【インタビュー】Cö shu Nie、<何もしたくない>と歌う「no future」に色濃い人間味「救いや安心に繋がるんじゃないか」

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■ <もう何もしたくない>という気持ちを認知して共有する

──声に焦点を当てた「夢をみせて」があり、原点である3枚のアルバムを配信し、新曲「no future」を届ける前に、2024年秋にニューアルバムをリリースすることを発表しました。

中村:最初にアルバムのイメージがあって、「no future」はアルバムのテーマに向けての1枚目のカードですね。そのテーマはまだ明かせないんですけど、私達の曲を聞いた人たちが、<自分のことを愛せるように>っていう願いは自分の根源にあるので、そういう作品に向けての1曲目です。

松本:こういう発表の仕方を今までしたことなくて。Cö shu Nieを愛してくれてる方って、本当に1曲1曲への愛が強いんですよ。考察してくれたりするからこそ、1年半先に出すっていうのを踏まえた上で、今から出していく楽曲たちをより楽しんでもらえるんじゃないかなっていう考えもあります。一つのアルバムっていう到達点に一緒に向かっていく感じもするし、ファンの方とより近いというか、同じ気持ちになれるんじゃないかなとは思いますね。自分でもすごい楽しみだし、どうやってみんな反応してくれるんだろうっていうのも楽しみです。

「no future」ジャケット

──「夢をみせて」は別で、ここからアルバムに向かっていくと言うことですよね。

中村:そうです。「no future」は、<何もしたくない>っていうところに対する動機をテーマに作っていて。朝起きて、今日はもう何もやる気ないな、みたいな日がたまたまあったりする。もしくは、ただただ毎日が忙しすぎて心を無くしてしまい、今日だけは何もしたくないってこともある。もう一つは、自分が何をやっても何も成し遂げられないという劣等感みたいなところから、もう何をしても意味ないし、社会に対しての絶望感から未来もないって感じてしまったり。いろんな動機から、<もう何もしたくない>という気持ちになる瞬間って、きっと誰にでもあるなと思って。そういう気持ちが、特に、空洞をより深くするというか、すごく人を孤独にするし、周りとの乖離も感じさせる。で、立ち戻るんですけど、<自分を愛するような心持ちになっていけるように>……これは、ロングスパンで考えてるんですけど、そういう作品を作っていきたいと思ってるんで、第1弾としては、<もう何もしたくない>という気持ちを認知して共有するっていう。誰にでもあるし、私にもこういうことがあるっていう告白みたいなところで、私たちはそれでも生きているし、罪悪感を感じなくてもいいのではないかと思っていて。

──未来さんにもありますか? 

中村:もちろん、ありますよ(笑)。病むこともありますし、今日は何もしたくない日もありますし。

──それにしても、第1弾が「もう何もしたくない日」というテーマにたどり着いたのはどうしてですか。

中村:まず、バンドサウンドをやりたいなと思って。そこから、私らが今、表現するものってなんだろうと考えて。グランジやインディーロック、R&Bを表現したいなと思って、サウンドありきでもありましたね。

──ハードでヘヴィながらも気だるさのあるグランジから、<何もしたくない>に繋がっていくイメージですよね。ただ、ビートは「夢をみせて」に続き、R&B/ヒップホップマナーになってます。

松本:そうですね。「夢をみせて」に若干のテンポ感や雰囲気が似てる中で、グランジ感は強くなったんですけど、このグランジ感はめちゃくちゃ絶妙で。歪ませ方は3段階ぐらい大きく分けた中の一つと思ってて。ロックベースなんですけど、ロックベースじゃないから、めっちゃ難しいなっていうまた難題が来たなっていうのは正直あって。

中村:グルーヴって感じかな。

松本:そう。でも、やっぱりそれって、生バンドじゃないとできないことだったりもするし。ある意味、超バンド感だなっていうのもあったんで、責任重大だなとも思いました。また、別の解釈として、「夢をみせて」では歌を映えさせるための縁の下の力持ちって役割だったんですけど、今回はある意味、歌と位置的には違うんですけど、役割的にはグルーヴを作るものとして、同じぐらい重要だなって思ってたんで、結構、頑張りましたね。ベースの本体を変えたりもしましたし。

中村:イメージするサウンドが結構明確にあったので、バイオリンベース使ってもらって。ギターもジャズマスは使わないって決めてたのに、今回はジャズマスしかないなってなってジャズマスを使いました。

松本:ぴったりだったね。

中村:カッコいいからな。当たり前にかっこいいから、逆に使わないって思ったんですけど、使っちゃいました。

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