【ライブレポート】VALSHE、10+2周年ツアーファイナルで「執念の今日を始めるぞ!」

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VALSHEが9月23日(金・祝)、品川インターシティホールにてツアー<VALSHE LIVE THE UNIFY 2022〜Follow the Tracks〜>のファイナル公演を開催した。同公演のオフィシャルレポートをお届けしたい。

◆VALSHE 画像

「10周年…そして12周年。“執念”の“今日”を始めるぞ!!」──9月23日、品川インターシティホールで魂の咆哮が響く。この日、メジャーデビュー12周年を迎えたVALSHEの全国4公演のツアーファイナルが開催された。12周年のツアータイトルに冠されたのは2年前の2020年発売のベストアルバムに付けられたタイトル「UNIFY」。10周年のアニバーサリーイヤーを、いわゆる“コロナ禍”によって奪われたVALSHEにとって、「UNIFY」の名前を掲げた今回のライブは単なる12周年のライブとしての位置付けではなく、世界規模の混乱に翻弄され続けた自身の活動の節目を、しっかりと踏み締め直す舞台だった。



執念の物語は静かに始まった。緊張感のあるオープニングSEと共に靴音が鳴り響く。10周年時に制作した楽曲「UNIFY」のミュージックビデオの最後のシーンがスクリーンに映し出される。緊張感を保ちつつも突如激しさを増すSEの中、スクリーンにはVALSHEの歴代のミュージックビデオが発表年を遡る形で断片的に映し出されてゆく。これからのひと時がVALSHEにとって、そしてそれを見守るファンたちにとっても重要な時間であることが痛いほどに伝わってくる。

SEはまたひとたび静寂に変わり、会場にいる全員の緊張を代弁するかのような心音が刻まれてゆく。会場の空気が一層張り詰める中、登場したのは「UNIFY」ミュージックビデオ内の衣装を身につけたダンサー二人だった。ファイナル公演以前の3公演では登場することのなかったダンサーにサプライズ出演に、おそらくそれまでの公演をずっと見守り続けていたであろうファンたちも思わず息を呑む。


力強いオープンハイハットの号令から始まったのは、もちろんツアータイトル楽曲「UNIFY」。重々しいビート感が特徴のこの楽曲はバンドの生演奏によってさらに重厚感を増して迫ってくる。ツアーを通して初めて披露されたダンス込みでのVALSHEのパフォーマンスは圧巻の一言。末広のドレッシーな衣装を纏っているとは思えない華麗な動きでダンサーと調和した動きを披露してゆく。最後のサビでダンサー2人にリフトされ、高らかに歌い上げるシーンは神々しさまで感じさせる。

次曲でスピードが一気に加速した。披露されたのはファイナル公演で初披露された「ACE of WING」。この楽曲も「UNIFY」と同様、渦中の2020年に発表されたアルバム『PRESENT』に収録されている楽曲。この曲をファイナル公演の2曲目に入れ込んできたところにも、VALSHEの執念を強く感じた。続いたのはVALSHEの代表曲というべき楽曲「Butterfly Core」。VALSHEファンなら誰もが知るであろうこの楽曲が今夜の物語の序章を彩るという豪華さ。スポットライトを浴びながら、VALSHEの声のみがピックアップされるシーンはこの楽曲ではお馴染みの演出。故に、VALSHEの数々のライブのワンシーンをオーバーラップさせたファンも多かったのではないだろうか。


「ファイナルのこの日、誰一人欠けることなく東京へ帰ってくることができました! ありがとう!」──VALSHE

初めてのMCでまず語ったのは、ファイナル公演を無事に開催できたことへの感謝だった。数年前まではこれほどまでに懸念することのなかった「開催できること」への言及があるのも、この数年の激動を具に象徴している。

「10周年、そして12周年を冠したツアー。みんな楽しみにしつつ緊張してるんじゃないですか? ライブは楽しいものです。ガッチガチにしたその身体、しっかりほぐしていってもらおうと思うんで! いいかな?!」──VALSHE

このライブの重みを理解しているファンたちを気遣いつつも、それを吹き飛ばすくらいに楽しんでいってほしいと語るVALSHE。その言葉にファンたちも心なしか表情が穏やかになる。そんな観客を鼓舞するようにギターソロが始まった。“楽しい”ライブのギアを加速させるかのようにスタートしたのは、VALSHEの通算100曲目として発表された楽曲「「SYM-BOLIC XXX」」。節目の楽曲ならではの強いメッセージ性がある一方で、ライブ映えするとにかく派手なアレンジは、ライブ会場全体の熱量を一気に上げてゆく。そこから「REVOLT」「Tigerish Eyez」とVALSHEライブではいずれも定番かつ王道なラインナップが続く。アニバーサリーライブならではの豪華な楽曲リレーに、ファンたちのペンライトを振る大きさも勢いを増し、会場のボルテージはまたたく間に最高潮に。


暗転したステージ上で、一つ大きく息をして中央に立つVALSHE。壮大なピアノとストリングスで始まったのは、バラード楽曲「君への嘘」。これまでとは一線を画した静かで煌々とした照明の中で、センターに佇み、聴衆に、そして自分自身に語りかけるかのように歌い始めた。スクリーンには「明日のVALSHEへ」という手書きの文字が映し出される。この曲が発表された当時から現在に至るまで、少しずつ変化してきたこの曲の意味合いが正直に綴られていた。

“たくさんの人に心配をかけた たくさんの人の愛情に気付いた 自分のための別れの歌を 誰かのための希望の歌へ”──2015年発表当時には、いちバラード楽曲という位置付けで始まったこの楽曲は、7年という長い時を経て、単なる心に染みる一曲として以上のメッセージを持って語りかけてくる。VALSHEの心からのメッセージを、目で、心で感じたファンたちの目には涙が浮かんでいた。

舞台を一度後にするVALSHE。始まったのは「君への嘘」のインストゥルメンタルだ。哀愁あるピアノ演奏、心に寄り添うようなクリーントーンのギター、歌うように語りかけてくるベースのフレーズ、大切に時を刻むドラム、全てがこの楽曲の世界を私たちの身体にさらに深く広く浸透させてくれているかのようだ。スクリーンには、VALSHEがこれまで披露してきたライブ公演の数々が、舞台裏の映像を織り混ぜ時系列に映し出されてゆく。啜り泣きの余韻と静寂を破るように始まったドラムソロを皮切りに、重々しいバンドセッションが始まる。ライブの第2章を知らせるかのうようなサーチライト。登場したのは「UNIFY」以来となるダンサーの姿。ファイナル以外の3公演とは全く違う演出構成に、観客は緊張感と、次曲への期待を胸にVALSHEの登場を待つ。


現れたのは黒と銀色を基調とした燕尾のジャケット、マント姿のVALSHEだった。髪をアップに変化させ、「UNIFY」の優雅な印象とは一転したクールで高潔なイメージを持つスタイルもまた“VALSHEらしさ”を感じさせる。そして始まったのは壮大なストリングスパート。VALSHEのダンス楽曲として長い歴史を持つ楽曲の一つ「jester」だ。VALSHEが所謂“顔出し”をしてまもないライブシーンを支えた楽曲がダンサー付きで再現され、旧知のファンにとっては“胸熱”な展開だったことだろう。短いSEから続いたのは「インスタントセレブリティ」。ダンスの振り付けがついた楽曲としては比較的新しいこの曲が「jester」とつながることで、VALSHEのライブパフォーマンスの中での“ダンス”という存在の位置付けの変遷を見てとることができた。繋がって始まったのは「vulgar gem」「EVALUATION」の2曲。こちらもVALSHEのダンス曲としては定番に位置付けられる楽曲。キレの良いダンサーのダンスに遜色ないパフォーマンスを見せながら、息もつかせぬメドレーラッシュを歌い続けるVALSHEは圧巻の一言だった。

一瞬の暗転を挟むと、会場がグリーン一色に染まる。始まったのは最新アルバム「ISM」の表題楽曲「GIFT」だ。この楽曲はミュージックビデオ内でもバンドサウンドとダンスパフォーマンスの融合を一つのテーマとしており、バンドとダンサーが一堂に介して披露されるのは勿論これが初めてのこと。真の「GIFT」の姿が披露された瞬間だった。

激しいダンスセクションはなんとまだまだ終わらない。三味線の軽快な調子が響き渡り、VALSHEの和楽曲「今生、絢爛につき。」が始まった。バンドサウンドと一体となったこの楽曲は、これまでのライブとはまた違ったドライヴ感を見せる。時折メタルな雰囲気を纏った重厚感をプラスしつつ、サビは縦ノリで会場を煽りに煽る。客席のファンたちは自分の席スペースが狭くて踊りきれない!とばかりにジャンプを繰り返し、VALSHEの舞を共に支えていた。続いたのは、全く別ジャンルながら縦ノリのクラブテイスト楽曲「Show Me What You Got」。さらにタオルを回すのが定番となっている楽曲「MANY ORDER」のメドレー。品川インターシティーホールはさながらクラブホールへと姿を変え、VALSHEとダンサーの煽りに合わせて会場全体がペンライトの鮮やかな光と共に上下左右に揺れ動いていた。


「サプライズどうでしたか? 今日はファイナル公演ということで仕込んでみました!」──VALSHE

怒涛のダンスセクションの後、楽しそうにダンサーをファイナル公演で投入したことに言及するVALSHE。実に25分間に及ぶ一連のセクションをやり切ったダンサー全員を紹介して労ってゆく。

「ダンサーとバンドが合体するの、<LIVE THE ROCK>(2015年)ぶりです。こっからもっと皆さんにぶっ壊れてもらおうと思ってます。皆さんもそのつもりで後半戦臨んでくださいね!」──VALSHE

そう煽って始まった後半戦1曲目は「COUNT DOWN」。焦燥感のあるシンセサウンドと、シルエットだけが映し出される照明から、バンドのオールインで一気に加速する。間奏でバトルシーンを含んだ独特な振付が織り込まれたダンスのキレも抜群。一気に会場の熱気が元に戻ってゆく。「踊れ東京!」──「CONTDOWN」終盤の煽りに鼓舞されるかのように始まったのは、重低音のベースソロ、ストロボの明滅でVALSHEとバンドメンバーの姿が断続的に映し出される。VALSHE曲でも屈指のヘッドバンキング楽曲「ジツロク・クモノイト」が続く。VALSHEは折に触れお立ち台にもたれ、地を這うようなパフォーマンス。途切れず矢継ぎ早に続いたのは「DOPE」この楽曲もVALSHEのライブではもはや定番中の定番と言えるようになった楽曲だ。サビの掛け声を促すパートでは、残念ながら大声を出すことはまだ叶わない。しかし、そんなことは瑣末なことに過ぎないと一笑に付されるくらいの会場の熱さがそこにはあった。


「休んでんじゃねえぞ! いくぞ!」──VALSHEの一声と共に始まったのは。「PLAY THE JOKER」。VALSHEの初のアルバムを飾ったこの楽曲は、ライブシーンでも常に重要なポジションを担ってきた。終始疾走感のあるこの楽曲と共にVALSHEの歌声も一層熱を帯びてゆく。アウトロでは激しいシャウトと共にヘッドバンキングで締め括った。会場が真っ赤に照明で染まると、このセクションのラスト「RIOT」の始まりだ。サビでは会場全体がジャンプ。持てる全てを注ぎ込んだようなVALSHEの歌声に聴衆たちも精いっぱいに拳を振り上げてそれに応える。最後の「RIOT」と歌い上げるシーンでは一瞬時が止まったようにVALSHEの声だけが空間を支配する。ドラムのスネアのフィルがそれを切り裂き、盛大なかき回しと共に大盛り上がりのセクションが締め括られた。そしてライブも終盤に差し掛かり、VALSHEはこの12年間を振返って、自分の中デビュー当時から変わっていない“根幹”について語り始めた。

「グレーなことが嫌いです。自分の意志を曲げるくらいなら全員敵でも構わないと思ってた。戦って戦って、それでも何にも変わらなくて、ふざけんなって叫びたい日があった。そんな日は、君と心をぶつけあって、何度も何度も救われました。自分の伝えたい言葉を、思いを曲げるなよって。心に、君に誓いました。何にも変わってない。VALSHEになったあの日から…13年目を生きようとするVALSHEも、こんな世界で、戦って、抗って、生きていくって決めたから」──VALSHE

「RAGE IDENTITY」はVALSHEが折に触れ、自身のアイデンティティを綴ったと語る楽曲だ。デビュー当時から変わらないVALSHEそのものと言える部分。歌声というよりは演説にも近い力強い言葉の一つ一つが一人ひとりの胸に刺さってゆく。照明は「RIOT」と同じく赤く彩られていたが、「RIOT」がVALSHEの“魂”とするならば、さながら「RAGE IDENTITY」の赤はVALSHEの“矜持”を体現しているようだった。「ラストー!!!」と張り裂けんばかりのシャウトと共に始まったのは「Myself -DECADE-」。VALSHEのデビューアルバムの一曲を2020年にバンドサウンドでリアレンジした楽曲だ。VALSHEにとって、VALSHEファンにとっての始まりの一歩となったこの楽曲はやはりこのライブの本編を締めくくるにふさわしい。本編を無事に走り切ったVALSHEは「12年間ありがとう!!!」と声をやや掠れさせながら叫び、この曲を締め括った。


力強い拍手がアンコールを促す。唐突なサイレン音から始まったのは「ドミノエフェクト」の前置きとして、ライブで定着した「コドモ団」のコールアンドレスポンス。声が出せなくとも楽しめるような構成に変更されており、クラップやジェスチャーを真似るなど、身体でやり取りするコールアンドレスポンス。ライブTシャツに身を包んだバンドメンバー、ダンサー、VALSHEは一様に晴れやかで楽しそうだ。「ドミノエフェクト」最後のポーズではダンサー4名とVALSHEで「UNIFY」の文字を表現。本編とは違う楽しい演出が満載のパフォーマンスだった。続いて始まったのは、ファイナルで初披露となる楽曲「Fragment」。出会えた“奇跡”とその先にある“未来”を歌うこの楽曲はまさにこのライブのアンコールにふさわしいメッセージがこもった楽曲だ。

「皆さん!アンコールありがとう!2年も待ったアニバーサリーツアーのファイナルが終わってしまいました。あっという間に駆け抜けてしまいました」──VALSHE

晴れやかな笑顔ながらも、あっという間に過ぎ去ったひと時を惜しむように語るVALSHE。一息ついた後に語り出したのは、12年の間、常に寄り添ってきた最大の理解者“あなた”への想いだった。

「君の12年間は君だけのものです。VALSHEも同じです。だけど、自分のためだったはずの音楽は、VALSHEの12年間は、気付けば、いつどの記憶にも君がいました。きっと、自分が思うもっとずっと前から、一人きりなんかじゃなかったんだ。いつかもっともっとみんなが年を重ねて、今日の日を忘れてしまっても、VALSHEはあなたと出会える道を選んで良かったと、今この瞬間も、心から思える。そんな12年間をありがとう」──VALSHE

涙ながらに、心からの想いを話したVALSHEが歌い出したのは「Sincerely」。VALSHEが、この場に集ったすべての人への「ありがとう」が詰まったこの楽曲を、それぞれの姿で受け止めているファン一人一人の表情が印象的だった。涙を流すもの、一瞬もVALSHEを見逃すまいと目を見開くもの、暖かな眼差しでVALSHEを見守るもの、十人十色の表情だったが、それぞれにVALSHEとの強い絆を感じることができた。

「すごくすごく名残惜しい時間だけど、すごくすごく幸せな時間を過ごすことができました。最後、最高の時間をみんなで一緒に作りましょう」──VALSHE

客席もステージも一体となって始まったのは「Shout of JOY」。ダンサーもバンドメンバーも再び一堂に会し、フィナーレを全員が最高の笑顔で彩ってゆく。会場も精一杯の笑顔と共に手を振って応える。「みんなとの12年間。それはVALSHEにとって宝物です。そんな宝物を持って、13年目みんなで向かっていこうね!」と曲の最後に、これまでの感謝と、これからの決意を叫んで、このライブの最後を盛大に締め括った。


執念──その言葉だけを取り上げれば、ネガティブなイメージだけが先行する言葉かもしれない。ただこの「LIVE THE UNIFY」のファイナル公演を振り返ったときに、その言葉は必ずしもマイナスなマインドだけで発された言葉ではないように感じた。然るべき日に果たせなかった、遂げられなかった思いをバネにして、さらなる進化と共に更なる未来を提示したVALSHEの“執念”は、それを目にした聴衆すべてに、清々しい爽快感と、明日への活力を与えたに違いない。

アンコールでは、VALSHEの今後の舞台活動や、アルバム制作、そして未だ果たせなかったもう一つのライブツアーについても言及があった。VALSHEのこの数年で抱え込んだ“執念”はこれからの歩みの中でも、きっとポジティブな原動力として働き続けていくことだろう。13年目のVALSHEの活動を、より一層期待したくなる。そんなアニバーサリーのライブだった。

取材・文◎日下真平
撮影◎Kyoichi Sugisaki

■<VALSHE LIVE THE UNIFY 2022〜Follow the Tracks〜>9月23日(金・祝)@品川インターシティホール SETLIST

01. UNIFY
02. ACE of WING
03. Buttefly Core
04. 「SYM-BOLIC XXX」
05. REVOLT
06. Tigerish Eyez
07. 君への嘘
08. メドレー
 〜jester〜インスタントセレブリティ〜vulgar gem〜EVALUATION
09. GIFT
10. 今生、絢爛につき。
11. メドレー
 〜Show Me What You Got〜MANY ORDER
12. COUNT DOWN
13. ジツロク・クモノイト
14. DOPE
15. PLAY THE JOKER
16. RIOT
17. RAGE IDENTITY
18. Myself -DECADE-
encore
en1. ドミノエフェクト
en2. Fragment
en3. Sincerely
en4. Shout of JOY

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