『ペルリンプスと秘密の森』、宮沢和史からコメント到着&ミルトン・ナシメント楽曲採用の理由

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前作『父を探して』(2016)が、アカデミー賞⻑編アニメーション賞に南米の⻑編アニメ作品として初ノミネートされ、彗星のごとく現れた気鋭のブラジル人監督アレ・アブレウ。

◆『ペルリンプスと秘密の森』 関連映像&画像


『オオカミの家』の大ヒットも記憶に新しい、アニメーションの新潮流として注目される“イベロアメリカ”(※欧州及び中南米のスペイン語・ポルトガル語圏諸国から構成される地域のこと)の、最も重要な作家のひとりとされるアブレウ監督の最新作『ペルリンプスと秘密の森』が12月1日に公開される。

この度、シンガーソングライターの宮沢和史から本作へのコメントが到着。併せて「もしかしたら映像より重要かもしれない」と語るアブレウ監督の“音楽”への信頼を連ねたインタビューテキストを解禁する。

宮沢和史は「僕らの心の隅に一縷の“無垢”が残されているならば ペルリンプスは必ず現れる この世界が津波に飲み込まれようと 嵐に吹き飛ばされようと 彼は必ず現れる・・・」とコメント、本作への想いを寄せる。



続いて解禁されるのは、アブレウ監督の“音楽”への信頼を連ねたコメントだ。折りに触れ、自身の作品における“音楽”の重要性を伝えてきた彼が、本作で音楽担当に抜擢したのは、監督の幼なじみで「同じ学校で勉強していた」と言うアンドレ・ホソイ。前作『父をさがして』ではブラジルのパーカッショングループやラッパーのEMICI DAなど、浮遊感とポップ感が絶妙にリズミカルに構成された音楽が特徴的だったが、本作ではホソイが率いるボディパーカッショングループ“バルバトゥッキス”が、監督とともに書き下ろした主題歌「Daqui prá lá, de lá prá cá(praNaná)」[From here to there, from there to here(forNaná)]を担当。中国、ベネズエラ、コロンビアの楽器を使い、多様な音色で音でもカラフルで異なる要素が融合した強さを表現した。カエターノ・ヴェローゾやジルベルト・ジルと並ぶムジカ・ポプラール・ブラジレイラの代表的ソングライター、ミルトン・ナシメントの「Bola de Meia, Bola de Gude」のインストルメント曲も映画の中核をなし心地よい没入感へと観客を誘う。

本作にホソイが参加したきっかけは「ある日、アンドレがSNSに投稿した曲の一部を聴いて、これは『ペルリンプスと秘密の森』にピッタリと思ったんです」と抜擢の理由を明かす。そして、本作の主題歌については、あのシーンに歌が欲しかったのです。アンドレが曲を送ってきてくれるとすぐに歌詞が浮かんで、一気に書きました」と初めての共作について振り返る。



劇中の後半に“ブラジルの声”の異名を持つナシメントの楽曲を起用したことにも言及。「ブラジルでは、彼の音楽は丸々一世代の人々に影響を与えました」「私にとって敬愛する憧れの人」だとアブレウ監督は言い、「“秘密の森”に潜入している“ペルリンプス”によって作曲されたかのように、ファンタジーの世界と何らかの繋がりを持っていなければなりません。歌詞の中でペルリンプスの意味を歌っているナシメントの『Bola de Meia, Bola de Gude ボーラ・ヂ・メイア、ボーラ・ヂ・グーヂ(手毬にビー玉)』は、そういった意味で、完璧なのです」と言い、そして「私はサントラ制作のプロセスがとても好きで、積極的に参加します。音楽が最後の段階になって作られるのではなく、映画の隅々まで統一されているのは大事なことだと思います」「音楽は、映画の理解をより深めてくれるし、発見もあります」と述べている。

ひとりの少年の目を通して描く南米大陸の歴史と冒険の物語である前作『父を探して』はダイアローグのない作品だったが、本作では主人公が2人になったことで対話が生まれ、セリフが生まれた。異なる者同士が同じ目的のために違いを超えて手を組むとき、個人の才能を超えた大きな力が生まれ、仲間がいることへの安心感や幸せは、より良い未来のための一歩を踏み出すエネルギーとなっていく。そしてアマゾンの保全が大きな課題であり責任でもあると感じているブラジル人監督の目には、やりきれない現実が映っているが、同時に「子どもの澄んだ目で見つめると光のような希望が見えてくる」と語っている。



■宮沢和史(シンガーソングライター) コメント

なぜ赤子は美しいのか? それは”無垢”であるから・・・
まだ何も見聞きをしていないから・・・
この世界はとっくに”無垢”であることを放棄してしまった
この血塗られた歴史はもはや誰にも書き換えられない
だが僕らの心の隅に 一縷の”無垢”が残されているならば ペルリンプスは必ず現れる
この世界が津波に飲み込まれようと 嵐に吹き飛ばされようと
彼は必ず現れる・・・


『ペルリンプスと秘密の森』

2023年12月1日(金)YEBISUGARDENCINEMAほかロードショー
脚本・編集・監督:アレ・アブレウ(『父を探して』)
音楽:アンドレ・ホソイ/オ・グリーヴォ
2022年 ブラジル /原題:Perlimps/スコープサイズ/80分/日本語字幕 星加久実 後援:駐日ブラジル大使館 配給:チャイルド・フィルム/ニューディア―
(C) Buriti Filmes, 2022

◆『ペルリンプスと秘密の森』 オフィシャルサイト
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