【ライヴレポート】OUTRAGE、<Run Riot TOUR>を地元・名古屋にて開幕

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OUTRAGEが最新アルバム『Run Riot』をリリースしてから、すでに半年以上が経過している。本来ならば同作の発売に先駆けてスタートしているはずだったツアーは、新型コロナ禍の影響により延期、再延期と先延ばしになっていたが、去る11月1日、バンドの地元である名古屋でついに開幕を迎えた。会場は、当初予定されていたSPADE BOXではなく、より収容規模の大きなDIAMOND HALLに変更され、彼らのライヴとしてはめずらしく座席の並ぶ環境のもと、ソーシャル・ディスタンスにも充分に配慮した形での実施となった。

◆OUTRAGE 画像

通常の活動をするには無理のあった期間中、OUTRAGEはまったくライヴを実施してこなかったわけではない。この夏には敢えてフロントマンのNAOKI不在の編成でのライヴも行なっているし、今回のツアーの前にも2本ほどイベント形式のライヴに出演している。また、無観客ライヴの映像配信も経てきているが、そうした日々を振り返りながら丹下眞也(Dr)は次のように語っていた。

「ライヴの間隔が半年空くなんて、そうそうあることじゃない。久しぶりのライヴの時に会場に到着した際、他の出演バンドがリハをやってたんですけど、その音を聴いて“あれ? ライヴハウスってこんなに音が大きかったっけ?”と思ったんですよ。で、その次の瞬間、“やっぱりコレだ!”と思った。コロナによってこの感覚が失われてしまってたのか、とね。コレこそ自分たちが子供の頃からやりたかったことだし、こここそいたかった場所じゃないか、と。仮に観客数が少なかろうと、やっぱりお互いのエネルギーの交感の場みたいなところがライヴにはある。だからやっぱ、お客さんがいないと駄目だなあ、と思わされるんです。もちろん誰もいない場所だろうと、割り切ってやることは可能ですけど」




今回のツアーは、ワンマン形式で行なわれる東京公演を除き、いわゆる対バン形式となっている。しかもゲストに迎えられているのは彼らよりもずっと若い世代のバンドばかり。この日に登場したのは、同じ名古屋を活動拠点とするVANISHING。昨年の夏には<METAL BATTLE JAPAN 2019>を勝ち抜き、ドイツの巨大メタル・フェス<WACKEN OPEN AIR>にも出場を果たしている、ライヴには定評のあるバンドだ。

この夜は演奏開始からまもなくベースに原因不明の不具合が発生し、いきなり躓きかけることになったが、持ち前の突進力と爆発力をもって危機を乗り切っていた。彼らのライヴに触れたことのない観客の割合も高かったはずだが、オープニングSEにMOTÖRHEADの楽曲が使用されていた時点でいわば“つかみはOK”だったはずだし、3人の熱のこもった演奏に惹きつけられた向きも多かったことだろう。「俺たちが名古屋のバンド、VANISHINGだ!」といったMCから感じられる地元愛、自負の強さもしっかりと伝わったに違いない。





そんなVANISHINGの若々しく勢いのあるパフォーマンスの余韻が残るなか、OUTRAGEがステージに登場したのは午後7時を5分ほど過ぎた頃のこと。フロアには一席おきに空席が設けられ、等間隔に整然と並ぶオーディエンスはマスク着用を義務付けられ、大声を発することができない状態。通常ならばオープニングSEが聴こえてきた時点で湧き上がるはずの怒号めいた歓声も起こらない。しかしそれでも客席からは“待ってました!”という熱い空気が伝わってくる。

このツアーは開幕したばかりで、まだまだこの先続いていくだけに、この場では演奏曲目などについては触れずにおきたい。ただ、『Run Riot』のアートワークが描かれたバックドロップが背景に吊られていることからも明らかであるように、このツアーはあくまで同作を主役とするもの。もちろん彼らのセットリストに欠かすことのできないクラシック・チューンも随所に配置されているが、やはり何よりもこの最新作を聴き込んだうえで公演に臨むべきだろう。





序盤、立ち上がることはOKでもその場から動くことを許されないオーディエンスを見渡しながら、NAOKIは「昔の来日公演みたいだ」と発言。まるでDEEP PURPLEの『LIVE IN JAPAN』のジャケット写真のようだ、と。ただ、確かにそうした観覧環境については自由のきかない窮屈さもなくはないが、物理的な窮屈さというのは皆無であるわけで、逆に言えば、ライヴ・パフォーマンスをじっくりと味わううえでは従来以上に好都合な一面もある。もちろんこうした形式でのライヴ開催が“新たな通常”になってしまうようなことは歓迎したくないが、こうした状況下にあるからこその恩恵というのもないわけではないはずなのだ。

確かに、いわゆるコール&レスポンスや合唱が起こらない状況というのは、どこか盛り上がりに欠けるものでもある。しかしメンバーたちがステージを去り際に発していた「みんなの“心のダイヴ”が見えた」といった言葉にも裏付けられているように、あからさまな熱狂とはひと味違った、じわじわとこみあげてくるような興奮を感じさせられたことは間違いない。そしてやはり、改めて感じさせられるのは、30年前から規格外だったこのバンドの堂々たるたたずまいの強烈さだ。今回のツアーでは、収容人数制限というこのご時世ならではの制約もあるため、すでにソールド・アウトも相次いでいるが、是非この機会に、このバンドの轟音の説得力と心意気に触れて欲しい。同時に、各地で彼らの胸を借りることになる若い世代のバンドたちが、どんなパフォーマンスを披露するかにも注目したいところだ。



文・撮影◎増田勇一

■<OUTRAGE LIVE POWER 20th Anniversary Presents『Run Riot』TOUR 2020>

11月01日(日) 名古屋・DIAMOND HALL
 ※guest:VANISHING
11月08日(日) 大阪・心斎橋SOMA
 ※guest:HELL FREEZES OVER
11月29日(日) 東京・渋谷WWW X
 ※one man show
12月12日(土) 仙台・CLUB JUNK BOX
 ※guest:THE BLUE SCREAM
12月28日(月) 福岡・DRUM SON
 ※guest:ASTERISM
https://www.creativeman.co.jp/event/outrage2020/

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