【インタビュー】神はサイコロを振らない、『ワールドトリガー』主題歌に闇と痛み「目的を果たすために」

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神はサイコロを振らないが、新曲「タイムファクター」を10月17日に配信リリースした。“神はサイコロを振らない × アユニ・D (BiSH/PEDRO) × n-buna from ヨルシカ”名義による初コラボ「初恋」、“神はサイコロを振らない × キタニタツヤ”名義の第二弾コラボ「愛のけだもの」といった話題楽曲連続リリースに続く最新作は、テレビアニメ『ワールドトリガー』3rdシーズンの主題歌であり、同作2ndシーズンのエンディングテーマ(「未来永劫」)も担当していた彼らにとって、同アニメと二度目のコラボとなる。

◆神はサイコロを振らない 動画 / 画像

「前進しなくてもいい、停滞したままでもいい、いつの日かその手を取り光に向かって連れ出してくれる存在が現れるその日まで」とは「タイムファクター」に関する柳田周作(Vo)のコメントだ。また、ジャケット写真には“別れを告げる”イメージと“新たな出会いや別れを繰り返すことで成長し、次のステップへ進んでいくような時の流れ”が表現されている。光と影の交錯は、同アニメとバンド活動に共通するストーリーでもある。

既存のフォーマットを超越した楽曲構成、デジタルと生楽器の絶妙なバランス、個々の演奏力の高さとアンサンブルの妙など、サウンド面でも神サイらしさが凝縮された「タイムファクター」について、メンバー4人にじっくり訊いたインタビューをお届けしたい。

   ◆   ◆   ◆

■すげぇロックな曲を作ってやろうと
■セットリストの最後を飾ってほしい

──少し前の話になりますが、全国ツアー<エーテルの正体>はどうでしたか?

柳田:福岡・名古屋・東京・仙台ももちろん盛り上がったんですけど、最終日の大阪・なんばHatchは段違いでヤバかったですね。とにかくお客さんが激熱で、それに呼応するかのように、我々からも120%のものが出て。インディーズ時代のがむしゃらにやっていた頃を思い出したというか。“上手く唄う”とか“丁寧に演奏する”ということは一旦置いておいて、魂で演奏している感じがありましたし、アンコールで昔の曲(「CLUB 27」)をやったことも相まって、“こういうライブ久しぶりにしたな。何かこの感じ懐かしいな”という気持ちになりました。


▲「タイムファクター」

──今はお客さんがマスクをしているし、声も出せないと思うんですけど、どういうところでお客さんの熱量を感じたんですか?

桐木:座席有りの有観客ライブだったので、開演するまではお客さんが座っているじゃないですか。だからステージに出る瞬間はちょっと怖かったんですけど、一音出したときに、お客さんがぶわーっと立ち上がった瞬間が結構印象に残っていて。そういうときに、お客さんからの“一緒にやるぞ!”という空気というか、一体感のようなものを感じましたね。

黒川:ドラムはステージ後方のライザー上に一段高くセットされているので、奥のほうのお客さんまで結構見えるんです。「巡る巡る」を演奏したときに、後ろのほうまでみんな跳んでくれていて。神サイのライブでこれだけの人数のお客さんが跳んでいることは初めてだったので、それを見た時に感動しました。“ツアーをやってよかったな”と思ったし、お客さんへの感謝の気持ちも演奏を通して伝えられたんじゃないかなと思います。

吉田:俺、ツアーが終わったらTwitterに感想を書きがちなんですけど、今回は全然言葉が出てこなくて。それはライブ中に全部を出し切れたからだと思います。

柳田:今回のツアーがいいものになった要因に、心当たりがあって。「クロノグラフ彗星」を全公演の1曲目として演奏したんですけど、あの曲の“巻き込む力”みたいなものに依るところが大きいんじゃないかなと思っています。「クロノグラフ彗星」は、コロナ禍真っ只中に作った曲なんですけど、“いつかこの事態が収束して、ライブハウスで対面できたら”という想いで歌詞を書いたんですよ。そういう願いのこもった曲を1曲目に持ってきたことで、お客さんとの距離が一気に近くなったんだと思います。「クロノグラフ彗星」はすごく大切な曲だし、今の神サイにとって大きな存在で。ただ、ツアー中の9月1日にIvy to Fraudulent Gameとツーマンをしたんですけど、あの日は「クロノグラフ彗星」ではなく「遺言状」を1曲目にしたんですよね。

──どうしてですか?

柳田:ツアーと同じようなセットリストの流れを一旦壊すことで、新鮮味を持たせようと思ったということ。それと、Ivy to Fraudulent Gameの企画ライブで我々はゲストだから、ちょっと実験的なことをやってもいいかなと思って。「尖ったことやりたいよね」「こういうのはどう?」「SEも作ろうよ」みたいな感じで車の中でみんなで話し合った結果、普段とは違うセットリストの組み方をしたんですけど、このやり方はしばらくやめとこうと思いました(笑)。

吉田・桐木・黒川:ははははは!

柳田:「遺言状」のあとが「巡る巡る」だったから、お客さんが明らかに戸惑っていたし、あれは俺がお客さんだったとしても「巡る巡る」でノリノリになっていいのかな?って戸惑っていたと思う(笑)。

──あはは。でもツアー中のいい気分転換にはなったのでは?

柳田:そうですね。普段とは違うことを一旦挟んだことで、ライブに対するモチベーションを上手く保てたんじゃないかと思います。


──そんななかで、10月17日には新曲「タイムファクター」が配信リリースされました。この曲はいつ頃作っていたんですか?

柳田:いつだろうなあ……。Sexy Zoneのみんなに楽曲提供した「桃色の絶対領域」と時期が被っていたかもしれません。だから夏前ですね。

──その時期、めっちゃ曲を制作してますよね。「愛のけだもの」(神はサイコロを振らない × キタニタツヤ コラボシングル)のインタビューで、「コラボシングル2作は併行して作っていた」とか「「愛のけだもの」は「桃色の絶対領域」と制作時期が被っていた」と仰っていたので。つまり、「初恋」「愛のけだもの」「桃色の絶対領域」「タイムファクター」は同じ時期に作っていたということで。

柳田:そうですね。春から梅雨の季節にかけてすっごく忙しくて、夏になったときに“よっしゃ、一旦落ち着いた!”と思った覚えがあるので。

──ああ、7月のインタビューで「休みができたから、サウナに行ったり、先輩とプリクラを撮りに行ったりしたい」という話をされていましたね。

柳田:そうです。だから夏が始まるまでは、ずっと何かを制作し続けていましたね。細かい時系列とかもう思い出せないくらい。

──曲を作るにあたって、アニメサイド(※アニメ『ワールドトリガー』3rdシーズン主題歌)からは何かオーダーはありましたか?

柳田:前回の「未来永劫」(※アニメ『ワールドトリガー』2ndシーズンエンディングテーマ)のときは、テンポ感などのご要望をいただいたんですけど、「未来永劫」以降、『ワールドトリガー』のプロデューサーさんやスタッフの皆さんが神サイのことを気に入ってくれたこともあって、今回は「神サイのやりたいことをやってもらえたらOKです。みなさんがカッコいいと思うものを作ってほしい」というふうに言ってくれて。それはとてもありがたかったんですけど、特にオーダーがなかった分、“こういう方向性にしようかな。いや、ああいう方向性にしようかな”という感じでデモは結構いろいろ作りましたね。オープニングテーマってそのアニメの第一印象となるようなものなので、めっちゃ大事じゃないですか。だから試行錯誤した覚えがあるし、特にボーカルのメロディラインは何パターンも作った記憶があります。

──最終的には、ギターリフが印象的なロックナンバーに仕上がりましたね。

柳田:今までの『ワールドトリガー』のオープニングテーマは、明るくて突き抜けるような疾走感があって、デジタルサウンドに寄った曲が多かったと思うんです。そんななかで、せっかく「好きなことをやっていいよ」と言ってもらえたんだから、逆の曲調とまではいかないまでも、すげぇロックな曲を作ってやろうという気持ちがあって。シンセを鳴らすことで、ロックな中にデジタル感を残しつつ、神サイらしいエモーショナルな感じとか、ハッピーなだけではない感じを見せたいと思いました。あと今後、僕らが大きな舞台に立てるようになったり、コロナが収束してお客さんが声を出せるようになったら、この曲がセットリストのラストを飾ってほしいという気持ちもあります。

──つまり、代表曲?

柳田:なので、間奏でシンガロングが入れているし、サビ中にもお客さんに歌ってもらうような箇所があります。

桐木:柳田の言うように、“ライブのラストにふさわしい曲だな”とデモを聴いた時点で僕も感じていました。フェスやイベントに出るときって、人気曲から順にやっていくのがセオリーだと思うんですけど、神サイの場合、そうするとバラードばかりになってしまうのが悩ましいところで(笑)。だけどこの曲はライブ映えしそうだし、今後フェスやイベントでもどんどんやっていけるような曲になるんじゃないかなと思います。

黒川:アニメのオープニングということで、“少年の心が震えるような曲にしたい”という気持ちもあったんですね。でも、曲のテンポ自体はそんなに速くないから、疾走感をどう出そうか?というところで結構苦戦しましたね。

柳田:それはデモの段階から結構話し合ったよね。BPMがそんなに速くなくても、ドラムプレイひとつで速く聴かせたり遅く聴かせたりすることはできる。とはいえ、このテンポでスピード感を出すってことがなかなか難しくて。

黒川:スピード感を出すために32分音符を入れたりしているんですけど、レコーディング前にスタジオで練習していたら、左太ももから血が出てきてしまって……。

──ドラムスローン(イス)との摩擦で!?

黒川:そうです。 昔、PTP (Pay money To my Pain)のインタビューでZAXさんが「スタジオに入り過ぎて太ももから血が出た」と言っていて。“そんなことあるのかな?”って思っていたんですけど、実際自分にも起きたので(笑)。“あ、本当にあるんだ”と思いました(笑)。

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