【インタビュー】名古屋ギター女子部 、『Re:POP 2 ~春のゆくえ~』で記した成長の軌跡

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名古屋の女性シンガーソングライター5名で2017年に結成された名古屋ギター女子部(通称:ギタじょぶ)。ギターヴォーカル4名と、キーボードヴォーカル1名という斬新な編成で、ライヴ活動や路上ライヴ活動にとどまらず、YouTubeへのカヴァー動画投稿を精力的に行ない続け、着実にリスナーの心を掴んできた。そして2020年10月にメジャーデビューを果たした彼女たちが、早くもメジャー2作目『Re:POP 2 ~春のゆくえ~』をリリース。カヴァー曲5曲とインディーズ時代のオリジナル曲の再録を2曲収録した今作は、彼女たちの成長を十二分に感じられる1枚となった。音楽的なステップアップを果たしたギタじょぶが、いま発信したい音楽やメッセージとは? メンバー全員にリモートインタビューで訊いた。

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■仲が良く、良きライバルでもある仲間で夢を叶えたかった

──ユニット名に“名古屋”を掲げているのは、かなりインパクトがありますね。地元に誇りをもったうえで名付けられたのでしょうか?

こんどうゆみか(Vo/Gt):じつは名古屋市出身はわたしだけで、あとはみんな違う場所なんですよ。“名古屋のライヴハウスで出会った”という意味の“名古屋ギター女子部”です。ライヴハウスでお世話になっていた方につけていただきました。

▲こんどうゆみか

どりー(Vo/Gt):名古屋は主要都市なのに観光する場所がないと言われがちだし(笑)、東京と大阪に比べて音楽シーンが盛り上がってない気がして。でも名古屋にもいいアーティストがたくさんいるし、名古屋のことをもっと知ってもらいたいので、この名前をつけてもらって良かったですね。

──名古屋市をはじめ愛知県には、地域に根付いた音楽シーンがあると感じます。名古屋ギター女子部のように、名古屋とその周辺の地域を盛り上げようとする、エネルギッシュな方が多いですよね。

CHISA(Vo/Key):わたしは長野寄りの岐阜県生まれなんですけど、たしかに名古屋の人たちは地元愛が強いイメージはあるかもしれない。

どりー:ライヴハウスも面倒見のいい人が多いかも。こっちから何も言わなくても、ライヴハウスの先輩たちが積極的にアドバイスをくれたりとか(笑)。

後河内美咲(Vo/Gt):ほどよく田舎で、ほどよく都会(笑)。どっちもいいとこ取りできてる場所かなと思ってます。

──そういう場所だから、新しい活動編成である名古屋ギター女子部が生まれたのかもしれないですね。ですがシンガーソングライターさん5人でひとつのユニットとして活動するのは、難しいことも多かったと推測します。そのバランスが取れてきたのは何がきっかけなのでしょう?

後河内:武者修行で始めた路上ライヴだと思います。全員ソロで活動していたので、最初は5人集まったときにどんなギターを弾いて、どんな歌を歌えばいいかわからなくて。でも結成して1年くらい経ったあたりで路上ライヴを始めて、周りの出す音を聴けるようにもなったし5人のグルーヴを掴めてきました。

▲後河内美咲

伊藤汐梨(Vo/Gt):あとはカヴァー動画の投稿ですね。ギタじょぶではほぼ名古屋でしか活動できてなかったから、自分たちのやっていることがいいのかそうじゃないのかがわからなくて。でもカヴァー動画をきっかけに全国各地の不特定多数の方々に聴いていただけて、好きと言っていただけたことが自信になって。それでひとつになれた気がしてます。

こんどう:シンガーソングライターは自分が中心になって、自分だけで音楽を作る人間なので、最初はやっぱりみんな自分の声を生かす方法を考えていたんです。みんな“自分がメイン!”という気持ちでもいたし(笑)。

全員:(笑)

こんどう:でもグループを良くしていくためには引くことも大事というか。だれかひとりを立たせて、それをサポートすることが必要な場面がたくさんあるんだな……と学んだのはライヴでした。それから名古屋ギター女子部としての見せ方が作れたなと思っています。

──どりーさんとCHISAさんはいかがですか?

どりー:わたしの声質は特徴的な部類なので、この4人の声質と混ざるのかな?という不安や心配が最初にあって。ギタじょぶに合った声の出し方を自分で探したり、先輩に相談したりして、いろいろ工夫を重ねていきました。その結果いちシンガーソングライターとしても引き出しを増やすことができました。

CHISA:最初は4人とも同じギターを弾いていたのをいまでもよく覚えています。でもそこから少しずつ弾くギターが広がっていって、“このギターフレーズとこのギターフレーズが合わさるとこんなふうになるんだな”と知れたのは、わたしにとっても発見でした。ギターとピアノのバランスをセクションごとに変えていくのも、最初はどうやっていいのかわからなくて。でも少しずつその方法を知っていくことができました。

──みなさん実戦のなかで時間を掛けて名古屋ギター女子部のかたちを掴んできた、ということですね。でも苦悩が多いなかよく投げ出さずに続けられたなとも思うんです。変な話、みなさんおひとりでも活動できるのに。

伊藤:寧ろひとりで活動してきたからこそ、難しいなかでも続けられたかも。ひとりでギターを抱えて東京まで夜行バスで遠征に行ったりしてたので、メンタルは強いというか(笑)。みんな忍耐強いんです。5人の歯車がうまく回るようになってきて“この5人でメジャーデビューを目指してみない?”という話が出てきて。それを叶えるためには、ギタじょぶの活動に集中する必要があるので、5人ともギタじょぶの活動をメインにしていくようになりました。

▲伊藤汐梨

──メジャーデビューに賭ける想いは熱い、ということですね。

こんどう:メジャーデビューに対する想いはそれぞれにあると思うんですけど、わたしは小学生の時に歌手を志して、そのときからメジャーデビューをするしかないと思ってきたんです。名古屋ギター女子部の活動が軌道に乗るようになって、“メジャーデビューを目指してみるのはどう?”と言ってくださる大人の方も増えて……やっぱり“メジャーデビュー”という言葉は輝いていたし、それをこの5人で迎えたかった。仲が良かったし、良きライバルでもある仲間で、メジャーデビューという夢を叶えたかったんですよね。

──カヴァー動画の反響も大きく、名古屋ギター女子部は2020年10月にメジャーデビューを果たします。みなさんそれぞれが思う“名古屋ギター女子部として発信したい音楽”とはどういうものでしょう?

こんどう:まず大きなテーマとしては“青春”ですね。活動していくなかで“青春っぽいね”と言っていただくことが多くて、自分たちでもそれをテーマにしていくことにしました。現役の中高生の方々には共感しながら楽しんで聴いてもらいたいし、青春を奏でているからこそ“高校を卒業しても青春は終わらない”というのを見せられたら……と現段階では思ってます。

後河内:わたし自身、ギタじょぶで第2の青春してるな~って感じるんです。カヴァー曲でも爽やかさやエモさみたいな、自分たちの色がすごく出てると思う。その感覚を同世代の人たちと共有したいし、背中を押せる曲を歌っていきたい。元気になってもらえる活動をしたいとはいつも思っています。

伊藤:ふたりの言うように、つねに希望を歌っているグループでありたいなと思ってますね。5人が並んで歌っている姿が聴く人を勇気づけたり、前向きな気持ちになってもらえるように。

どりー:前例のないことをする人たちはいろいろ言われることがあると思うんですけど、わたしたちもよくYouTubeのコメント欄で“ギターこんなに要らないだろ”とか言われたりするんです(笑)。そういうわたしたちだからこそ、新しい挑戦をする人たちや、頑張っている人たちの背中を押せるような歌、寂しさを抱えている人たちに寄り添えるような曲が歌えるんじゃないかなとも思うんですよね。

▲どりー

──たしかに、現在進行形で葛藤を抱えながら挑戦を続ける方々だからこそ、説得力は増します。

どりー:“ギター女子部なのに鍵盤がいる意味がわからん”と言われることも多いので、個人的にはこの先“鍵盤のない名古屋ギター女子部はつまらんぞ”というメッセージソングが欲しいです(笑)。

──ははは。CHISAさんの鍵盤は名古屋ギター女子部のキャッチーさには欠かせない要素だと思います。

どりー:名古屋ギター女子部の音楽はギターだけじゃなく、CHISAの鍵盤があって初めて完成すると思うんです。そういう部分ももっと伝えていきたいんですよね。

CHISA:“鍵盤が入ってるからいいよね”と言ってくれる人がたくさんいることももちろん知っているので、もっとこの活動形態が認められるようになりたいですね。いま表立っているのは“青春”ですけど、それ以外にもっといろんなテーマにチャレンジしていきたい気持ちがあります。

▲CHISA

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