところがあって、今まで組んできた形でまたやることは頭になかったです。自分の周りに映像やアートワークをやっている人間が多いので、アートワークをプラスしたものをやりたいなという、自然な流れでしたね。

──それは自分の欲求で? それとも、きっと受けるだろうという対外的な狙いもあった?

Ochan:もちろん自分の欲求がありましたし、人と同じことはやりたくないなと思っていたのと、うまくやれば少なからず面白がってくれる人は絶対いるだろうと思ってやっています。自分の欲求で作っているけどそれだけじゃ続かないので、人に見てもらって“いいね”という反応があるほうがやりがいがあるので。

──東京と種子島って、曲作りはどうやっているんですか。

Ochan:この2人は普通にスタジオに入るんですけど、数曲たまったら種子島に行って数日間で一気にその曲ぶんのビデオを撮って、またバラバラになって作っていくみたい感じです。全曲に対して映像をつけるのがやりたいことの一つなので、それが一番効率の良い作り方だと思ってます。


──音を聴いていると、ギターがないんですよね?

Ochan:僕は元々ギタリストですけど、ギターは20代前半でやりすぎて今は弾く気分ではないというか。

──鍵盤トリオに聴こえますよね。ドラムとベースとキーボードと、あとサンプラー。

Ochan:このバンドを始めてから、この人はこれを弾くというパート分けがないんですよ。ライブでは誰がどう弾くかということを一切考えずに、作品として良いものはどうするかを突き詰めた時に、純粋な気持ちで作ろうと思ったんで。結果、ライブでどうしようとなった時に、トラックを流してその上でアナベベがドラムを好きに叩くという、ドラムにリズム・トラックの責任をなるべく負わせないという感じにしたかったんですよ。彼は自由にしたほうが面白いし、トラックを使えば音数の制限をなくせるし、自分の中で腑に落ちる部分があったので。

──ということは、既存のバンド・シーンと呼ばれるものに属してる感じはないということなのかな?

Ochan:そうですね。今は東京が拠点ですけど、どこかに属してるという感じはないです。映像のメンバーが二人いるのがすごく大きくて、二人の音楽チームだけでやっていたら何かの一派に入っていたかもしれないですけど、彼らには全然そういう概念がないんで。ものを作るにしても、定例じゃない切り口から話すのでその影響はすごく受けてると思います。


▲Ochan

──とにかく自由に、とにかく純粋に。ここらでルーツ聞いておこうかな。どういう音楽を聴いて育ったんですか。

Anabebe:ルーツは…ハードロック、プログレッシブ・メタル。イエスやドリーム・シアターとか。そこから海外オルタナティブを聴いたりファンクとかジャズを聴いたり、ヒップホップを教えてもらってみたいな。一番好きなのはマーズ・ヴォルタ。共通で。

Ochan:そこは2人とも大好きです。ただ何に影響されたかと聞かれてもわからないですね。いろいろありすぎて。

──バンドを始める時に“あのバンドみたいな”という話し合いがあったわけでもなく。

Ochan:ないです。でもかっこいいと思うものの共通の意識はあって、それを繋ぎ合わせていく感じはあるかもしれない。

──ベース・ミュージック、ドラムンベースとか、そっち系のグルーヴも感じるんですけどね。

Anabebe:ジェイムス・ブレイクとかプレフューズ73とか。

Ochan:フォー・テットとか。


▲Anabebe

──なるほど。オオチャンの個人的ルーツは?

Ochan:元々普通にJ-POPが好きで、高校時代はジャパニーズ・パンクのHi-STANDARDとかを聴いていました。メロコアやインディー・ブームみたいなものがあったので。そこから海外のそういう音楽を聴き始めてアンビエントなものに行ってシガー・ロスが好きになって、アイルランドのビョーク界隈の音楽が当時は好きでした。ダークだけど美しいという、相反するものが融合した感じがすごく好きで、音楽的にどうこうというよりは、相反するものの融合がNIKO NIKO TAN TANにも出てるのかなと思います。

──それめっちゃわかります。ちなみに今日いない二人も、曲作りには参加している?

Ochan:もちろん。サムソンリーは主に歌詞を書いています。曲を作る時に映像のイメージを話しながら作るんですよ。僕が作ったデモに合わせて映像を作ることもあれば、元ネタを持ってきて二人で“こういうものをイメージしたいね”と話し合ったりして作っていくんです。彼は音楽制作の常識を外れたところから言ってくるから、そのクレイジーさが逆に面白くて、あともう一歩だと思っていた曲がそのアイディアによって完成したりするんで、すごく面白いです。かなり無茶苦茶なこと言ってくるんですけどね。“もうちょっとフワッと”とか抽象的な言葉が多いんで(笑)。そういうやりとりばっかりしているうちに、どんどんスムーズになってきています。

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