Chris Cornell 現在の心境を語る

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chris cornell 現在の心境を語る!
 

chris cornellは、最近リリースしたデビュー・ソロアルバム『euphoria morning』の2週間のプロモーションツアーを終えて、シアトルの我が家に戻った。初めてのソロツアーの興奮を持ち前の落ち着いた様子で語ってくれた。
「初日のボストンの夜は、神経の拷問を受けているような感じだった。でも反応はすごくよかったよ」
hendrix以来、北米太平洋岸北西地区のロックの歴史に輝いたグループの一つであるsoundgardenのリーダーとして12年間活動したソングライターだ。

「ステージに立ち、それまでほとんど誰も聴いたことがない曲を始める。それと同時に、今までにやったことのないことに対する観客の反応を見ることができる。みんなはどう感じてるのだろうか。これで売れるのだろうかってね。でも、すごくよかった。望んだとおりのものだったし、うまくいくと思っていた。でも、やってみるまでわからないものだよ」

cornellのニューアルバムに対する観客の反応は上々だった。特にコンサートではsoundgardenの曲は『superunknown』の地味な曲“likesuicide”1曲しか演奏していなかった。「素直に言えば、居心地が悪くて、気が変になりそうなくらいだった」と、やせて背の高いcornellは、前にいたバンドの曲をソロのライブで演奏することについて語った。
「soundgardenは生楽器のライブはやったことがないんだ。本当に名案だと感じない限り、自分たちの音楽を他の方法でやったことはない。その点では、今回も同じだ。これはsoundgardenのコンサートじゃない。soundgardenの曲をやる理由なんてないだろう? やる気もないし不可能だ。ある意味で失礼になるだろう」

cornellは、彼と彼のいたバンドが12年間に行ったことで、多大の尊敬を集めている。「初期、中期、後期と完成されていった。本当に誇りに思っている」
soundgardenは、'90年代のメインストリームに「オルタナティブ」を持ち込んだ文化的変革者と言われることが多いが、当時瀕死の状態だったハードロック・シーンに知性、改革、感情を持ち込んだことでも、もっと評価されるべきである。これは、『euphoriamorning』を活気づけている感受性、実験、配慮の組み合わせと同じで、ブルース、r&b、さらにはゴスペルまでも含まれている。その一方で、cornellの独自のスタイルとボーカルも着実に軌道に乗っている。

「少しうんざりしたこともあった」と、アルバムの多様性についてcornellは語る。
「自分で書いた曲のデモがいくつかあったんだ。“moonchild”や“preachingthe end of the world”がね。“こんな曲は世の中にあふれている”と思ったわけさ。レコードに収録するなんてことは考えられなかった。そんなときに、他の曲とのバランスをとれるような新しい曲が浮かんできた……説明するのが難しいんだけどね。人に説明するのが難しいんだ。個々の曲について話すことはできても、“どんな感じ?”と聞かれると、答えるのはとても難しい」

いずれにしても、cornellの初期の作品の熱心な信奉者は、彼のソロアルバムの内省的で多様な内容にそんなにショックを受ける必要はない。このソロアルバムはelevenのalainjohannesとキーボード奏者のnatasha shneiderのホームスタジオでレコーディングされた。2人は今回のアルバムで演奏に参加し、曲も書いている。“sweeteuphoria”や“wave goodbye”(cornellの友人でシンガー・ソングライターの故jeffbuckleyに捧げた曲)などの新曲は、“black hole sun”や、'91年の『badmotorfinger』に収められているより不明瞭な曲、“mindriot”に見られるようなsoundgardenの静かでメロディックな線を踏襲している。

「別のインタビューでも言ったんだが、ニューアルバムは驚くほど路線変更されていると言われる。僕が過去の束縛から逃れようとしているのではないか、売れ線をねらって意識的に別物を作っているんじゃないかとね。僕が過去にやったことを特別知らなくても、そういうことじゃないということがわかると思うんだが」

音楽のことは別にして、cornellの周囲ではいろいろな変化があった。cornellが表舞台から遠ざかっている間に、長年在籍していたレコードレーベル(soundgardenは4枚のアルバムを出した)a&mが巨大企業universalとpolygramの合併時に吸収、解体されたことだ。青天の霹靂とはこのことで、a&mの仕事納めの日に事務所に出向いて別れを告げに行くと、自分がinterscope/geffen/ a&mとかいうレーベルに所属していることを知った。

「音楽に対しても、音楽のファンに対してもよくないことだと思う」と、音楽業界の合併ごっこについてcornellは語った。
「卸売大量販売方式で商品を売っているのと同じだ。小売店方式ではなく、何でも揃っていて、思いついたことは何でも実行できて、何でも思い通りにコントロールできる。企業が大きくなればなるほど売り上げが重要視され、何か人と変わったことをすれば孤立無援の状態になる。昔から、音楽で最も重要なことは、人と変わったことをやることなんだ。だから、今回のことにはとても気が滅入っている」

「いいかもしれないと言えることは、売り上げが重視されすぎているために、何か新しいアンダーグラウンド・シーンが現れそうな気がしている。'80年代初期の頃のようにね」

いずれにしても、interscope複合企業からサポートを受けられることには喜んでいるとcornellは言っている。11月に始まるアメリカツアーも楽しみにしているそうだ。cornellにとって、新しい可能性がさらに開けているようでもある。9年前に結婚した奥さんのsusansilverがマネージメントの仕事を辞めたのを機に子供を作る予定でいるらしい(susansilverはsoundgardenとalice in chainsのマネージメントを行っていた。現在、cornellのマネージメントは、offspringとnodoubtのマネージメントをしているjim guerinotが行っている)。

どんな父親になりそうですかという質問に、cornellは笑って答える。
「革のベルトとヘアークリームでバッチリ決め、ビールばっかり飲んでいるような親父かもね。(実際は)アウトドア派かな。外に出て自然を満喫する。ソファに座って、赤ん坊はテーブルに頭をぶつけながらハイハイなんてのはゴメンだね。何でも率先してやりたいね」

将来、その子供に、大リーグのseattle marinersとレコード会社から同時に引き合いが来たとき、父親としてのアドバイスを求められたらどうしますか?
「難しい質問だね。答える前に、子供の野球センスを確かめる必要があるね。センスがなければ、“君は野球はあまりうまくないな。3aに1週間がいいところだろう。だからレコード会社の方を勧める。自分のやりたい放題だぞ!”とでも言うかな」

 by don_kaye
 
 

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