【インタビュー】ZIGZO、櫻澤泰徳×大西啓之×吉田トオルが語るアルバムとミックス「5人での集大成にして新機軸」

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■アルバムは確信犯的に構築できた
■頑ななロックバンドが今現在を反映している

──そういったアンサンブルで一番おもしろいと感じたのが「Don't!」なんです。

吉田:この曲は本当におもしろい。RYOくん(岡本竜治[G])が持ってきたフレーズから生まれていった曲で、8分の7拍子ですからね。

櫻澤:個人的に得意な拍子で。

吉田:でも、最後にすげー難しいフレーズをレコーディングで叩いちゃっていたよね。この前のミュージックビデオ撮影のときにSAKURAさん、「ちょっと練習させてください」って言ってたし(笑)。

櫻澤:そうそう、思い出さなきゃって(笑)。俺はこのアルバムの中で「Don't!」が一番好きなんだよ。ミックスだけで3〜4日掛けたもん(笑)。“これってZIGZO?”って思わせたかったし、ZIGZOを知らなかった人に引っかかるものにもしたかったし、バンドのポテンシャルの高さを「Don't!」で見せたかったんだよね。 “ZIGZOはこんな懐もあるんだぜ”って意味でも、個人的にこだわりのある曲。

大西:この曲もアプリでコード解析した(笑)。こういう曲は、ベースは上のほうへ行くとドッシリ感がなくなって、それではZIGZO感もなくなりそうでね。下にいたいと思うと、4弦ベースではルート音にはいけなかった。それで逸脱した感じのアプローチをしたんです。

吉田:それで、FとかGあたりの分数コードにいったんだ。僕はテンションノートのほうにいったからね。

大西:そういうアンサンブルができるのも、鍵盤でトオルちゃんがいてくれるから。

櫻澤:鍵盤があることによって、プログレッシヴロックで言うと、YESの要素もあるし。でもやっている内容は、わりとUKに近いんですよ。でも哲が「Don't」で意識しているのはフェイス・ノー・モアなのかなとか。プログレに関しては、5人の中で俺が一番明るいんだろうけど、それぞれが漠然と“プログレっぽい”というワードを共有していただろうから、それをおもしろおかしく、“これがZIGZO?”って思わせられるような聴かせ方をしたかった。エンジニア的な話に戻るけど、この曲と「across the horizon」のミックスにめちゃめちゃ時間を掛けたんですよ。

吉田:「across the horizon」の弦は、16トラック分ぐらいのデータを送ったから。

櫻澤:弦のフレーズが夢の中にも出てきたぐらい(笑)。

▲吉田トオル [Key]

──アルバムを1曲目から聴いていくと、最初は熱いところが前面に出ていて、それが徐々に変化していくと思ったんです。分かりやすく言うと、ライブハウスが次はホールになり、最終的にアリーナみたいに。

櫻澤:それは選曲して曲順を考えた哲の妙じゃないかな。

大西:あとミックスの割り振りを考えるとき、「The Loop」のミックスが僕にきて、これは苦労するぞと思ったんだよね。ちっちゃくこぢんまりしたくないなと。広げていく感にこだわったところで。中途半端にしちゃいけないと思って、デモ段階から“こういうミックスになるよ”ってデータを、みんなに送っていたぐらいで。そこから派生して、1曲目「Humor,Rumor」のミックスがある感じでね。

櫻澤:実は今回、哲と話をしたとき、「最初にデモテープを作りたい」と。その意図としては、「どういった形で楽曲を構築するのか、把握することが必要だ」ということで。ミックスの感じも分かるように、わりと高級なデモを作ったんですよ。ZIGZOの楽曲のほとんどは、その場のひらめきをそのまま形にして、音源を作るという感じだったけど、今回のアルバムに関しては、確信犯的に音源を作ってこうなったというふうにしたいと思ったんですよ。例えば「Starduster」にユニゾンフレーズが入っているけど、一音だけF#にするとかね。そのアイデアはトオルが持ってきた。

吉田:「次のGに転調するためには、F#が効果的なんだけど」って。それを言ったら、SAKURAさんが「あっ、それ正解かも」って言ってくれたのもありましたね。

櫻澤:「Starduster」の構成はすごくシンプルにできているから、トオルがいなかったら、そのままナチュラルなFになっていたと思う。音楽が好きな人だったら、そういう細かいこだわりとか、ちょっとの違いに、身体が反応してくれるかなと思う。そういうのもデモを作ったことで確信犯的にいろいろ構築できたかな。頑なに“ロックバンドだぜ”ってやってきたZIGZOを、トオルが考え方やアプローチとか新しいほうへ導いてくれたかなと思っている。

大西:トオルちゃんとは付き合いが長いから、なにかを言ってくれると、“おもしろくしたくて提案してくれたんだろうな”って、こっちも意見をスッと取り入れられる。

吉田:まだZIGZOってバンド名が付く20年以上前にスタジオに入ってデモテープを作っていたわけでしょ。今、それから20年経って、次にってことを考えたとき、もっと言いたくなっちゃったというのがあって。でも4人のZIGZOがカッコいいから俺はサポートメンバーを選んだわけで、俯瞰している部分がすごくあって。俯瞰したうえで足りないところを補いたいなって。

──トオルさんも含めた5人の音楽的なやり取りが、すごく活性化しているのはアルバムから伝わってきますよ。最初は集大成的な作品も考えていた櫻澤さんですけど、これはそういった部類のものではなくて、新しいZIGZOだと思うんです。

櫻澤:俺は哲の歌録りに全曲付き合っているから、歌詞に接している時間が哲の次に多かったかもね。そしてそれらの歌詞を読んだときに、哲の中では“お蔵入りした曲をリテイクするんじゃなくて、今のこの感じじゃないとダメなんだろうな”と思ったんですよ。やっぱり2020年、世界的にも未曾有の状況に陥ったわけじゃないですか。直接的な言葉としては出てないんだけど、哲の中では当然いろいろ考えがあるよなと。俺の中にもあるくらいだから。世界的にものすごい状況になっている現在、ZIGZOの思いが反映されたものになっていると思う。でも、人間的な付き合いの部分では、トオルも入れた5人での集大成だと思ってますよ。

大西:今回のアルバムは、おっさんのストイック……だよね(笑)。無理は利かないけど、手は抜きませんよっていうね。今現在、作れるものは作っておきたいって非常に思う。手を抜くことなく、思い立ったものをちゃんと作りたい。そして今回、それを仕上げたという感じです。

▲<ZIGZO TOUR 2021 〜across the horizon〜>

──6月10日に高円寺HIGHで<ZIGZOの新作を絶対にお買い上げ頂きます爆音視聴会!〜ちなみにDBD51〜>を行なう予定になっていますが?

櫻澤:今回、アルバムのマスタリングをしてくれたMUCCのミヤ君が、それに非常に興味を持っててくれて。こっちが頼みもしないのに、アルバムのハイレゾ音源まで作ってくれたんですよ(笑)。

大西:あれはすごいよ。めっちゃ嬉しかったもん、僕。

櫻澤:<爆音視聴会>をやるなんて一言も伝えてなかったのに、「なんか、やるんですよね?」ってハイレゾ音源を(笑)。<爆音視聴会>で実際に使いたいんだけど、会場の音響設備の環境にもよるんで、もしかしたら、試聴会メインではなく、DENの51歳の誕生日パーティーメインに終わるかもしれないし(笑)。今回のアルバムを、ライブ以外でも多くのお客さんとシェアできたらいいなと思っているんです。

大西:だから6月10日が、ようやく今回のアルバムが完成したなって、エンジニアとして感じる瞬間になると思う。

櫻澤:お客さんに混ざって一緒に聴きたいもん。

──その爆音視聴会の後には、いよいよツアー<ZIGZO TOUR 2021〜across the horizon〜>が始まります。

櫻澤:エンジニア的な視点だと、<爆音視聴会>がひとつのフィニッシュだとして、それが終わってから自分らの中ではシフトがベーシストやドラマーに変わるのかなと思って。ツアーやライブは、すごくワクワクしているんですよ。

吉田:新曲は緊張もするだろうし新鮮だろうし。その流れの中に昔の曲も入ったら、過去の曲も新鮮に演奏できるのかなっていう新たな楽しみもあって。新曲がライブテイクに育っていくのも、コアなお客さんに楽しんでもらえるだろうし、新たなお客さんは昔の曲も改めて音源で聴いてみようかなとか、そんな相乗効果も生まれたらいいなと思ってます。

大西:ライブに関しては、トオルちゃんがいてくれなきゃいけない曲がたくさんあるので、吉田トオルの見せ場のとき、僕はいかにトオルちゃんに変顔を見せるかってのが、ツアーへの意気込み(笑)。

吉田:その変顔が酷いんだから(笑)。お客さんに向けてやろうよ。

大西:あの顔をお客さんに見せたら、ミュージシャン生命が終わる(笑)。どのタイミングで僕が変顔を繰り出しているかに注目していただければと。まあ、それは冗談として、こういう和気あいあいとした雰囲気でライブができることを、メンバーとしては求めているんです。あと世の中の状況が、今までどおりには戻らないと思うけど、少しでも戻ってくれることに賭けるしかないからね、僕らは。やるべきことは全部やったので、あとは楽しくできることを祈るしかないかな。

櫻澤:状況が違うから、ミュージシャンに戻れる時間がここ1年でとても少なくなってしまっている。そこに戻れる楽しみがすごくある、というのがツアー前の本音ですね。

取材・文◎長谷川幸信



■5thアルバム『across the horizon』

2021年6月20日(日)リリース
¥5,000-(外税)
01. Humor,Rumor
 music by 吉田トオル&ZIGZO lyrics by 高野哲
02. Bow Wow
 music by 岡本竜治&ZIGZO lyrics by 高野哲
03. Blank Generation
 music by 高野哲&ZIGZO lyrics by 高野哲
04. Blue
 music by 岡本竜治&ZIGZO lyrics by 高野哲
05. CONTROLL
 music by 岡本竜治&ZIGZO lyrics by 高野哲
06. Ready to Love
 music by 高野哲&ZIGZO lyrics by 高野哲
07. Don’t!
 music by 岡本竜治&ZIGZO lyrics by 高野哲
08. The Loop
 music by 岡本竜治&ZIGZO lyrics by 高野哲
09. Starduster
 music by 高野哲&ZIGZO lyrics by 高野哲
10. モノクロック(Mono’c’Rock)
 music by 高野哲&ZIGZO lyrics by 高野哲
11. across the horizon
 music by 高野哲&ZIGZO lyrics by 高野哲

【通販先行受付 ※期間限定】
通販先行販売受付期間:5月23日~5月31日
※発送は6月11日以降。リリース日を待たずに入手可能
※受付はオフィシャルサイト内のオンラインストア“Humbug shop”にて

■アルバム『across the horizon』先行販売イベント

「ZIGZOの新作を絶対にお買い上げ頂きます爆音視聴会!~ちなみにDBD51~」開催決定
2021年6月10日(木) 高円寺HIGH
出演:ZIGZO
ゲスト : MUCC ミヤ

▼会場チケット
前売¥8,000- / 当日¥9,000- (税込)
※全席自由
※初回限定アルバム付き
※ドリンク代別途必要
発売:2021/5/15(土)〜
※イープラス
※スマチケのみ
(問)高円寺HIGH 03-5378-0382

▼配信チケット
¥2,000- (税込)
販売期間:5/22(土)12:00〜6/13(日)22:00
受付URL:https://koenjihigh.zaiko.io/_item/339864
※チケットの購入・動画の視聴には電子チケット販売プラットフォームZAIKOへの登録が必要
※途中から視聴した場合はその時点からのライブ配信となり、巻き戻しての再生はできません。アーカイブ配信中は巻き戻し再生可能
※配信映像の撮影・録音・録画および宣伝行為などの商用利用、私的使用も一切禁止

■<ZIGZO TOUR 2021 〜across the horizon〜>

6月19日(土) 大阪 阿倍野 ROCKTOWN
6月20日(日) 大阪 OSAKA MUSE
7月03日(土) 札幌 BESSIE HALL
7月04日(日) 札幌 BESSIE HALL
7月10日(土) 盛岡 the five morioka
7月11日(日) 仙台 enn 2nd
7月19日(月) 名古屋 ElectricLadyLand
7月21日(水) 岡山 IMAGE
7月23日(金) 福岡 Gate’s7
7月24日(土) 福岡 Gate’s7
9月04日(土) 新宿 BLAZE
9月11日(土) 大阪 OSAKA MUSE
9月12日(日) 大阪 OSAKA MUSE
※詳細はZIGZOオフィシャルサイトにて


■<ソーシャルディスタンず 全国ツアー>

▼<ZIGZO、その前に! ~ソーシャルディスタンず~>
6月09日(金) 盛岡 BeOneBox
▼<ZIGZO、その後に! ~ソーシャルディスタンず~>
6月21日(月) 大阪ムジカジャポニカ
▼<ZIGZO、その前に! ~ソーシャルディスタンず~>
7月18日(日) 名古屋 Music Bar Perch
▼<ZIGZO、その代わり! ~ソーシャルディスタンず~>
7月25日(日) 広島 LIVE Cafe Jive
▼<ZIGZO、その途中! ~ソーシャルディスタンず~>
7月26日(月) 大阪ムジカジャポニカ
▼<ZIGZO、その前に! ~ソーシャルディスタンず~>
8月27日(金) 大阪ムジカジャポニカ
9月10日(金) 大阪ムジカジャポニカ
【チケット】
前売券5,000円(D代別)
当日券5,500円(D代別)
※着席・一部立ち見あり整理番号付/配信あり


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