【対談インタビュー】OnlyOneOf「ズルい女」カバーに寄せて。つんく♂×チョン・ビョンギ プロデューサー対談

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──今回リメイクをしたことで、改めてチョンさんが感じたJ-POPとK-POPの違いを聞かせてもらえますか?

チョン:まず、J-POPはメロディーが特殊です。つんく♂さんファンとして、これまでつんく♂さんの曲をたくさん聴いて研究してきた私は、そのユニークさに引き込まれたところが大きかったです。「ズルい女」は、その面白さを引き立てるために、昔だったらブラスだけでもいい刺激を与えられたと思うんです。でも、いまは時代に合わせてアレンジも派手なものが多くなっていますので、今回サウンドアレンジの部分ではEDMサウンドを使って、もっと強い刺激を与える感じにしたんですね。でも先ほど申し上げたように、シンコペーションのところにこの曲のリズム感のユニークさ、楽しさが含まれているので、それを大事にしながらどのように生かすか。そっちのほうが自分にとっては重要なアレンジポイントでした。ここのシンコペーションのところは崩しちゃいけない、触れちゃいけない感じもありましたから。

つんく♂:まず、音楽プロデューサーであるチョンさんが僕の音楽が持っている細かい音符をここまで見事に聴き分けていることが嬉しいんですが、さらにそれをメンバーたちが当たり前のように歌っている。これはやはり、凄いことだと思うんですね。

──日本人のダンス&ヴォーカルグループだと、こんな風には歌えなかったでしょうか。

つんく♂:ええ。僕がこの25年以上、韓国の音楽と日本の音楽を聴いてきて感じるのは、音楽だけでなく、国民性の違いなんです。

──国民性の違いとは?

つんく♂:韓国の国民のみなさんはシャッフルリズムを体のなかに持ってるように思います。サッカーを応援するサポーターのリズムからして、すでに日本とは違いますから。韓国のみなさんの応援は“テーハミング チャチャッチャチャッチャ”。日本は“ニッポン チャチャチャ”ですから。その違いです。

──全然違いますね。

つんく♂:これはまじめな話なんですけど、「ズルい女」のAメロのリズム。僕にとっては当たり前のリズムというか音符なんですが、日本では僕のモノマネをする人でさえも、歌だけは真似できないって人が多くて。「なんであのリズムがとれないんだろうな〜」と、ずっと思ってたんですよ。でも、韓国のポップスではたくさんあのようなリズムの曲が出てくるんですね。演歌歌手のおじさんだってリズムをしっかりとって歌ってますし。

チョン:ええ。

つんく♂:週末の昼間にやってるような演歌のライブ番組を観ると、演歌歌手でもバックダンサーをつけて、ポップスのように歌ってますよね?

チョン:そうですね。

つんく♂:だから、そもそも持ってるリズム感が違うように思います。

チョン:あぁー。だから韓国はリズム中心、日本の音楽はメロディー中心の曲が多いんだと思います。でもそのなかでつんく♂さんは異色で。メロディー中心のJ-POPのなかで“リズム感中心”のK-POPのようなスタイルをやってると思ったんです。なので(モーニング娘。の)大ヒットした「恋愛レボリューション21」は韓国でも有名なのですが、あれがいまのK-POPに影響を与えていたと思います。


──楽曲を制作するにあたって、つんく♂さんは昔からリズム感中心の楽曲というのは意識されていた部分なのでしょうか?

つんく♂:僕はR&B やモータウンがただただ好きなだけなんです。だけど、それをバンドで演奏したり歌うとなるとなかなか難しいんですね。でも、大好きだったんですよ。それで、モーニング娘。のプロデュースが始まって。僕の大好きだったブラックミュージックをポップスにしていったら、ああいうふうになっていきました。最近ではブルーノ・マーズのような音楽が分かりやすくて好きです。

チョン:シャ乱Qはバンドでしたけど、ファンキーなサウンドをやってらっしゃいましたよね。ファンキーなサウンドを熟知してらっしゃったからこそ、アイドルのプロデュースをはじめたときも自然とそこに基盤に置いて、プロデュースをされたのではないかと私は思うのですが。

つんく♂:一般的に“つんく♂はアイドル音楽を作ってる”と認識されてる事も多いと思いますが、そんなに深い部分までチョンさんが気がついてくれていることに、僕は敬意を評します。「やっぱ音楽が好きな人なんだな〜」って改めて思いました。仲良くなれそうです!

チョン:これはですね、OnlyOneOfのプロモーションだからというのではなくて、本当に本当に昔から自分はつんく♂さんの曲をたくさん聴いてきて、尊敬して、愛してきたからです! だから、このようにつんく♂さんと対話できるだけでも、実はとても嬉しくて信じられないぐらいなんです(照笑)。個人的には(モーニング娘。の)「Mr.Moonlight ~愛のビッグバンド~」が一番好きです!

つんく♂:(笑顔で)素晴らしい! 「Mr.Moonlight ~愛のビッグバンド~」はアメリカの古き良き時代感をポップスに仕上げたところに勝因があると思います。日本には宝塚(歌劇団)という音楽文化もあるので、そういうのも少しオマージュした感じです。ところで、韓国は日本よりも5年以上も早くCDショップが街からなくなり、デジタル化されて、いまはサブスクでの音楽市場だと思いますが。K-POPの音楽プロデューサーは儲かっているのですか?

チョン:はい。たくさん儲かってます(笑)。

つんく♂: 韓国市場ではCDというような商品がない分、何を人気のバロメーターにしているんですか?

チョン:おっしゃっていただいた通り、いま韓国ではデジタルストリーミングが主流になっています。韓国はすでに国内の大衆相手に音楽を作っていなくて、全世界のファンに対して音楽を作ってるので、全世界のストリーミングの収益をバロメーターとして定めています。ただ、アイドル市場に関してはいま逆に、CD市場が急成長していまして。世界ではCD売り上げがどんどん減少する一方ですが、韓国では逆にセールスが伸びてるんです。ご存知のように、CDは聴くためだけのメディアではなく、それを購入することによってメンバーとのハイタッチや握手会など、推しの人に会うためのチケットも兼ねているので。そのCDの売り上げもチャートにはなっていますね。

つんく♂:では、OnlyOneOfの韓国での今後はどのような計画を考えていますか?

チョン:OnlyOneOfは韓国よりも海外のほうがファンが多いんですね。我々が曲を作っている場所は韓国ではありますが、マーケットとしては様々な国があるなかの1つに韓国があるという認識で作業をしています。なので、韓国で積極的に動いて、細く長く活動するのはなく、海外でどのように展開していくのかを考えています。なので、大きな規模ではまだないですが、来年からワールドツアーをやろうと計画しています。

つんく♂:髪型や衣装など、彼らはいわゆる一般的なK-POPアイドルとは違うように見えますが。それは彼ら自身のアイデアなのか、チョンさんのアイデアなのか。その辺はどうですか?

チョン:彼らのアイデンティティーもそうなのですが、既存のK-POPアイドルにはないところが多いんですよ。なので、自分はいつもメンバーたちと相談した上で決めています。


──つんく♂さんから見て、OnlyOneOfは日本でブレイクしそうですか?

つんく♂:日本にくればくるだけ人気は出ますよ。

チョン:ありがとうございます!

つんく♂:彼らにはそういうサービス精神を感じます。

チョン:実はですね、OnlyOneOfはつんく♂さん世代ではないので今回「ズルい女」の作業をするにあたって、つんく♂さんの歴史、スタイル、すべてを彼らに勉強させました。

つんく♂:スゴい!

チョン:次、来日したときは、メンバーも含めて、つんく♂さんの歴史、曲について一緒にお話ができたら嬉しいです。

──今回の対談の延長戦&拡大版ですね。

つんく♂:(手のジェスチャーで)OK! ビールでも飲みながら!

チョン:本当に嬉しいです。いままでリメイクといえば、昔ヒットした曲をいま風にという感じで軽い気持ちでやってきましたが。「ズルい女」に関しては、本当につんく♂さんのことを理解した上で作業をしたので、当然メンバーもそこを理解する必要があったので勉強させたんですよね。結果、仕上がった作品には自分もメンバーも満足してますし。ミュージックビデオを公開したときのファンのリアクションもとてもよかったので、自分の選択は正しかったのかなと思ってます。

つんく♂:うん。正しかったと思いますよ。

チョン:ありがとうございます。

つんく♂:僕はいまハワイに住んでいて、今回もまたすれ違いで彼らとは会えないので、ハワイからお土産を買ってきました。それをテイチクさんに渡しておきますね。チョンさんの分もあるのでご安心を!

チョン:ありがとうございます。私もつんく♂さんのファンでありまして、音楽以外、体のことももちろん知っております。どうか末長く元気に活躍していただきたいなと思います。

つんく♂:ありがとう!

チョン:本日は貴重なお時間をいただき、感謝申し上げます。

つんく♂:長く韓国にも行ってないので、また遊びに行きたいと思います。チョンさんも体に気をつけていっぱい食べてください。今日はありがとう!

【After Message from つんく♂】
テイチクさんから“チョンさんはつんく♂さんのファンなんです”と事前に聞いてて。まあちょっと聴いたことがある程度かなと思ってたら、実際はよく知っててくれて。一般的に僕の音楽のこだわりを説明してもなかなか理解してもらえないことも多いのに、それをちゃんと音楽的に理解してたのが一番の驚きだった。

K-POPが若者に支持されているのは、リズムの心地よさがあるからなんですね。日本人は知らない間にK-POPを聴いて「あー気持ちいいな」と感じている。僕は逆に、そこを意識的に曲にしてるつもりなんです。僕としてもリズム(アクセントの位置など)で負けたら悔しいし。日本の音楽シーンでドカンとヒットするに至らなくても、曲として聴く人が聴いたら「ああかっこいい作りだな」って感じてもらえるように意識して作ってます。

そうしたら、彼みたいにアンテナを持ってる人は“これだけ違うな”というところに気づいてくれる。そういう音楽を作っておかないと。“どうせ気づかれへんし、日本人だけにウケればいいや”という音楽を作っちゃったら、ダメだなと思うんです。つんく♂節はなにかが他と違うよねっていうのを一般的には理屈で理解できなくても、体で“楽しいな”と感じてもらう。そうやって曲を作っておけば、海外でもJ-POPのなかで“これだけ違うよね”と感じてもらえるはず。そういう風に常日頃から種まきをして何年もかけて耕していく。1〜2年とかじゃなくずっとやり続けるんですよ。いつか収穫する日がくると信じてね。やり続けてると彼みたいな若いプロデューサーが気づいてくれる。だから、今回は本当に嬉しかったです。

取材・文◎東條祥恵

OnlyOneOf 2ndシングル「ズルい女」

2022年10月19日(水)発売

初回限定盤A(CDS+DVD)
¥2,500(税込)/¥2,273(税抜)

初回限定盤B(CDS+DVD)
¥2,500(税込)/¥2,273(税抜)

通常盤(CDS)
¥1,500(税込)/¥1,364(税抜)

収録楽曲:
(初回限定盤A&B共通)
1. ズルい女
2. ヒドい男

(通常盤)
1. ズルい女
2. ヒドい男
3. ズルい女(instrumental)
4. ヒドい男(instrumental)

DVD収録内容:
初回限定盤A:「ズルい女」MV Behind the scene
初回限定盤B:「ズルい女」Jacket Behind the scene

OnlyOneOf 配信シングル「ズルい女」

2022年9月7日 配信スタート
https://onlyoneof.lnk.to/Zurui-Onna

◆「ズルい女」配信リンク
◆OnlyOneOf アーティストページ(テイチクエンタテインメント)
◆OnlyOneOf 日本オフィシャルサイト
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