【インタビュー】SHACHI、キュートなルックスとリリックへの共感の輪が広がっている注目の女性ラッパー
■自分が歌う歌は誰かのためや自分のため
■負の感情じゃなく良い刺激を与えられるようなものにしたい
――今作のタイトル『alone』は、決してひとりぼっちで寂しいという意味ではないことが伝わってくる気がしました。群れたり媚びたりしない、凛とした孤独のようなイメージです。
SHACHI:ありがとうございます。『alone』は、まずSHACHIがソロのアーティストであるということ。そしてそれぞれの曲も、ひとりだからこそ感じる気持ちとか、その孤独をどう乗り越えていっているのかというのがベースになっています。孤独の中にあっても、ちょっと見方を変えればプラスの気持ちに持っていけるっていう、自分の中での人生のヒントっていうのかな?きっかけみたいなところも込められていて。今はaloneつまりひとりで出発するけど、これからどんどん仲間が増えて、いつかフィーチャリングなんかもしたいなって思っている。だからこそ、まずはひとりであることをしっかりと打ち出した作品という意味を込めての『alone』になっています。
――眠りから目覚めて1日が動き出すというストーリーで幕を開けますね。
SHACHI:はい。「Don’t wake me up」というイントロから始まって、「Getting Lucky」は朝の通勤とか通学とか誰かのライフスタイルに寄り添えたらなっていう曲です。
――3曲めは「Tokyo」というタイトルですが、SHACHIさんはどちらのご出身なんですか?
SHACHI:私は横浜です。横浜出身の人って地元にすごいプライドを持っている人が多いと思うんですが、私はそれがあまりなくて。むしろ東京に憧れていたし、東京って色んな夢を持ったツワモノが集まる場所だと思っていたので、どうせやるんだったらツワモノ達がいるところで成し遂げたいと都内に移り住みました。でもその後、挫折なども経験して地元に戻ったんです。その時に、SAMEさんや地元の仲間達と音楽制作をすることになって。
――先ほどの話に繋がるわけですね。
SHACHI:はい。今は地元にスタジオもあってそこで制作をしているんですが、私の中のではいまだに東京への憧れは強いですね。この「Tokyo」は、私の等身大の歌詞。すぐ誰かと自分を比べちゃったりするんです。
――歌詞にもありますね。
SHACHI:あの子みたいにうまくやりたいとか、いいなあとか思っているけど、結局は自分でやるしかない。自分で突っ切っていくしかないんだからねっていう、心の揺られ方みたいなものもこの曲には入っています。誰かと比べちゃうって私だけじゃなくみんなあると思うけど、それってなんの意味もなくて。自分にしかできないことって絶対にあると思っているし、自分だからこそこれができたものも絶対にある。だから自分は譲れないよ、まだ自分は進みますっていう歌詞になっています。
――歌詞を書く上で大切にしていることはありますか?
SHACHI:これはジンクスというか勝手に思っていることなんですが、言葉にしたり口に出したりすることって、その通りになると思っていて。
――言霊みたいな。
SHACHI:それ、絶対にあると思っているんです。だからこうなりたいということは結構書いていますが、逆にネガティブなことは歌に出していないはず。少しずつですがちゃんと叶っている気もしているので、これからもたぶん自分が歌う歌は、誰かのためになるとか、もちろん自分のためとか、負の感情じゃなく良い刺激を与えられるようなものにしたいなと思っています。
――昨年配信された「HERO」という曲のMVで、色んな国の人が「It’s possible」と歌うシーンがありましたよね。今の話を象徴するシーンでもあるなと思いました。
SHACHI:そうですね。全然知らない人たちだけど、突然声をかけて歌ってもらったんですね。気持ちとか心の繋がりってあのひとつの作品の中でも証明できたんじゃないかなって思うし、そういうことを今回の「My Feelings」っていう曲の中でも歌っています。
――「音で繋がる世界 言葉わからなくても 聞こえてる鼓動」という歌詞もありますね。
SHACHI:はい。人と人は繋がれると思っているし、音楽を通してこれからも心を通わせたいなと思っています。
――その「My Feelings」の冒頭の部分は、言葉(歌)を出すのではなく引くことで印象づけるようなアレンジになっていますね。
SHACHI:聴いてほしい言葉も音もいっぱい入っている曲だからちゃんと耳を傾けてもらいたくて、あえて冒頭の部分は「何を言ってるんだろう?」って思うようなコソコソ話になっているんですよ(笑)。
――”コソコソ話”(笑)。
SHACHI:溢れてきちゃった気持ちみたいなものなので聞こえなくてもいいんだけど、でもどうしてこの曲があるのかっていうことを言っている部分でもあって。これは「Turn Up The Music」のアンサーソングでもあるので、あの曲に通じる思いみたいなものも込められた言葉になっています。
――こういう曲って、聴くだけじゃなく自分でも口に出して歌ってみたいなと思います。
SHACHI:ぜひ歌ってほしいです!コーラスの部分は、レコーディングでも実際にスタッフの皆さんにも参加してもらったりしたんですよ。歌詞の中に<一つの場所に集まる仲間>とあるんですが、これはSHACHIの音楽を一緒にスタジオで作っている仲間たちであり、レコード会社の仲間であり、ライブハウスやホールに集まってフィーリングを感じているみんなのことを歌っているんです。だから本当に、みんなに歌ってほしいなって思っています。
――今後、ライブに関してはいかがですか?
SHACHI:私はライブハウスで聴く低音がすごく好きなんですよ。内臓がかき乱されるような感じが大好き(笑)。今回の曲もライブハウスで聴いたらかなりヤバいと思うから、早くやりたいんですよね。
――それほどの低音の中で、SHACHIさんの透明感あるその声がどう響いてくるのかすごく興味をそそられます。
SHACHI:負けないように頑張ります(笑)。
――こういう言い方も何ですが、本当にいい声ですよね。
SHACHI:ありがとうございます。色んなコメントを見て驚いているんですが、こんなに褒めてもらえるなんて今までなかったんです。弱々しいし、ちょっとかわい子ぶってるみたいに思われがちだったりして、この声がプラスだって思ったことは今までなかった。嫌な経験の方が多かったから全然自信がなかったんですが、SAMEさんはその声を最初から買ってくれていたんですよね。歌唱力やラップの力は努力次第でどうにでもなるけど、声は持って生まれたものだからねって。でも最初は不安だったんです。ラップってかっこよくないといけないんじゃないかって初めの頃は思っていたから、この声でやってどう思われるんだろうって。でもいざ始めてみたら、声のことを褒めてくれる人がめちゃくちゃいてくれて本当に嬉しかったんです。自分は自分でいていいんだって思えた瞬間でもありました。
――少し前に声帯嚢胞の手術をされたそうですが、何か変化を感じていますか?
SHACHI:人との関わり方が変わりましたね。これは単なる被害妄想だったんですけど、以前は、自分の声が変だから私に対してみんなが壁を作っているんだって思っていたんです。でも喉の調子が悪くなって声が低くなった時に、高い声が出にくくなって絶望していた一方で、みんなとのなじみ方が自分的にはよくなったなと感じ、このままでもいいかなと思ったりもしていたんですよ。だけどボイスクリニックの先生が、あなたは絶対に声の仕事をした方がいいと薦めてくれて。声の成分的にもいいものを持っているから、手術をしてちゃんと向き合えば、歌うことも絶対にもっと楽しくなるよと言われたんです。
――そうだったんですか。
SHACHI:私、たぶん自分の結末に対して逃げていたんですよね。でもその道のプロの言葉を信じてやってみようと思ってやってみたら、YouTubeのコメントで褒めてもらえたりっていうことに繋がったので、今やっと実感しているんです。
――気がつくまでにだいぶ時間がかかっちゃいましたね(笑)。
SHACHI:(笑)。自信がないタイプなんですよ、たぶん。でも、自信はないけど叶えたいことは絶対叶えるみたいな、ちぐはぐな女なんです(笑)。ブレないというか、決めた目標は絶対に叶えたい。どんなに時間がかかったとしても。
――頼もしい!では、そんなSHACHIさんの今後の夢を聞かせてください。
SHACHI:自分の曲が誰かのためになればという思いでやっているんですが、もっと大きな意味で、ライフスタイルの一部になれたらなと思います。みんなが歌える曲とか、みんなの心から離れない曲を作れたらなって。
――さっきも少し言いましたが、SHACHIさんの曲は普通に高校生の女の子達もカラオケで歌いたくなると思います。すでに何曲か入っていますから、もう歌っている人も多いと思いますが。
SHACHI:実際に歌ってくれている動画とかを送ってくれた方がいたんですが、もう本当に嬉しくて。自分の中では革命的に嬉しかったし、もっともっと歌ってほしいなって思います。個人的には、女子高生に「Falling Down」とか歌ってもらいたいんですよね。
――ものすごい恋愛の曲じゃないですか!
SHACHI:中高生とか学生時代の恋愛って、大人がする恋愛以上に、人生とか心の傷になるほどのものだったりすると思うんですよ。ちょっと嫌な言い方ですけど。大人になると割り切れたりするから、そういう多感な時期ーー私にはもうこの人しかいないんだって思えるような恋愛をしている世代の子達に歌ってもらえたら最高に嬉しいなと思います。大人の人達には、そういう頃のことを思い出しながら歌ってもらえたらなって。
――となると、「One Day」はもっと広い世代の方が共感できるし歌いたくなる曲と言えるかもしれないですね。
SHACHI:はい。2バース目は会社に勤めている人の気持ちみたいなところも入れてみたので、男性の方にも何か感じてもらえるかなと思います。私もそういう経験をしたことがあるんですよ。最初は美容師をしていたので、結構大変な世界だなっていうことは痛感したんです(笑)。でもそういう中で頑張っている人達って素敵じゃないですか。あなた達がやっていることは間違ってない、あなただからできることをやっているんだから自信を持って仕事をしてほしい、そういう気持ちも込めました。今回はDigital EPですが、歌詞も全曲公開されているのでぜひ見てほしいと思います
取材・文●山田邦子
リリース情報
2019.9.2 Digital EP Release
1. Don’t wake me up -Intro-
2. Getting Lucky
3. Tokyo
テレビ東京「流派-R since 2001」9月度エンディング曲
4. One Day
テレビ朝日スペシャルドラマ 「ラッパーに噛まれたらラッパーになるドラマ」主題歌
5. Let me go with u -Interlude-
6. Falling Down
7. My Feelings
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