【ライブレポート】谷山浩子、年末恒例ホールコンサートに深い感動 “聴くたびに新しく、そして懐かしい”

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谷山浩子ファンにとって、年末恒例の風物詩と言えるホールコンサートが、12月11日に江東区文化センターホールで開催された。年末コンサートは2年振り、有観客のステージは半年振り、そしてニューアルバム『浩子の宅録』は先月リリースされたばかり。この日を待ちわびた観客はもちろん、ストリーミング配信を見守るファンの熱い思いも乗せて、午後5時30分、期待いっぱいの幕が開く。

◆谷山浩子 画像

1曲目は「同じ月を見ている」。輝く満月が背景に浮かび、力強いタッチでピアノを弾きながら、世界にひとつだけの美しく澄んだ歌声を響かせる谷山浩子。久しぶりに聴くナマの歌声は、半年振りとは思えないほどに生き生きとして、透明度の高さも以前と変わらず。


「どうぞ楽にして聴いてください」と話しかけながら、一人目のゲスト・石井AQのシンセサイザー演奏を加え、NHK『みんなのうた』から生まれた人気曲「まっくら森の歌」を、ぴんと張り詰めた緊張感と共に。真っ赤な照明のもと、「さよならDINO」をリズミックに心地よく。ニューアルバムからの「箱の中にいる」を、石井AQのあやつる分厚い音に乗せてドラマチックに。外の時間よりも時計の歩みが遅い気がする、濃密な時間がゆっくりと流れてゆく。


二人目のゲスト・安宅浩司は、栗コーダーカルテットのサポートギタリストとして谷山浩子ファンにも知られるシンガーソングライター。オリジナル曲「それでいいんじゃないかと」「いまだから」の2曲を、端正なアコースティックギターの爪弾きと、朴訥とした歌いぶりで披露する。古き良きフォークシンガー風のたたずまいが、むしろ新鮮な存在だ。

そこから安宅、石井AQ、谷山浩子のトリオで「人生は一本の長い煙草のようなもの」「さよならのかわりに」をセッションする、実はこの形式、ファンにはおなじみの企画コンサート<猫森集会>と同じ。つまり<年末ホールコンサート>と<猫森集会>が合体した、一粒で二度おいしいコンサートというわけだ。のんびりとした安宅の声と、透明感あふれる谷山浩子の声が重なり、魅力的なミスマッチを奏でる。これぞセッションの醍醐味なり。


15分の休憩を挟み、第二部の始まりを飾るのは3人目のゲスト、シンガーソングライターの相曽晴日。谷山浩子の楽曲やコンサートのサポートコーラスですっかりおなじみの彼女。今日は独り舞台ということで一層気合を入れて、最新アルバム『キミノヲトイマノオト』からの「銀河鉄道」「With You」を、自由奔放なリズムとメロディで伸び伸びと。

そこに谷山浩子と石井AQが加わり、谷山と相曽晴日のデュエットで聴かせる「秘密の花園」は、石井AQのデザインする幽玄なサウンドに、美しくも冷酷な歌詞の凄みが映える素晴らしいパフォーマンス。これも、セッションならではの豊かな実りだ。


さあここからは、4人総出演による賑やかなショータイム。4人がボーカルをリレーしていく「白雪姫と七人のダイジョーブ」、そしてNHK『みんなのうた』に提供した「花咲かニャンコ」と、愛らしくリズミックな2曲を、体を揺らしながらみんなで聴き入る。2年前までは、観客も含めた大合唱になっていた「花咲かニャンコ」を、今日は心の中で歌いながら、早く声を出して歌える日が戻りますようにと、願う心はみな同じだ。

すべて自宅のDTM作業で作り上げた『浩子の宅録』の紹介をしていたはずが、いつのまにか料理下手と料理トラウマの話へと脱線する、自由すぎるMCを笑顔で見守るメンバー、観客、そして配信画面の向こうのファン。谷山浩子を取り巻く世界は、いつだって優しい世界。リズミックな「のらねこ」は、手拍子をうながしながら一体感いっぱいに。モンティ・パイソンのカバー「フィンランド」は、安宅のギターの軽やかなストロークに乗り、どこまでも牧歌的に。そしてコンサート本編を締めくくる「海の時間」は、谷山浩子史上最も壮大な時をかけるラブソングの名曲として、心震わす深い感動と共に。安宅のギター、相曽のコーラスが、名曲をさらなる高みへと押し上げてゆく。


2022年4月29日、東京国際フォーラム ホールC、<谷山浩子デビュー50周年記念コンサート~5人でオールリクエスト~>。アンコールでのサプライズ発表に、この日一番の拍手が湧いた。当日は<猫森集会>でおなじみのオールリクエスト形式を、初心者にも入りやすくアレンジし、全年代に楽しめるものになるらしい。今から楽しみで待ち遠しい。

そしてこの日の本当のラストソングは、「きみのそばにいる」。4人でボーカルを分け合いながら歌うシーンに、心がふわりと温かくなる。久々のコンサートという緊張感も感じさせつつ、今歌いたい曲を真心こめて届けてくれた、これが2021年12月11日の谷山浩子。


このコンサートのストリーミング配信、アーカイブの視聴は12月17日(金)23:59まで。長いキャリアの中で初のDTM録音に挑戦したニューアルバム『浩子の宅録』も絶賛リリース中だ。歌い続けて50年、それぞれの年代に記憶に刻まれる名曲を残し続けるスーパーソングライター・谷山浩子は、常に現在進行形。聴くたびに新しく、そして懐かしい。

取材・文◎宮本英夫
撮影◎能美潤一郎

■<谷山浩子コンサート2021>12月11日(土)@江東区文化センターホールSETLIST

【1部】
01. 同じ月を見ている
02. まっくら森の歌
03. さよならDINO
04. 箱の中にいる
05. それでいいんじゃないかと
06. いまだから
07. 人生は一本の長い煙草のようなもの
08. さよならのかわりに
【2部】
09. 銀河鉄道
10. With You
11. 秘密の花園
12. 白雪姫と七人のダイジョーブ
13. 花さかニャンコ
14. のらねこ
15. フィンランド
16. 海の時間
encore
01. きみのそばにいる

▼出演
谷山浩子、石井AQ、相曽晴日、安宅浩司

■<谷山浩子コンサート2021>配信アーカイブ

視聴可能期間:12月17日(金)23:59まで
▼チケット
¥3,500(税込)
販売期間:12月17日(金)21:00
Streaming+ https://eplus.jp/taniyamahiroko/st/

■<谷山浩子デビュー50周年記念コンサート~5人でオールリクエスト~>

2022年4月29日(金・祝) 東京国際フォーラム ホールC
open16:30 / start17:30
出演:谷山浩子、石井AQ、斎藤ネコ、渡辺 等、山口とも
▼チケット
8,888円 (税込/全席指定/未就学児童入場不可)
一般発売日:2022年3月13日(日)10:00~
(問)ネクストロード 03-5114-7444

■アルバム『浩子の宅録』

2021年11月17日(水)リリース
【CD】YCCW-10394 2,530円(税込)
https://www.yamahamusic.co.jp/s/ymc/discography/1109
01. 鯨のため息(full version)
02. よく見えない子供
03. 箱の中にいる
04. 水晶散歩
05. 雨
06. 双子の鳥
07. 愛を込めて。海
08. なおちゃん
-Bonus track-
09. 春のさけび(初DAWデモ)
10. ROLLY&谷山浩子のからくり人形楽団(MTRデモ)
11. 箱の中にいる -instrument- (MTRデモ)

▼特典情報
https://www.yamahamusic.co.jp/s/ymc/news/detail/1307
※特典は数に限りがあり、なくなり次第終了となります。
※一部実施のない店舗もございます。あらかじめご了承ください。



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