【インタビュー】Die(DIR EN GREY)、「自分たちにしかできないコアなものに振り切っていこうと」

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DIR EN GREYが6月15日に11枚目のアルバム『PHALARIS』をリリースした。

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本作には、シングルとしてリリースされた「落ちた事のある空」「朧」に未発表の最新曲9曲を加えた全11曲を収録。バンドの根源となる“痛み”を表現し続ける DIR EN GREY の全てが凝縮された作品だ。

アルバムは10分に迫る長尺の 「Schadenfreude」から幕を開け、中毒性のある強烈な個性を放つ楽曲が畳み掛ける。そして9分を超える「カムイ」で深い余韻を残しながらアルバムが締めくくられる。11作品目にして最も重く暗いアルバムだと言ってもいいだろう。

そんなDIR EN GREYにしか作れない本作について、Die(G)が制作エピソードを語ってくれた。

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■改めてバンドのことやライブに対しての考えを見つめ直した

──取材時の今、6月2日からスタートする<DIR EN GREY TOUR22 PHALARIS-Vol.I->のリハーサルに入っています。リハの前にはニューアルバム『PHALARIS』を何度も聴き返し、楽曲やプレイを身体に入れる作業もしたと思います。そうした中で改めてニューアルバムの手応えはいかがですか?

Die:まだマスタリングが終わってからそんなに日が経ってなくて、正直、全体像として捉えているというよりは、個々の濃い曲が集まったなという感じで。作品全体の雰囲気としては、まだ捉え切れていない部分があったりする感じかな。

──前作『The Inslated World』を発表したのが約4年前の2018年になります。リリース直後には、すでに新作に向けた曲作りを始めていましたよね。あの時点で、次にやってみたい欲求として、どんなものが浮かび上がっていました?

Die:前作からそんなに日が経っていない2019年からそこはスタートしていて、その時点ではとくに大きなテーマとかはまだなくて。『The Inslated World』のツアーもしていない状況の中で、新たなプリプロを始めていたんですよ。それまでやっていなかったような曲調だったりを、自分から出していこうという感じでね。



──『The Inslated World』の取材をしたとき、DIR EN GREYをとても意識して作った、といったニュアンスのことを口にしていました。それを経て、新曲に取り掛かり始めたとき、新たに見えるバンド像などもありました?

Die:この数年間は、世界中の人々にとって状況がとても変わった時間でもあったじゃないですか。未だに続いてますけど。その状況下で曲作りやプリプロはやっていく中で、もっと自分たちにしかできないものだったり、振り切ったもの……それは音楽だけじゃなく、ミュージックビデオやアーティスト写真1枚とってもそうだし、自分たちにしかできないコアなものに振り切っていこうと。そういう空気がバンド内に流れていたかな。

──コロナ禍により活動が思うようにいかない状況が続くと、視界は外側というより内側に、という?

Die:ライブがなくなったから制作する時間は増えたわけで、やっぱ考える時間がどんどん多くなっていきましたよね。改めてバンドのことを見つめ直したり、ライブに対しての考えだったり。

──とくにDieさんはライブジャンキーな面を持っているので、ライブができないことは相当なストレスだと思うんですよ。それでも進んでいかなきゃいけない。光を見出すために、何かきっかけもありました?

Die:ひとつ大きかったのは、去年東京ガーデンシアターで有観客ライブ(2021年6月5日<DIR EN GREY「疎外」-振替公演->)をやったこと。ライブ1週間前まで開催できるのか分からない状況ではあったけど、ライブが決まったことによって制作にも向き合っていけるというか。どんどん忙しくなってきて、いつもの感じが戻ってきたなというのはあった。仮に去年の東京ガーデンシアターもできなくて、秋のツアー(<TOUR21 DESPERATE>)もなかった場合、アルバムに向けて制作はできたと思うんですけど、自分はライブが決まっていない状態で、果たして制作ばかりやっていけたかなと。

──忙しいと、得体のしれないやる気やエネルギーって出てきますからね。

Die:そうそう。今まではライブやツアーをやって、レコーディングをして、音源を作ってリリースして、またツアーを廻る──そういうサイクルがあって、その中で締め切りに追われながらというのもまた力になるもので。ずっとそうやって活動してきたから、その波に乗れないと、時間はあれど、気持ち的についていけたのかなと。やる気みたいなものが自分の中から出てこないんじゃないかな。火が着かないような気がしていたんですよ。やっぱり有観客ライブでステージに立てたことは、自分の中で大きかった。


──東京ガーデンシアターの前後ぐらいから、Dieさんの中でモードが切り替わったんですか?

Die:もう波に乗れたからスイッチはしっかり入ってましたよ。

──『PHALARIS』に収録されている書き下ろし曲で、Dieさんが最初に産み落としたものは?

Die:2019年から作り始めた曲は、「現、忘我を喰らう」とか「13」。シングル「The World of Mercy」と同時期にプリプロを進めていった曲かな。2021年に選曲をしていく中で聴き直したとき、2019年に作った「現、忘我を喰らう」も「13」も、今でも全然尖っているなって雰囲気を感じたんで、改めて手直しをして。最近作った曲は「響」や「Eddie」。だから新旧が混ざっている。

──「現、忘我を喰らう」は、最初、Dieさんが作ったとは思わなかったんですよ。ソングライターとしての新しい側面を見ました。

Die:最近のDIR EN GREYの曲でなかったタイプのものはないかな、と考えながらギターを弾いているとき、こういうギターフレーズを思いついて、そこから膨らませていった感じですね。ある種、自分のド真ん中とか自然と出てくるものではなく、DIR EN GREYを見つめて作った感じです。

──キメ連発やポリリズム的な解釈のリズムアンサンブルなど、Shinyaさんも“難しい”と言っていたんですよ。原曲から細かくドラムフレーズも入れていたらしいですね?

Die:そこはShinyaさんにアレンジしてもらえればいいことなんでね(笑)。俺は大まかに作りましたけど、シンコペーションの具合は覚えないと難しいかなってのはある。なかなか身体に入ってきにくいですよね。でもボーカルのメロディが乗ることで、曲をボーカルがうまく引っ張っていってるなと。リズムだけ聴いていると、どうしても複雑でノリにくかったりするけど。でも歌のメロディが独特で、さすがやなと。



──ボーカルのメロディは、基本的に全て京さんにお任せですか?

Die:最近は全部そうですよ。だから、どう乗ってくるかは自分では全く分からなくて。原曲を作るときも、メロディをイメージしたギターなどは入れてなくて、オケのみなんです。だからどこがイントロ、どこがAメロとかもないわけですよ。それを京くんがどう捉えて、どう歌を乗せてくるかも楽しみで。整理するのは弦楽器隊がやればいいわけだから。

──原曲を作りながら他のメンバーを煽っている感じもありますね。

Die:確かにそれはあるかもしれない(笑)。いかに京くんの新たなところだったりを引き出せるか、新しいインスピレーションを京くんに与えられるか、そういうオケを作っているところがあるかもしれないですね。これだけやっていると、メロが乗りやすいコード進行に、もう飽きてしまう部分もあったりして。

──京さんのボーカル・スタイルは、もともと切り口はひとつだけではないから、原曲を作るのも常に練り直しが必要ですか?

Die:そこは常に考えながら。分かりやすいバッキングじゃ、ダメなんですよ。例えばメロディが乗りやすいコード進行がある、いわゆるサビっぽいところを作っても、それはそれでしかなくてグッと来ないんですよ。最終的にシンプルに聴かせるアレンジならありだけど、最初から分かりやすいところでやっていると、作曲もなかなか進まないんですよね。そういうものではみんなが満足できない。

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