【対談連載】ASH DA HEROの“TALKING BLUES” 第16回ゲスト:GRANRODEO

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■理想の曲と歌と歌詞だったんです
■自分の中でGRANRODEOは


──そろそろNarukazeさんの緊張もほぐれたところでお訊きしますが、GRANRODEOとは前のバンドFo'xTails時代に事務所もレーベルも同じだったということですが、関係性は深かったんですか?

ASH:GRANRODEOさんの話がよく出るんですよ、Naru君と一緒にデモを作るときに。

e-ZUKA:なんで?

KISHOW:やっぱ、もらった1万円の引け目があるからじゃない(笑)。

e-ZUKA:記事にするときは1桁増やしてほしいな(笑)。10万円にしておいてよ。

KISHOW:ははは! 解散ライブに行って、いいオトナの先輩から後輩に渡すご祝儀が1万ぽっちというのはセコいよね。

e-ZUKA:だってメンバーが5人ぐらいいたんだから、たいへんだよ(笑)。


▲e-ZUKA(G)


▲Narukaze(G)

ASH:それだけ面倒見ていただいていた後輩のNaru君から、お二人とのエピソードを改めて聞きたいな。

Narukaze:実はレーベルの先輩として直接お会いする前、ギター雑誌でe-ZUKAさんが審査員のコンテストがあって、それに僕は応募したことがあるんです。e-ZUKAさんの作ったオケに、自由に演奏して応募するというギターコンテストで。

e-ZUKA:思い出した! 審査を務めるどころか、俺が課題曲を作ったギターコンテストだよね(笑)。

Narukaze:Fo'xTails結成前だから、10年以上前だったと思います。その後、吉祥寺のライブハウスでセッションライブがあって、観に行かせていただいたんですけど、そのときがe-ZUKAさんとの「初めまして」で。GRANRODEOを初めて観たのは、神奈川県民ホールのアコースティックライブ(<TEAM RODEO SPECIAL PROGRAM GRANRODEO Acoustics 2013 ロクデナシ!プラグナシ!>2013年10月20日@神奈川県民ホール 大ホール)だったんです。そこからどんどん沼に落ちていった、GRANRODEO沼に。

KISHOW:それは良い意味の沼(笑)?

Narukaze:もちろん!GRANRODEOにハマったという意味です。自分の中で理想の曲と歌と歌詞だったんです、GRANRODEOは。

KISHOW:えー! 上手になったね、褒め方が。

e-ZUKA:上手いよな、うん。

Narukaze:いやいや、僕にそういうクセはないので(笑)。Fo'xTailsはGRANRODEOとレーベルも事務所も同じってことで、面倒を見ていただける間柄になれたんです。だけど、あまりGRANRODEOを聴き過ぎるとパクりそうになって……それが怖くなって(笑)。でもそれぐらい影響を受けていたんですよ、ギタープレイもそう。

e-ZUKA:俺なんか真逆だよ。Naru君のやってたFo'xTailsをパクろうと思って聴いてたからね。だって、俺なんかは常にバカにされてると思ってるからさ(笑)。

Narukaze:えーっ、そんなわけがない。

KISHOW:そういうモチベーションの上げ方なんですよ、e-ZUKAさん流の。

e-ZUKA:だってさ、いつの時代も若い人は正しいじゃないですか。というか、若い人がやっている音楽がやっぱりメインのところにいく。だから、いつも探しているんだよね、自分の一番聴きやすいところから。それがあのときはFo'xTailsだった。


▲KISHOW(Vo)


▲ASH(Vo)

Narukaze:結成18年目ということは、世に出てないGRANRODEOの楽曲を含めたら、数百曲は作ってますよね?

e-ZUKA:世に出てない曲は作らないよ。だって作れないんだもん。

KISHOW:ごめんね。たぶん、聞きたい答えとは違うと思う(笑)。

e-ZUKA:やれと言われて作ってるんですから。

ASH:これは深い。つまり必殺仕事人ってことですよね。受けた仕事は精度を高めて完璧にこなすから、世に出ている曲数が作った曲数だという。

KISHOW:でも一時期さ、とことんNG喰らった時期もあったよね?

ASH:e-ZUKAさんでもボツを喰らうみたいなことってあるんですか?

e-ZUKA:まぁ昔は、ほぼコンペでしたから、曲が採用されるかどうかはそこで決まるわけで。曲を作るのも早かったけど、ボツもいっぱい喰らってましたよ。「GRANRODEOに作ってほしい」って直接依頼されるようになったのは、その後のことですよね。Naru君は、曲がボンボンできるタイプじゃん?

Narukaze:いやいや、そんなことないです。できなくなったら僕はGRANRODEOを聴くようにしてます。

e-ZUKA:それだと俺がFo'xTailsからパクったものを、またNaru君がパクる構図になっちゃうけど、大丈夫(笑)? 俺たちリサイクル精神? 地球に優しい先輩と後輩みたいになっちゃうけど(笑)。

Narukaze:いや、これだけの曲数を書いていて、まだまだ強い曲をガンガン作っているから、e-ZUKAさんはどうやってんだろう?って。

e-ZUKA:えーっ、例えば(笑)?

Narukaze:今回の新曲「鉄の檻」も強いですよね。


e-ZUKA:これは誰に言っても「お前なに言ってんの?」って返されると思うけど、俺、「鉄の檻」はBLACKPINKをやろうと思って作った曲なんですよ。

ASH:……ああ、そういうことか!

e-ZUKA:でも、やろうと思ってもそうならないところが俺なんですよ(笑)。ああいう人たちを見てもだいたい最初は、“どこがいいんだろう?”って思うんだよね。曲を聴いてても、ずっと平坦なメロディが続いて、やる気あんのか?って思うわけ(笑)。それに、“この子はさっきまで上手に歌っていたじゃん。だったらここからサビに持っていけばいいんじゃないの”って思うんだけど、サビにいかないでしょ。そこで、“あっ、それなんだ! こういうのが今はいいんだな”とか気づくわけです。そういうちょっとした取っ掛かりから曲を作るんですけど、結果的には、どうしても自分の得意なメロやサビにいきたくなっちゃう。

ASH:リファレンスじゃないけど、最先端の音楽からいいところを盗みつつ、ということですか?

e-ZUKA:本音を言えば、丸々同じのをやりたいんですよ、やってみたい。でも、そうならない。音からして全てが。だって、ASH DA HEROのアルバム『Genesis』もNaru君にもらって聴いてたけど、俺、頑張ってもああいう音にならないもん。なにが違うのかというと。たぶん運が悪いんだと思う(笑)。

KISHOW:運が悪いって、どういうことだ(笑)!?

e-ZUKA:同じ機材を使っても、俺だけああいう音にならないんだね。これは運が悪いって。だって俺だけなんだよ(笑)。

Narukaze:いやいや、逆もまた然りですよ。


e-ZUKA:ははは。だからこそ工夫して自分で作り上げるしかない。例えば、よく聴く効果音を俺も使いたいと思ったところで、見つけられないんだよね。だったら自分で作るしかない。さすがに今は、splice(膨大なサンプル素材数を誇るサブスクリプション)を知って、“みんな、こんな便利なものを使っていたのか!?”って知ってるけど。昔は口で作ってたから。“フゥ〜!”とかマイクに向かって息を録音して、そこにエフェクターを掛けて、何度も書き出したりして、その音をリバースさせたり。たった数秒の効果音を作るのに2時間ぐらい掛けてた(笑)。完全に昭和の感じだよね、やり方が。

ASH:僕らもわりとそういうことをやりますよ。

Narukaze:けっこうDIYですから。

ASH:もちろんspliceを使うこともあるんですけど、近いものはあっても、頭の中で鳴っているズバリの音がなかったりするので。世の中にはプラグインを含めていろんなサンプルが溢れているけど、実際に頭の中で鳴っている音と完全一致するものって、今でもなかなかない気がしてます。

e-ZUKA:うん。自分のイメージありきだからね、そういう音って。

ASH:だから制作中、俺がNaru君にデモを送ると、Naru君がそれをさらに加工してくれたり。

e-ZUKA:いいね〜、その二人のやり取り。俺は自己完結型なんで、一人でやるしかなくて。

KISHOW:GRANRODEOは完全分業制だからね。

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