【インタビュー】スリップノット、ショーン “クラウン” クラハンが語る『THE END,SO FAR』の真実「これまでの流れの終わりがここにある」

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スリップノットが9月30日、3年ぶりの新作にして通算7枚目のスタジオアルバム『THE END, SO FAR』をリリースする。プロデュースはスリップノットとジョー・バレシの共同によるもの。先行リリースされた「The Chapeltown Rag」「The Dying Song (Time To Sing)」「Yen」をはじめとする全12曲が収録された。

◆SLIPKNOT 動画 / 画像

「新たな音楽、新たなアート、新たな始まり。終焉の準備をしておけ」とはショーン “クラウン” クラハンによる『THE END, SO FAR』についてのコメントだ。ひとつのモーメントの終わりと、これからの人生の始まりを象徴するという同作について、ショーン “クラウン” クラハンが語ったインタビューをお届けしたい。スリップノットは2023年4月、<KNOTFEST JAPAN>での来日も決定している。

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■成熟した大胆不敵なアルバム
■俺自身も誇りに思っている

──最新作『THE END, SO FAR』の出来栄えに関する現時点での感触について。

「俺自身としては、とても素晴らしい作品に仕上がったと感じている。1stアルバム以来これまで23年間にわたり音楽的な探求を続けてきた結果、今作ではもうこれ以上新たな何かを探す必要がないと思えるほどの地点に到達できたと感じている。とても成長することができたし、成熟感のあるアルバムになった。そして成熟した作品だからこそ面白くて他とは一線を画するものになっている。俺にとっては異質なものであると同時にとても愛着深い作品だが、思い入れが強すぎていまだに自分の中で整理しきれていないところもある。このアルバムのために働きまくったから疲れ果てている、というのも正直なところだ(笑)」

「繰り返しになるが、俺自身は今作の完成をもって、これまで探し続けていたものをこれ以上探す必要がなくなったと感じている。もうすべてを見つけたからね。それによって俺たちは、これまで以上に素早く到達点に辿り着くことができるようになった。このバンドは7枚ものアルバム契約を結んで、これまで制作を重ねてきた。そして結成からこれまでの25年間は、素晴らしい芸術作品を最高にクリエイティヴな人々と共に作り上げてきた“思考のプロセス”だった。この区切りの到来に向けて今作を完成させることができたのを誇りに思っている。終わりは始まりに過ぎず、始まりは終わりに過ぎない。混乱したり心配したりする必要はない。これはただの現状であり、さまざまな結果に繋がっていくことだろう。言いたいことをまとめると、成熟した、大胆不敵なアルバムになっているし、俺自身も誇りに思っているということ。みんなもきっとこのアルバムに圧倒されることになるはずだ」


▲アルバム『THE END, SO FAR』

──パンデミックがアルバム制作に及ぼした影響と今作の制作時期について。

「パンデミックについて知ったのは、ヨーロッパから帰国して、ラスヴェガスで少し休養を取っていた時期だった。その時にコロナに関するニュースを初めて聞いたんだ。それからしばらく家で過ごしていたんだが、(2020年春に予定されていた)日本公演をキャンセルしなければならなくなった。そのあとで今回のアルバム制作に向けて考え始めた。制作に数年かかり、その間にも世界ではいろいろなことが起き、ロックの世界においてもさまざまなことが起きた。そうした意味においては、どんな仕事に就いている人だろうとパンデミックの影響を受けてきたはずだ」

「実際、とてもチャレンジングな時期だったし、このアルバムはパンデミックに取り囲まれながら制作したようなものでもある。なにしろパンデミックがピークの時期に作曲とレコーディングをしていたからね。ただ、俺自身はそうした現実からは距離を置いていた。ニュースを見ず、世界のトラウマに耳を傾けないことにしていたんだ。誤解して欲しくないんだが、俺もまた人類の一員だし、みんなの痛みにも共感する。だけど俺自身を痛みから解放するために、夢の中に没入していた。その成果として『THE END, SO FAR』が出来上がり、今現在に至っているというわけだ。そうした意味においてこのアルバムは俺にとって本当に個人的なものでもあるし、その制作プロセス自体がセラピー的なものでもあった。わかってもらえるはずだが、俺はいまだに深い悲しみの中にいる。このアルバムはそれとは異なった視点、異なった色彩のパレットから生まれたものだといえる。俺はビジネスのことを忘れて芸術的創作に勤しむ時間を心から楽しんだよ。そしてある意味、このアルバムとそうした制作過程すべてがパンデミックという夢に影響されているともいえる」

「話を整理すると、正確な日付などは憶えていないけど、この制作過程が始まったのは日本公演キャンセルを決めた当時だったと思う。俺の別宅には小さなスタジオがあって、基本的にデモ制作などは全部そこでやっていた。メンバーたちもそこに来ては帰っていき、制作プロセスが進んでは止まる、という感じだった。とても長い過程だったし、それ自体がとても変わったものではあった。お察しのとおり、俺たちは集まりのいいバンドではないし、変更なども多い(笑)。大勢が集まる時にはコミュニケーションやクリエイティヴな作業が大変な場合もある。なにしろ山ほどのアイディアや各自の夢がそこに注ぎ込まれることになるわけだからね」


──『THE END, SO FAR』という意味深長なタイトルについて。

「アルバムが完成する前からこのタイトルが決まっていたわけではない。完成後に命名したというわけではないけど、コリィ・テイラーがこのタイトルを思いついて共有してくれたのは制作の最終段階あたりだった。このタイトルは人によって異なった意味を持つはずだと俺は考えている。そして俺としては、コリィにとって以上に俺自身にとってより深くて感情的な意味合いを持っていると感じている」

「彼がこのタイトルの意味を教えてくれなくても俺にはそれがわかっている。俺にとっては“これまでのことの終わり”を意味しているんだ。俺は物事を文字通りに受け止めるタイプだし“世界の終わり”といいうものを信じているんだ。誰もが早かれ遅かれ自分の死と向き合い、自分がこの世界で何をしてきたのか、それで良かったのか、何かを変えることができたのか、充分に成果をもたらすことができたのか、と考えることになる。俺は今、人生におけるそうした地点にいるんだ。ただ、そういう意味があるということを他のみんなに押し付けるつもりはないし、それぞれの解釈があっていい。だからこそ議論というものが起きるんだろうね。明るい意味で受け止める人もいれば、暗いものだと感じる人もいる。それが現実の美しさだと思う」

── 一部で囁かれている解散説について。

「このアルバムのタイトルが示唆するのがそれではないとは言い切れないね。このバンドに占い師は一人もいないし、俺たちは時間を所有しているわけでも買い取ることができるわけでもない。将来何が起きるのかはわからないよ。俺は残りの人生をSLIPKNOTとして過ごすつもりなのか? もちろんそうだ。でも、今は“ひとまず終わり”という時期でもある。すでに亡くなってしまった仲間達もいる。今のところはこれで終わり、そして、それを乗り越えていくってことなんだ。バンドがいつまで存続していくかなんて誰にもわからないし、それこそ人生と同じことだ。これが“とりあえずの終わり”ではなく“永遠の終わり”かもしれないとなれば、きっと今そこにある現実に大いに感謝することになるだろう。そしてそのまま夢を追い続け、そこから目覚めることなく夢想の中で生き続けられるかもしれない」

「このバンドは7枚ものアルバムを制作してきたが、この先の未来については未知だ。何故かといえば、そんなのはどうでもいいことだからだ。重要なことではない。また同じレコード会社と契約するかもしれない、そうじゃないかもしれない。このタイトルは四半世紀をSLIPKNOTに捧げてきた俺の人生だともいえる。人々がそれを気に入るかどうかはわからないが“これまでの流れの終わり”がここにあるということだ」


──現地点がひとつの“END”だとすれば、バンドはすでに“次”に向かう段階にあるのか?

「SLIPKNOTのアート、SLIPKNOTの生き方というのは、本当に難しいものだ。でも今の俺に言えるのは、四半世紀に亘って俺たちが成し遂げてきたこと、やってきたことをとても誇りに思っているということだ。自分たちに起こることすべてに理由があり、すべてを自分たちのためにやらなければならない。自分たちのためにやれば、ファンも応援してくれるし、もっと愛してくれるはずだ。俺たちはアートを作っているわけで、たまたまその機会に恵まれて、それがうまくいった。それは俺がずっと望んでいたことなんだ」

「SLIPKNOTはこれからどこに行くのか? 今の気分は最高だよ。人生はチャレンジングであり、俺はこれまでの自分をすべて捨て、この4年で違う人間になった。だからこの『THE END, SO FAR』というアルバムにとても興奮している。深呼吸して、これから進むべき道を決めるということだな。俺は挑戦することが好きで、新しい冒険が好きなんだ」

◆インタビュー【2】へ
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