デーモン『The Good, The Bad & The Queen』の曲を語る

デーモン・アルバーンとポール・シムノン、サイモン・トングらが、新プロジェクトのデビュー・アルバム『The Good, The Bad & The Queen』の収録トラックについて語った。彼らは『The Sun』紙のインタヴューで、こう曲を解説している。

●「History Song」
シムノン「デーモンと俺で長いこと本の貸し借りをしてたんだけど、そのときマーブル・アーチ（昔の処刑場）についての本を読んだんだ。そこから生まれた曲だよ」
アルバーン「誰か（犯罪者）の首を吊ってる最中、“Hangers on（絞首刑執行中）”って告知が出るんだ。絞首台の下には人がいて（首を吊られている人の）足を引っ張ってたんだよ。そうすれば早く死なせることができるからね。死を長引かせることを避けてたんだ。この曲は絞首刑にあう人をイメージしたもの。マーブル・アーチが舞台だけど、いろんな状況に当てはまる」

●「80s Life」
トング「ドゥーワップのフィーリングを持った曲だ。最初は全く違った曲調だったんだけど、いろんなものを省いていったんだ」

●「Northern Whale」
アルバーン「何年か前、僕のパートナーのスージーがヒョウアザラシとダイビングするために南極へ行ったんだ。ダイビングや寒いのが嫌いな人間にとっては、この上なく最悪なアイディアだよね。彼女がそこでどんな困難に出会おうとも、クジラが助けに来てくれるって歌ってるんだ。ある種のラヴ・ソングだな」

●「Kingdom Of Doom」
トング「初期のピンク・フロイドのエッセンスがある。それにエコー＆ザ・バニーメン風でもある。60sのフィーリングだ。エコーがかかってて、感情的だ」
アルバーン「キング・オヴ・ドゥームっていうのはUKのことだ。僕たちは、政府に決定権を与えた。僕たちはそれがすぐに間違ってたってわかったけど、阻止しなかったんだ」

●「Herculean」
シムノン「死んで天国へ向かう人たちに向けた陽気な曲……、うそ、この曲は気に入ってる。歌詞には、ガス工場、運河といった僕らの住むウエスト・ロンドンの名所を盛り込んでる」

●「Behind The Sun」
アルバーン「閑散としたビルの中を風が吹き抜けていくようなサウンドだろ。でも僕にとってはポップ・ソングなんだ。僕の人生を変えた「The Casbah」（ザ・クラッシュ）と「Ghost Town」（ザ・スペシャルズ）の２曲を織り交ぜてる」

●「Bunting Song」
アルバーン「旗を作ってる友達がいるんだ。前はロンドンに住んでたんだけど、いまはサセックス州の大きな森の横に住んでる。それで真夜中に森の中で光がさして、旗がひらめき始めるってイメージが浮かんだんだよ。ちょっと怖い曲だよね」

●「Nature Springs」
アルバーン「残念なことに、僕たちは本来のアイデンティティを失い、代わりにアメリカと似たようなアイデンティティを持ちつある。もともと僕らのものとは全く違うものだから、それを受け入れるのに苦労してる」

●「A Soldier's Tale」
アルバーン「ただ僕が、自分の思うことを歌ってるだけ。この国が戦争に手を貸してるとき、僕の作る曲は全てそのことについて触れてきた。戦争は大嫌いだから、何度も口にすべきだって思ってる」

●「Three Changes」
トング「全く別の３種類のやり方で作ったんだ。それをデンジャー・マウスがつなぎ合わせ１つの曲にした」

●「Greenfields」
アルバーン「何年も前、アレックス（・ジェームス／ブラーのベーシスト）とマリアンヌ・フェイスフルと一緒に飲んでたとき、スタジオへ行ってこの曲のデモを作ったんだ。次の日、全く覚えてなかったけどね。それを彼女は僕ぬきでレコーディングしたんだよ。ちょっとムカついたな。でも僕は酔っ払ってて、彼女にあげるって言ったらしいから仕方ないんだけど。このアルバムを作ってるとき、みんなにそのときのデモを聞かせて、もう一度ちゃんと作ってみようってことになったんだ。で、“よし、それなら、この曲は１度は失ったけど戻ってきたってことも説明してやろう”って思ったんだ。だから曲についての曲だよ」

●「The Good, The Bad & The Queen」
シムノン「この曲は笑っちゃうよ。ボードビルのステージに立ってるようなビクトリア時代風のイントロで始まり、ニューヨーク・ドールズみたいなパンク調で終わる」

『The Good, The Bad & The Queen』は今週月曜日（１月22日）に英国でリリースされた。彼らは今週末（27日）からUKクラブ・ツアーをスタートする。

Ako Suzuki, London