【インタビュー】岸本勇太、音楽と演技という2つのクリエイティブ面で確かな足跡を刻み始めた信念

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■今しかないものを伝えていかないとって思っているから
■作品全体の印象として出来上がっていったんだろうなと思います


――この曲の砂時計もそうですが、今回の6曲には腕時計が出てきたり、“今”を生きたいという歌詞があったり、夕陽、夜、星など時の流れを表現するワードが散りばめてあって、すごく印象に残りました。そのあたりは何かもともと意識されているところだったんですか?

岸本:確かに、今回は時間の流れみたいな部分を意識していました。これはスタッフさんにも常々言っていることなんですが、いろんな物事は無限じゃないと思っているんです。どんなことにも限りは有る。これは今しかない瞬間なんだって、ソロになってより思うようになったんですよね。人生いろんなことが起きるけど、人生も限りあるものだからこそ、今何をしなきゃいけないんだろうなってすごく考えるんです。グループの時は正直そこまで考えられなかったけど、経験なのか、それこそ時が経ったからなのかもわからないですけど、すごく思うんですよね。

――なるほど。

岸本:だからもっと言うと、この仕事だっていつまでやれるんだろうとも思うんです。そういう世界じゃないですか。もちろんいつまでもいられたらいいなと思うけど、いつまでいられるかわからないからこそ楽しめているんですよね。これが逆に、「いつまでもやれるんだよ」なんて言われるような世界だったら、あまり魅力を感じないんだろうなと思う。ちょっとスリルと隣り合わせというか、いつ何時どうなるかわからないっていうほうが楽しい。ぬるま湯に浸かっているのは得意じゃないですから。

――今という瞬間、過ぎ行く時をそんな風に捉えていらっしゃるんですね。

岸本:時間こそ限りがある。今しかないものを伝えていかないとって思っているから、それが曲を書いてくださる方やスタッフさんにも届いて、作品全体のイメージというか、印象として出来上がっていったんだろうなと思います。


▲配信第6弾「It’s Only Summer Love」

――そんな風にきちんと共有できているのは、それこそさっきおっしゃっていた、ミニマムな環境でやれているからこそなのかもしれないですね。

岸本:そうだと思います。しっかりと向き合って、削ぎ落とした感覚みたいなところを伝えたり汲み取ってもらったりしながら作れた6曲だと思っています。

――その6週連続の最後に配信になったのが「It’s Only Summer Love」ですが、MVも素晴らしかったですね。まさに時の流れを捉えたかのような1カメの長回しで、シンプルな画なんだけど、タイミングや表情などで一筋縄ではいかないものが表現されています。

岸本:あの最後の表情のアイデアは、カメラマンさんからいただいたんです。この曲には、ただ夏だからこうとか、ただ切ないからこうとかではない、いろんな要素が混ざっているんですよ。夏らしさと、ちょっと危険な大人っぽさ、セクシーさみたいなものがあって、そこに切なさが見え隠れしている。僕自身もソロになって初めてのMVだから色々考えて行ったんですが、その場の空気を感じて、カメラマンさんにもらったひと言を生かそうって思いながら、撮影に臨みました。

――最後の表情ですごく惑わされました。もちろんいい意味で。それこそ先ほどの話じゃないですが、個人的には、2人の関係って永遠じゃないんだって表情で気付かされたというか。

岸本:こじらせてますよね(笑)。「なんでそんな切ない表情した!?」みたいな(笑)。僕、わからないことをそのままにしておくのは苦手なので、何かアイデアをいただいた時も、わからなかったらちゃんと「どうしてそうするんですか?」って聞くほうなんですよ。だけどこれは、そうか、僕がやろうとしているのはこういうことかって腑に落ちたんですよね。説明も何もなかったけど、ストン…と。

――すでにたくさんの方がご覧になっていると思いますが、今の勇太さんのお話を踏まえて、ぜひもう一度チェックしていただきたいですね。

岸本:夏は自分が生まれた季節でもあるから大好きなんですが、そういう時期にこの曲を配信できて、初めてのMVも撮らせてもらいました。僕自身もすごく気に入っている作品になったので、ぜひ見てみてください。

――こうして配信された全6曲を聴いていると、このままライブができるんじゃないかなと思えるくらいでした。

岸本:確かに、それぞれの色やメッセージを持った曲ですからね。これはやはりスタッフさんも含めたみんなが常に探求しているからであって、芯はあるけど、幅の広さを持ったものになったんだなと思っています。曲を増やしていけば今よりもっと色んな顔が見えてくると思うんですが、現状見せられる顔はしっかり見せられたなと感じています。

――今後は楽器などにも挑戦したいとおっしゃっていましたね。

岸本:はい。でも常々感じているんですが、僕は「やらなきゃいけない」と思っているうちは何も出来ない人間なんですよ。今のライブの話もそうですけど、この曲をアコースティックでやりたいと思ったら、そこから逆算して練習を始めるタイミングが来る。そういうタイプなんですよね。


――ということは逆に「出来ない」とか「無理」もないんでしょうね。勇太さんにとっては、そんな風に今決めることではないというか。

岸本:あまりしないようにはしています。物理的に無理なこと以外は、やったほうがいいよなって考えるようになりました。グループの時よりも。正直厳しい時はあったんですよ。「やべぇ、俺に出来るのか!?」って思ったこともあったけど、結局はやるんです。だって自分で決めたじゃん、決めたことはやろうよって思うから。でもそれは自分の意地とかだけじゃなくて、みんなが動いているこの状況とか色んな環境が、そう思わせてくれているんだなって思います。

――背中を押してくれているのかもしれないですね。

岸本:はい。関わっている人達が見せてくれているというか、教えられているところもあるから、なるべく物事に対して目をつむらないでいようとは思っています。

――すごくしっかりした考えをお持ちだなということがとてもよく伝わってきました。そんな勇太さんに、一番影響を与えた方ってどなたなんですか?

岸本:一番!?それは難しいですね…。うわぁ、考えたことなかった(笑)。

――では尊敬しているとか、憧れているとか、解釈を広げていただいてもいいんですが。

岸本:それぞれでいるんですよ。グループでやっていた時は初めての芸能界で色々教えてくれたメンバーだったりするし、舞台では僕に演じることの楽しさを教えてくれた人。立ち居振る舞いを教えてくれたのはこの人だしってそれぞれにいるし、逆に二番もいないから、一番は難しいですね(笑)。僕、本当に何も知らなかったから、色んな人に色んなことを教わりながらここまでやってこれたんですよ。美容師をやっている時に背中を押してくれた方もそうだし、ひとつのことをやり遂げるっていう精神を叩き込んでくれたのは部活の先生ですしね。やり抜くことや成し遂げることの素晴らしさを教えてくれたのは、間違いなくそこでしたから。

――そうやってたくさんの方への尊敬や感謝の気持ちを、今も忘れずに持ち続けていらっしゃるんですね。そのお話が聞けただけで充分です。

岸本:みんな、それぞれでした。なんだかすみません(笑)。そうやって僕は色んな人に色んなことを教わってきたんですが、先輩にこれを教えてもらったからこそ俺は絶対にここで成長してやろうっていう風に考えるんですね。すると狙ったわけでもなく、新たなオファーをいただけたり、新しい繋がりができたりするんですよ。今は舞台の方にかける時間が多くなっているんですが、そういう先輩方にも常に「追い越せよ」と言われています。

――それが、教えてくださった方への恩返しにもなるわけですからね。

岸本:はい。だから、自分も与えられるものは与えたいなって思うようになりました。そういうことも、外に出たからこそ気付けたことなんですよね。グループの時はグループでしか見えないものを見ていたし、今は今しか見えないものをしっかり見ることができているんじゃないかなと思います。これからもさらに、自分らしく外に向けて発信していけたらなと思っています。

取材・文●山田邦子


リリース情報

<2019年夏、ソロ音源リリース>
6/7 第1弾「東京 Night Flight」
6/14 第2弾「Make It SPECIAL」
6/21 第3弾「こぼれ落ちるモノ」
6/28 第4弾「Take It Off」
7/5 第5弾「Untitled」
7/12 第6弾「It’s Only Summer Love」

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