ライヴでファンベースを広げるブレイク・ビーツ・ユニット

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ライヴでファンベースを広げるブレイク・ビーツ・ユニット
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「Scott WeilandとTom Morelloに関しては本当にうまくやってくれたと思う」

最新 Album

Tweekend』 (輸入盤)
Out Post
2001年7月31日発売

1 PHD
2 Wild, Sweet And Cool
3 Roll It Up
4 Murder
5 Name Of The Game
6 The Winner
7 Ready For Action
8 Ten Miles Back
9 Over The Line
10 Blowout
11 Tough Guy

The Crystal Methodは、最初のフルアルバムである'97年の『Vegas』から最新作『Tweekend』のリリースまで、ほとんどの時間をツアーに費やしてきた。DJ的なバックグラウンドから登場した多くのエレクトロニック系アーティストと違い、Methodの強みはライヴパフォーマンスにある。実際この2人組は'94年にファーストシングル「Now Is The Time」をリリースして以来、ライヴでのギグ活動に明け暮れてきた。最初はレイヴで、しかも出してくれるところならほとんどどこでもという具合に、世界中を回ることで評判とファンベースを獲得してきたKen JordanとScott Kirkland。彼らは、根っからのライヴアクトになるという自分達たちの決断のインパクトを身をもって経験してきたのである。

『Vegas』を80万枚(現在も更新中)も売上げたCrystal Methodは、『Tweekend』を引っ提げてシーンに戻ろうとしている。だが、エレクトロニック・ミュージックを取り巻く環境は、この4年間で大きく様変わりした。'97年にはChemical BrothersFatboy Slimといった顔の見えるブレイクビーツがマーケティング担当者の間で猛威を奮ったのだ。現在ではそのトーチは、Paul OakenfoldやSashaといった主にトランスをプレイするDJたちにリレーされている。JordanとKirklandは常にDJとの差異化を意識してきたが、これら2つのタイプの音楽的成果を両方とも祝福する余地があると感じている。彼らはTaylorという名のDJをツアーに同行させ、彼をフィーチャーしたコーナーを作り、しかもステージで彼を照らすために自前のライティングを使わせることで、自分たちの信念を確固たるものとしたのだった。

音楽に熱中している人たちと話して、お気に入りのアーティストは誰かと訊いても、彼らはアーティストの名前じゃなくてDJの名前を挙げるんだ。好きな曲のタイトルを聞いたら、知らないというのさ」。トランスDJとDJファンの現象について話しているとき、Jordanはそうつぶやいた。「僕たちは最初からその種の音楽を作ってこなかった。環境はそんなに変わっていないよ。アメリカでもDJは少しはポピュラーな存在になったけど、僕らは僕らのことをやるだけだし、彼らは彼らの仕事をするだけなのさ

『Tweekend』にフィーチャーされたゲストコラボレーターの数は『Vegas』に参加したゲストよりも2人多いだけだが、こうしたコラボレーションの重要性はより大きくなっており、今回は注目度も高くなっている。Stone Temple PilotsのScott Weiland、Rage Against The MachineのTom Morello、BeckのDJ Swamp、Jon Brion(Macy GrayFiona Appleのプロデューサー)、そしてStyles Of BeyondのRyuなどが、『Tweekend』には勢揃いしているのだ。

こうした新しい要素の導入にもかかわらず、『Tweekend』のサウンドは本質的には我々がよく知っているCrystal Methodに変わりはない。つまりファンクに満ちたブレイクビーツ、アグレッシヴなキーボードワーク、そして画期的なエレクトロ・スタイルである。アルバム中で最も印象的かつ成功しているトラックにまったくヴォーカルが入っておらず、馴染みやすいフックとキャッチーなヴォーカルサンプルをフィーチャーしたものばかりだという点を考えれば、リスナーに音楽を楽しんでもらうために有名人を迎え、自分たちのマテリアルを歌ってもらう必要など、彼らにはないことは明白だ。ゲストの登用について“彼らは僕たちに借金があるんだ”と冗談めかしてクレジットしているJordanとKirklandだが、『Tweekend』にゲストをリクルートするつもりはまったくなく、すべては偶然の出来事だったという。

もしも『Vegas』に取り組んでいるときにTom Morelloがやってきて、“ヘイ、君たちのトラックが気に入ったよ”と言ってくれたら、僕らはイエスと答えていただろう」とJordanは説明する。

そのころの僕らにそんなチャンスなど巡ってくるはずもなかったよ。今回のアルバムでも有名人とのコラボレーションを試みるつもりはなくて、その手のことは避けようとしていたんだ。興味を持ってくれるかどうか事前にはっきりと分からない人たちを追いかけたり、アプローチしたりするのは本当におっくうなんだよ。彼らのほうからやってきてくれたというほどのことでもないんだけど、この2人(Scott WeilandとTom Morello)に関しては本当にうまくやってくれたと思う。これをやらなかったとしたら、僕らは大バカ野郎だったよね

そして、この結果を気に入らないエレクトロニックミュージックのファンがいたとしたら、その彼らも大バカ野郎だろう。

By Lily Moayeri/LAUNCH.com

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