3rdアルバムでメインストリームを狙う4人組の本気度

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3rdアルバムでメインストリームを狙う4人組の本気度

 

俺、21歳だけどカネには困ってない。俺たち、ちゃんと考えて、腕利きの会計士を雇ってるんだ。それに資金提供者もいるしね」と言うのは112のSlim(別名Marvin E. Scandrick III)。ジャンルを超えた成功には至ってないものの、厳しい音楽業界の荒波を乗り越えて、3rdアルバムまでこぎつけたバンドの背景についての話だ。

今回、その名も『Part III』というニューアルバムのリリースで、112にもやっと大きな成功がやってくるかもしれない。そうなればメンバーのMichael (Marcel) Keithは、グループをMTVの『Total Request Live』で一躍有名にさせるに違いない。

このアルバムは今までより一般受けするはずさ」とKeith。「俺たち、もっと幅を広げたいんだよ。アーバングループから外れない範囲で、できるだけのことをやってみた。'N SyncやBackstreet BoysChristina Aguileraの線をねらってるんだ

夢を大きく持つのはいいことだ。だが、それもハイクオリティな音楽があっての話。幸い『Part III』はソリッドな仕上がりで、ソングライティングもプロデュースもすべて112自身でこなしている。それでいて、あのヒップホップ/R&Bサウンドとシルキーなハーモニーに一点の曇りもない。彼らの見事なサウンドとハーモニーこそ、初期の曲“Only You”と“Anywhere”がヒットした要因なのだ(それぞれ'96年の『112』と'98年の『Room 112』に収録)。

Keithをはじめ112のメンバーは、メインストリームになりたいと言ってはばからない。アトランタでヴォーカルに磨きをかけた、ゴスペルタッチのR&Bシンガーである彼らは、3枚目のアルバムまで生き延びたこと自体、この生存率の極めて低い音楽業界では珍しいことなのだと知っている。だからこそ、今後も続けたいなら、R&Bリスナーだけに依存しないで、他のジャンルのファンを獲得していかなければならないのだ。

アーバンマーケットについてKeithはこう話す。「気まぐれだからね。レコードが出てるうちが花ってこと。でも、ロックやオルタナティヴのファンはもっと忠誠心がある。Rolling Stonesなんか60歳のファンもいるし、今だってアリーナを満席にできるじゃないか。それに比べてR&Bはかよわいもんさ

112はPuff Daddyから生き残るためのアドバイスを得たという。「だいたいレコードレーベルってのは自分たちのことばかり考えていて、アーティストに本当に必要なことを教えてくれない。一番良いアドバイスをくれたのはPuffyさ。112をグループとしてまとめていく方法や、自分たちで会社やマーチャンダイジングを運営していく方法を教えてもらったよ」とKeithは感謝する。

今のところ、メンバーにとって最優先事項は112のことであり、恋も含め、他のことは何もかも後回しだ。「まだまだしばらくはフル回転だよ」とKeith。「これまでアーバンでやってきて、やっとメインストリームに手が届きそうなんだ。今が正念場さ。落ち着く暇もないし、その気もないよ」。この心構えは『Part III』に入っている曲“Player”によく表れている。「つまりこう言ってるんだ。『俺は落ち着く気にはなれないプレイヤー。でも、その時が来たらすぐ君に電話する』。女の子だって口先だけの約束でじらされるより、本当のことを言う男のほうに一目置いてくれるんじゃないかな

112の他の新曲は恋愛を歌ったもので、お互いの信頼感をテーマにしている。「シングルの“It's Over Now”は、心から愛する相手を見つけて落ち着いてもいいと思うんだけど、ツアーに出ると彼女が浮気してしまうってストーリーなんだ。俺たち4人とも、みんな経験があるよ」とKeithは認める。

『Part III』のレコーディングには、これまでのニューヨークやアトランタではなく、カントリーの本場ナッシュヴィルを選んだ。Keithは「レーベルや家族、友人、マネジャー、ガールフレンドなどから離れて、グループだけに集中してクリエイティヴにやりたかったんだ」と、自分たちのやる気と覚悟のほどをもう一度強調する。「コンドミニアムを借りて、真剣にレコーディングをやった。しっかりと考えをまとめ、アルバムの方向性を決めるには、ちょうど良かったよ。ナッシュヴィルは15年か20年前のアトランタみたいで、すごくレイドバックした静かなところなんだ。だから俺たちにはぴったりだった

このインタヴューで喋ったのはほとんどがKeithであり、彼が112を代表するセールスマンであることは間違いない。自分のことをグループのSamuel Jacksonでありたいと言う。「すごく多才でどんな役でもこなせる人だからね」。他のメンバーのことも映画にたとえて紹介。「Daronはミステリアスな影といった感じ。でも天才で、何でも自分で管理できるやつ。Q(別名Quinnes Daymond Parker)は女たらし、というか、セックスの神様Rudolph Valentinoだね。セックスマシーンで、ツアーではこっちが見張ってないといけないタイプ。Slimは反対に、陽気なやつさ。あのにぎやかな性格はJim Carreyだね

チャート入りを目指す男性ヴォーカルグループは他にも多いが、彼らと違う点は? と訊いてみた。するとたちまち、Keithの売り込み上手なキャラクターが顔を出す。ではその自信満々の答えとはなんだろう。「他の誰よりもうまいからさ! 俺たちは何でもできる。曲作りもできるし、歌もダンスもできる。なんたってオールスターキャストだからね。有名なプロデューサーに頼り切る必要もない。才能が全部揃ってるってわけ」。

まさしくセールスマンである。

 

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