【インタビュー】dps、配信限定『ごめんなんて言葉』は「ライブを意識したアルバム」

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dpsが11月27日、ストリーミングを含むデジタル配信限定アルバム『ごめんなんて言葉』をリリースする。同アルバムは数々のライブイベント出演と併行してデモ音源制作を進めていた彼らの現在が凝縮されたもの。EP「カミカゼ」の流れを組みつつも新たなアプローチがいくつも組み込まれた全8曲収録の最新作となるものだ。

◆dps 画像

今作も川村(Dr)が全曲の作曲を担当、安井(B)が辛辣な言葉を巧みに操りながら現代の憂うべき状況を歌詞で表現した。また、12月にはマーティ・フリードマンのオーストラリアツアーに帯同するほか、ハードロックバンド“WWEEZZ”でも活躍する森丘(G)の高度なギタープレイはもとより、アレンジ面でキャッチ-なメロディワークとコーラスの美しさを増幅させた。そして、ボーカリスト木村の表現力は、全8曲を縦横無尽に駆け抜けるように多彩だ。

豪快なハードロックから壮大なバラードチューンまでが詰め込まれたアルバムには、彼らの変わらぬ本質はもちろんのこと新たな展開を凝縮。4人のこだわりに貫かれたサウンド&プレイの聴きどころを思う存分方ってもらったロングインタビューをお届けしたい。

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■フェスの1曲目で“dpsがきたぞ!”
■というナンバーを作りたかった

──配信限定アルバム『ごめんなんて言葉』は、数々のライブイベント出演と併行してデモ音源の制作を進めていたそうですね。

木村:僕らは普段から、制作しながら活動を続けているので、アルバムリリースが決まってから曲を作り始めたわけではないんです。なので、アルバムのテーマみたいなものを決めて制作を始めたわけでもなく。デモの中から今の自分達が最もいいと思うものを集めたのが、アルバム『ごめんなんて言葉』です。結果的に、いろんな曲調の楽曲が入っているし、新しい顔も見せることができたし、アルバムとしての流れもいい作品になったなと思います

川村:コンセプトではないんですけど、ライブを意識したアルバムにはなったかなと思いますね。今年5月に<METOROCK 2019>に出演させてもらって、感じるものがあったんです。“もっとお客さんと一体化したい”とか、“もっとお客さんに歌ってほしい”とか。そういう思いを形にしたアルバムにしたいという気持ちが、特に1曲目の「Get Up」と2曲目の「フカンゼンネンショウ」に色濃く出ています。

──それに、ただ単にラウドだったり、激しかったりするだけではなく、キャッチーなメロディーを活かしたロックチューンが揃っていることが印象的です。

川村:キャッチーってすごく大事だと思っているんです、僕は。J-POPとかアイドルの人気曲はキャッチーで、見習うべきところがたくさんあるんですよね。一度聴いたら覚えられるイントロやサビ、シンガロングできる要素とか。今回もそういうところは採り入れたつもり。それに(森丘)直樹は、僕が作ったキャッチーな素材をロックに仕上げてくれるんですよ。それは、dpsの強みでもあります。

▲木村涼介 [Vo]

──独自のロックを作り上げていますね。では、『ごめんなんて言葉』収録曲で、それぞれ特に印象強い曲を挙げていただくとすると?

川村:やっぱり「Get Up」ですね。フェスの1曲目でやれる“dpsがきたぞ!”というナンバーを作りたいなと。そういうイメージから曲作りに入って、その時点でイメージどおりのものになりそうな手応えを感じたんです。リード曲が「ごめんなんて言葉」になることは決まっていたにもかかわらず、“こっちにしようかな……”と思いながら作るみたいな(笑)。アレンジは直樹にデモを送ってやってもらいました。

森丘:川村さんのデモはザックリしたものもあるけど、この曲はデモ段階でバンドサウンドになっていたんです。ギターリフも元々あったものを使ったし、デモを活かしつつ、dpsの王道的なアレンジをしたという印象です。

安井:歌詞はストレートな応援ソング。シンガロングのパート以外、結構前にストックしてあったものをリアレンジした感じですね。

──ストレートではありますが、“強く生きろ”と歌いつつも、2番でラブソングになるというフックが効いています。

安井:そこはプロデューサーの意向というか、「ラブソング要素も入れてみたら?」というアドバイスをいただいて。2番でオケのアレンジが変わることと相まって、いいカタチで落とし込めたんじゃないかな。

木村:「昼過ぎのコーヒー」でも同じことを感じたんですよ。やっぱり2番で歌詞に恋愛要素が入ってきて、オケがそれにマッチしている。偶然なのか故意なのかわからないけど、歌いやすいんですよね。だから、レコーディングしながら“森丘さんのアレンジはいいな”と改めて思いました。

森丘:ありがとう(笑)。僕が特に印象が強いのは5曲目の「milestone」。インディーズ時代にEP「いっそ全部ぶっ壊して、真っ逆さまに落ちていって」(2018年2月発表)を出したんですけど、「milestone」はその頃からある曲。ただ、アルバムに収録することが決まった時点で、リフを作り直したり、イントロのベースとドラムの感じを付け足しました。レッド・ツェッペリンとかの影響が出ていながら、リフはレイジ・アゲインスト・ザ・マシンとかのテイストを活かしつつ。そういう意味で「milestone」は自分が聴いてきたものをミックスした感じになっています。

川村:僕が作ったデモの段階ではもっと重たくてルーズな曲調だったんですよ。それを、直樹が王道ロックで終わらずに“いまどき感”のある曲にアレンジしてくれましたね。

安井:歌詞も2年前くらいに書いたもので、「Get Up」と同じようにシンプルです。“俺は強く生き抜くぜ!”ということをストレートに言っている。当時はいろんなことにフラストレーションを感じていて、怒りを込めて書いた覚えがありますね。

木村:安井さんは内面のフラストレーションをぶつけたのかもしれないけど、リスナーに向けての“強く生き抜け!”というメッセージですよね。楽曲としてはミディアムで、いかついリフがあるdpsの一番根本的なラインだし、アルバム収録曲では一番付き合いが長いので、親近感があります(笑)。特に気に入っているのは、最後の部分。僕の声で終わるアレンジが、自分で歌っていても、リスナーとして聴いても、気持ちいい。

──木村さんの印象強い曲は?

木村:強いて1曲挙げるなら、「清水の舞台から飛び降りて」。メロディーが和風で、習字で書きたくなるような言葉が歌詞にたくさん使われているけど、ロックチューンだし、安井さんが書いた歌詞にしては珍しく英文が入っているという(笑)。つまり、和洋折衷なんですよね。

川村:これは新しい曲なんですけど……作ったのいつ頃だったっけ?

森丘:「Get Up」の次くらいです。

川村:だから、最新の曲ですね。和テイストのサビから作って、AメロとBメロはグランドファンク・レイルロードの「Inside Looking Out / 孤独の叫び」みたいにしたいなと。だから、2019年の曲なのに、バックはシンプルに1コードで“ジャーン!”となってます(笑)。

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