【インタビュー】熊田茜音「思う存分自分探しの旅に出られるようになったら良いな」

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熊田茜音の1stアルバム『世界が晴れたら』が2月23日にリリースされる。アーティスト活動3年目を迎えた彼女が、何を感じながらこのアルバムを作っていったのか。これまでになく、心の葛藤が描かれたアルバムについて、レコーディング真っ最中だという彼女にインタビューした。
(※取材は2021年12月に実施)

■すごく自分をさらけ出したアルバムに
■なっているなぁと思います


──アーティスト活動3年目となりますが、デジタルシングルを5ヶ月連続で配信リリースするなど、楽曲はたくさん出されていますよね?

熊田茜音(以下、熊田):タイアップなどに頼らずに、私のことを知ってもらう曲を届けようということでスタートした企画だったのですが、いろいろなことを学ぶことができました。季節をイメージしながら制作をしていたので、最終的にカレンダーのようなデジタルアルバム『Colorful Diary』になったのですが、この企画が始まったときは、アーティストとして歌を歌えて楽しい!嬉しい!という気持ちだったんです。ただ、途中で自分って空っぽだなと気づいてしまって……。

──そうなんですか!?

熊田:8月から5ヶ月連続で配信リリースすることになっていたんですけど、途中で壁にぶち当たってしまったんです。これまでは楽しいという気持ちが先行していたので、乗り切れたんですけど、自分の届けたい想いって浅いなと思ってしまって……。特に9月曲の「夏空クロール」では、かなり悩んでしまいました。続く10月曲の「カコ→イマ→ミライ→?」では、歌い方の方向性は見えてきた気はしたけど、人間関係など、プライベートでのいろいろなことも重なってしまい、自分でも歌への向き合い方がわからなくなってしまったんですね。でも、そのときは私をよく知っていて、ずっと見てくださっている方々に支えてもらいながら乗り越えていくことができました。その経験を今回の1stアルバムの制作に活かすことができて、すごく自分をさらけ出したアルバムになっているなぁと思います。


▲『世界が晴れたら』【初回限定盤】


▲『世界が晴れたら』【通常盤】

──まだアルバムは完成していないですが、曲の歌詞を見ると葛藤が描かれていたし、そこから踏み出す光も見えたんですよね。それは配信リリースの企画を経験する中で出てきた感情が軸になっていたのですね。

熊田:軸にはなっていると思います。この配信リリースを経験せず、自分がデビューしてすぐにアルバムを作っていたら、きっとつまらないものになっていたと思います。なので、このタイミングでアルバムをリリースすることができて良かったと思っています。

──アルバム制作中というで、アルバムに収録されているシングル曲から振り返っていきたいと思います。デビュー曲「Sunny Sunny Girl◎」(TVアニメ『織田シナモン信長』オープニング主題歌)で熊田さんの笑顔のイメージが付いた方は多いと思います。

熊田:「Sunny Sunny Girl◎」は本当に大好きで、ここまで振り切った明るい曲はないと思うし、このときの私にしか歌えなかった歌になっていると思います。みんなでできる振り付けがある曲なんですけど、最近有観客のライブで歌って、「この曲を踊って楽しかった」という声をいただけて嬉しかったんです。みんながこの曲を好きでいてくれていることがわかって、今デビュー時より思い入れが強いかもしれないです(笑)この曲でデビューして本当に良かったです。

──TVアニメ『転生したらスライムだった件 転スラ日記』のオープニング主題歌「Brand new diary」はロックチューンで、寺島拓篤さんが作詞、R・O・Nさんが作・編曲をしています。

熊田:タイアップが決まったときは嬉しかったですし、R・O・Nさんの楽曲が好きだったので、書いていただけたことにテンションが上がりました。また、寺島さんも作品に寄り添いつつ、ライブで盛り上がる曲にしてくださったのですごく感謝しています。

──「まほうのかぜ」はnano.RIPEのお2人が曲を書いています。

熊田:キュンとくる爽やかな曲です。TVアニメ『スーパーカブ』のオープニング主題歌ということで、〈ギアを上げて〉などのカブ(オートバイ)にまつわるワードと自分の感情が掛かっているきみコさんの歌詞、佐々木淳さんらしい、歌いながらも包んでもらえているようなサウンド感が特徴的な楽曲です。


──YouTubeでも練習していましたが、いずれ弾き語りでも歌いたい曲ですよね?

熊田:やりたいです! 今アコギ練習中なので!

──そして「ココロハヤル」はTVアニメ『チート薬師のスローライフ~異世界に作ろうドラッグストア~』のオープニング主題歌です。TRUEこと唐沢美帆さんが作詞、作・編曲がmarbleの菊池達也さんということで、やはり熊田さんの楽曲にはランティスのアーティストが作家として多く参加している印象がありますね。

熊田:TRUEさんから“ランティスの妹”と言われたことが嬉しかったです(笑)。実際にTRUEさんは、お姉さんみたいな存在です。この間TRUEさんのライブに行ったんですけど、その日は私のライブもあって、ライブ自体は楽しかった反面、反省点も多く、もやもやした気持ちのまま見に行ってしまったんですね。そこでTRUEさんのあの歌唱力やパフォーマンスを見てしまって、もう半泣きですよ。本当は「ライブ良かったです!」と言いたかったのに、あろうことか、ライブ直後のTRUEさんに、自分のもやもやとした気持ちをぶちまけてしまったんです。でもTRUEさんはそんなときでも「私もそういう事はあったけど、技術的なことを考えるのは練習のときだけ。舞台に上がってそれを考えていたら届かなくなるよ」と言ってくださって、そうだよなぁって。後日ライブの感想を送ったんですけど、あのときのことだけどさ……ってさらにアドバイスをくださって。そんなTRUEさんだからこそ書ける歌詞なんだなと改めて思いました。歌詞の中に“特効薬”というワードがあるんですけど、そのときのTRUEさんのLINEのメッセージをスクショしていて、それが今の私の特効薬になっています(笑)。



──最新曲は、配信でリリースされた「またね、よろしくね」なのですが、この曲はアルバムの最後に収録されます。今このご時世だからこそ、このタイトルが心に響きますね。

熊田:この曲は、佐伯youthKさんと話をして作っていった曲です。私が出演していた番組『絆体感TV 機動戦士ガンダム 第07板倉小隊 ~ゆく絆くる絆~』のエンディング主題歌ではあるんですけど、「熊田さんの曲なので熊田さんの想いも入れよう」と言ってくださったので、人との絆に焦点を絞って、友達との話をしました。私、人間関係があまり上手ではなくて、わかってくれないならいいやとか、無理して一緒にいるなら一人でいようと思っちゃう学生時代を過ごしていたんです。でも気づいたら自分と一緒にいてくれる子たちがいて。その友人たちは良いところはもちろん、ダメなところも教えてくれるんですよね。いつの間にか大切な存在が周りにいたんだなぁと気づいたという話をさせていただきました。また、デビュー時に開催したイベントに来てくれた方と今後も歩んでいけるといいなと思っていたら、そこからコロナで会えなくなってしまったので、「私のことを応援してくれている人っているのかな?」と不安だったんですけど、SNSで温かい言葉を掛けてくれるファンの方々がいて本当に嬉しかった。そういう話をしてこの曲を作っていったんです。先日、有観客でライブをして、やっとファンの方の前で歌うことができたのですが、最初のイベントに来てくださっていた方々も来てくれたことにグッと来てしまったし、そこでまた会えたねっていう感謝の気持ちが溢れてきて。気軽に友達やファンの方に会えなくなってしまったからこそ、目に見えない絆ってすごく温かくて尊いものなんだなって感じました。この曲は、そういうことを歌った曲になっています。

──アルバムに収録されている新曲たちも、そうやって作家さんと話しながら自分の気持ちを歌にしていったのですか?

熊田:はい! 歌詞の内容を打ち合わせしたり、曲のイメージもそれぞれお伝えしました。作詞家さんとは1時間以上しっかりとお話をさせていただいて、曲に込めたい想いもお伝えしました。こういう形で曲を作っていただけて、本当に嬉しかったです。

◆インタビュー(2)へ
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