帰ってきたKings of Rockの無駄のないステージ

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帰ってきたKings of Rockの無駄のないステージ
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RUN-DMCのショウでは決して興ざめする場面などないのだ

最新ALBUM

CROWN ROYAL
BMG International BVCA-21079
2,548(tax in)

2001年2月26日発売

1 IT'S OVER feat.Jermaine Dupri
2 QUEENS DAY feat.Nas & Prodigy of Mobb Deep
3 CROWN ROYAL
4 THEM GIRLS feat.Fred Durest
5 THE SCHOOL OF OLD feat. Kid Rock
6 TAKE THE MONEY AND RUN feat.Everlast
7 ROCK SHOW feat.Stephan Jenkins of
  Third Eye Blind
8 HERE WE GO 2001 feat.Sugar Ray
9 AHHH feat. Chiris Davis
10 LET'S STAY TOGETHER
  (TOGETHER FOREVER) feat.Jagged Edge
11 AY PAPI feat.Fat Joe
12 SIMMONS INCORPORATED feat.Method Man


Run、DMC、Jam Master Jayのオールドスクール3人組が5月10日、ロサンゼルスのHouse Of Bluesに帰ってきた。それも申し分なしのコンディションで。長い間待たれていた新作『Crown Royal』のプロモーションでやってきた彼らだが、作品のクオリティの高さはわかっていながらも、ファンが聴きたがっていたのはやはり古いおなじみの曲の数々だ。もちろん、RUN-DMCがそんなファンを裏切るわけがない。約1時間のステージの間、新曲は数曲のみで、あとは“Walk This Way”“King Of Rock”などのヒット曲を中心に“Mary Mary”“It's Like That”“Peter Piper”をまとめたメドレーなどを披露した。

RUN-DMCの連中は曲名さながらのKings of Rock(ロックの王者たち)であるだけでなく、観客を盛り上げる王者でもある。ラップのライヴでは、曲を途中で止めて、MCが観客を煽ってステージに向かって叫ばせたりするとき、ついわざとらしくなって突然シラけたりしがちだ。しかし、この日のショウではそんな興ざめな場面は一切なかった。というより、RUN-DMCのショウでは決してそんなことはないのだ。Jam Master Jayのベストタイミングのカットに誘導され、House Of Bluesでのブレイクはまさに狙い通りの効果を生み出した。観客は(取り残されてしまうどころか)一層ボルテージを上げた。

おなじみのヒット曲の数々を上回る面白さだったのが、さまざまな意表をつく瞬間だった。Runが真新しいフリースタイルのアカペラを披露して、鋭いセンスの健在ぶりを証明したことや、RunのビートボクシングにあわせたDMCの突然のラップなどだ。そして、なんとも奇妙で手の込んだ、10分ほどのブレイクがあった。そのときはRunが、“コミック本みたいな”コレクターズ・アイテムだと言いながらDMCのTシャツを観客の中に投げ込んでいた。

ショウのラストは、お決まりのRunによるターンテーブル・セッションだ。ディスコ・サウンドの名曲“Got To Be Real”をクールなミックスで聴かせた後、レコードをそのままプレイさせて、それをBGMにメンバーはステージから姿を消した。60分にも満たないほどのショウだった。客がもっと観たいと思うところで止めるのが一番だと、RUN-DMCは知っているのだ。

By Steven Benaquist/LAUNCH.com

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