【インタビュー】メトロノミーが表現する「双面神ヤヌス」の世界

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バンド・サウンドとエレクトロを織り交ぜ、ポップでファニー、そしてちょっとひねくれた音楽センスで、2000年代以降の英国の音楽シーンで独自の存在感を築いているメトロノミーが、約3年ぶり通算6作目となるオリジナル・アルバム『Metronomy Forever』をリリースする。

『Metronomy Forever』は「ローマ神話の前と後ろに2つの顔を持つ双面神のヤヌスのように、過去と未来を同時に見つめると、Metronomyというバンドは永遠にあるべき」という思いのもとにつけられたタイトルで、彼らのこれまでとこれからを感じることができる充実の仕上がりとなった。11月には5年ぶりとなる来日公演を控え、フロントマンのジョセフに話を聞いた。


──約3年ぶりのニュー・アルバムは、全17曲で『Metronomy Forever』というタイトルに相応しいものになりましたね。

ジョセフ・マウント:手応えはかなりいいよ(笑)。長いと感じるようなアルバムがリリースできて嬉しい気分なんだ。ちょっと自分を甘やかしてやりたいようにやった感はあるけど、幅広いサウンドを採り上げることができたことに対してすごく満足しているんだ。オーディエンスがどのような反応をしてくれるか楽しみだし、ワクワクしているよ。

──『Metronomy Forever』には大作という堅苦しさはなく、様々なアイディアやサウンドをランダムに取り入れていくコラージュ感覚、その移り気なムードにワクワクします。

ジョセフ・マウント:テーマらしきテーマは何もなく、ただ自分が好きなことや聴くのが好きなものをやろうと決めたから、こうしたムードやサウンドはすべて僕を描写している感じで、コンセプトがないことが重要な部分になったんだと思う。コラージュ感覚は非常にいい言葉だね。コラージュなんだけど、自分のいろんな面を反射させてひとつに作品にまとめたんだ。

──本作の制作にあたり、具体的に影響を受けたアーティストや作品はありますか?

ジョセフ・マウント:1990年代後半のマンチェスターの音楽をよく聴いていたよ。ハッピー・マンデーズからプライマル・スクリームまで様々な音楽を聴いていた。でも、それは最近聴いて影響を受けている音楽なんだということに気づき始めた。1990年代後半に僕が聴いていた音楽はアメリカングランジだった。ニルヴァーナとかレモンヘッズ…それで彼らの音楽をギターとかのサウンドの参考にするようにしたんだ。だからドラム、ベースとギターはどちらかというとアメリカングランジのサウンドに影響されているだろうね。

──前作『Summer 08'』はセルフ・プロデュース、レコーディングもほぼひとりで行ったアルバムでしたよね。対して本作は再びバンドとして取り組んだ作品なのでしょうか。

ジョセフ・マウント:いや、今回も自分で全部やっているよ(笑)。僕が音楽を作り、レコーディングして、プロデュースをしている。制作はすべて自分でやっているけれど、ツアーとなると同じように重要なのがバンドメンバーなんだ。彼らを頼っているし、お互い助け合っている。でもレコーディングはいつも自分だけでやるんだ。

──バンドメンバーも現在5人ですが、今のメンバーになっていかがですか?

ジョセフ・マウント:すごく楽しいんだ。お互いを必要としているし、相性がいい。こんなに相性のいい人たちが集まれて僕たちはラッキーだったと思うよ。ツアーをするのが楽しみだし、みんなと会うのが待ち遠しかったりする。

──まとめ役はあなたですか?

ジョセフ・マウント:僕が指図するんだ(笑)。前作『Summer 08'』をリリースした時はツアーをしなかったので、今回ツアーができるからみんなものすごくテンション高くて楽しい。みんな笑顔で素敵なんだ。

──今作の曲作りはいつ頃からスタートしたのですか?『Summer 08'』はテーマ自体が自身の青春時代を振り返るようなパーソナルな内容でしたが、今作は?

ジョセフ・マウント:ちょっと空想している内容もあれば、今自分の人生のこの時点で自分に響くものとかのパーソナルな内容もある。年齢を重ねて行くにつれ、若かったころに経験したものは経験しなくなるし、思い出しているんだよね。37歳になった今、また違ったものを感じたり経験している。だからここでは空想と現実の半々を表現していると思う。3年くらいまえから曲を作りはじめていたけど、ロビンとの『ハニー』に取り組み出すとすごく時間をそれに費やさないといけなくなった。同時進行で自分のアルバムの曲作りをするのが不可能だってことが分かって、彼女のアルバムを完成させることに集中してから、自分の方に取り掛かる決心をした。

──「Salted Caramel Ice Cream」「Wedding Bells」のようなポップ・チューンと「Driving」「Insecure」「Miracle Rooftop」のようなインスト・チューンが混ざり合っているアルバムですよね。それは現在のメトロノミーとあなたのソロ・プロジェクトだった時代のメトロノミーが同居しているようにも聞こえます。

ジョセフ・マウント:メトロのミーのすべてを同じ場所に集めた初めてのアルバムだと思うんだ。インスト・チューンは初期の『Pip Paine』を思い出すし、ギターをフィーチャーしているものは『Nights Out』を思い出すし、これはメトロのミーの作品の集大成作だけど、初めての試みでもある。でもこれは全てなんだ。総括でありながら、この先何をしていくかの予告でもある。


──ロビンの『ハニー』での共作や、ジェシー・ウェアとのコラボレーションと前作からの3年間には他のアーティストとのコラボも盛んでしたが、彼女たちとの仕事はメトロノミーにどんな刺激を与えたと言えますか?

ジョセフ・マウント:ロビンはちょうどあの時期とても情緒不安定で、それを音楽で表現していた。自分もそのような刺激が必要なんだと思い込んでいた。だけどその時気づいたのは、悪いことを経験しなくても曲は作れる、本当の感情があれば音楽を作れるということ。だから彼女とのコラボレーションで「メトロのミーの音楽に影響があったか?」の質問に対して、そういう考えが生まれたから「あった」と答えられる。他の人のプロデューサーをして気づいたのは、自分の音楽をプロデリュースする時、同じ戦略が使えるってこともあった。スタギオでロビンやジェシーに話しかけるように、自分にも話しかけて制作しているんだよ。

──かなり自分には厳しくなったりしますか?

ジョセフ・マウント:厳しいけれど、自分への優しさもあるよ。厳しい目で判断しているけれど、自信があるから「これでいい」と言える部分もある。バランスはいいと思うな。

──「Lately」は先行シングルに相応しいポップ・チューンで、アンセミックなシンセに加えギター&ベース&ドラムスのオーセンティックなバンド・サウンドががっつり土台を支えていますよね。この曲の生まれたきっかけは?

ジョセフ・マウント:今までやったことがなかったスタイルだった。もちろん過去のメトロのミーのトラックに似ているのもあったけど、これは斬新でシリアスな感じもある。今までと違うサウンドが浮かんで、それを形にしているので、非常にエンジョイできるトラックだった。慣れているような作業じゃなかった分、チャレンジになって、そこが楽しかったね。

──すべての演奏も行っているのですから、忙しい作業でしたね。

ジョセフ・マウント:そうなんだよ(笑)。アルバムの中にはパロディというバンドをやっているフランス人プロデューサーのピエール・ルソーと数曲一緒にやったり、もうひとりフランスのアーティストのミスター・ワイゾも数曲手伝ってくれている。でもほとんど自分ですべてやっているよ。やっていて楽しいことだから、このスタンスが一番好きなんだ。

──「Sex Emoji」では、プリンス風のファルセット・ボーカルが最高ですね。

ジョセフ・マウント:曲の中に出てくる言葉でその曲の年代が分かるのが面白くて、トレンドな言葉を歌詞に入れるのが好きなんだ。昔の曲で「ポケベル」を鳴らしてとかって出てくるのもおかしいよね?携帯がなかった頃の言葉だよね(笑)。今は歌詞の中でテキストメッセージのことがよく出ているから、絵文字を入れたいと思ったんだ。ファルセットで歌おうと思ったのは、それが一番合っていると思ったし、うまく行くと思ったから。プリンスとかビージーズみたいなちょっと古めの歌い方にしたかった。

──ちなみに「Lately」のミュージック・ビデオはSFアドベンチャー映画『ミクロキッズ』へのオマージュだそうですが、カセット・テープの時代(1980年代?)へのオマージュにもなっていますよね。

ジョセフ・マウント:いろんなビデオ関連の人たちとやりとりをして、出てきたアイディアが全部シリアス過ぎてると思って、もっと面白い内容にしたかった。アルバムタイトルが『Metronomy Forever』なのに、そのカセットを発見した人は聴いたこともないバンドだった。でもアイディアとしてはメトロノミーってバンドは永遠に続いているバンドなんだ。このアイディアからこのアルバムを作り始めた訳だし。その皮肉というか、永遠に覚えていてほしいと言う願望とかすべて込めてビデオもアルバムタイトルも決めた。監督業は最高だったよ。今まで音楽のプロデュースばかりして、非常に慣れた環境で作業も居心地いい感じだったけど、映像の監督は新鮮で大きなチャンレンジだった。さまざまな監督の仕事を見てきたり、経験しているからそのノウハウをフルに活用することができて、本当に楽しかったし、やってよかったと思う。


──この先自分のだけじゃなく、人のMVの監督もしたりしますか?

ジョセフ・マウント:やりたいけど、依頼があれば(笑)。でも自分のビデオはもちろんもっとやりたいと思う。

──この先も、こうした面白いクリエイティヴな仕事を続けていきたいと思いますか?今後やりたいことは?

ジョセフ・マウント:このアルバムが成功したら、今から2~3年は忙しくしていると思うので、その後は自分も年齢を重ねているし、僕の子供達も成長するから、どうなるんだろうね、あまり先のことは考えてないかも。他のアーティストのプロデュースはもっともっと手がけたいとは思っているよ。それができたら最高だと思う。あともちろん、日本にももっと行きたいね。日本へ行くことを楽しみにしているよ。

メトロノミー『Metronomy Forever(メトロノミー・フォーエバー)』


Caroline Internationalより発売中(国内盤は日本独自ジャケット)
UICB-1001/\2,500+税
1.Wedding
2.Whitsand Bay
3.Insecurity
4.Salted Caramel Ice Cream
5.Driving
6.Lately
7.Lying Now
8.Forever Is A Long Time
9.The Light
10.Sex Emoji
11.Walking In The Dark
12.Insecure
13.Miracle Rooftop
14.Upset My Girlfriend
15.Wedding Bells
16.Lately Going Spare
17.Ur Mixtape

<メトロノミー来日公演>

11月26日(火)
@恵比寿LIQUIDROOM
Open 18:30 / Start 19:30
SMASH https://smash-jpn.com

◆メトロノミー・レーベルサイト
◆メトロノミー・オフィシャルサイト
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