いろんな音を自然に組み合わせて、かっこよければ曲になる

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いろんな音を自然に組み合わせて、かっこよければ曲になる

素朴なメロディに豪快且つ壮大なギター音をぶつけて独自のサウンドを作り出すMOGWAI

しかし新作『Rock Action』は、がむしゃらというよりは自らの音楽性を研ぎ澄ますアプローチを見せてきた。
そんな彼らの近況を探るべく、今回はあまりインタビューに登場しないベース担当のドミニクとギター担当のジョンに直撃。
新作についての話はもちろん、エレクトロ・ミュージックがどんどんと浸透していく中で、それを平然と受け入れる彼らギター・バンドの在り方について話しを訊いた。

“楽しんでバンドをやっている”そんな自然で当たりまえの姿が、他のバンドにはない新たな音を生み出すエネルギーとなっていることを実感したインタビューとなった。

バンドって言うのはそもそも楽しんでやるものだと思う

最新アルバム

「Rock Action」

Toys Factory TFCK-87244
4月4日発売 2,345(tax in)

1 Sine Wave
2 Take Me Somewhere Nice
3 0 I SLEEP
4 Dial: Revenge
5 You Don't Know Jesus
6 Robot Chant
7 2 Rights Makes 1 Wrong
8 Secret Pint
9 Untitled
10 Close Encounters





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MOGWAIライヴ・レビューはこちら
――前作から新作『Rock Action』が完成するまでちょうど2年が経ちました。その間、どういった活動をしていたのですか?

John:
主にツアーにでていたなぁ。あとはニューアルバムの制作のために早くからスタジオに入っていたよ。

――今までとは違う作品に仕上がったと思うですが…。

Dominic:
自分達としては同じことをしているつもりなんだけど、作品が完成するまでどういうものになるか自分達自身もわからないし、作った後に人に聴かせて「こういう作品だね」って言われてようやく気づくんだ。でも今回はハードにロックするものを作るつもりだった。

――今作は8曲で時間も30分程度とタイトにまとめられ、短い曲と長い曲との組み合わせで作られています。ストーリー展開などそこになにか意図はあったのですか?

John:
いやないよ。 1曲、1曲その場で作っていったからね。作った曲の順番もバラバラだし…。ただやっぱり、今回は意識的に“この曲はこの長さがいい”とかどんどん余分なものを削るように作ったかなぁ。

――ヴォーカルに元Tortoiseのメンバー、デイヴィッド・パホ(PAPA M)やSuper Furry Animalsのフロントマン、グリフ・ライスが参加しています。今までインストゥルメンタル・ミュージックにこだわっていたMOGWAIが4曲もヴォーカルを入れたのはどうしてですか?

Dominic:
メインに歌っているのはメンバーのスチュワートだよ。パホやグリフはバックコーラスで参加してもらっている。今までだってスチュワートやバリーも歌っていた。


▲終止冷静なギターのJohn。Dominicが席を立った隙に好きなエフェクターの種類を訊ねると「いろんなディストーションやディレイのペダルが好き。特に好きなブランドがエレクトロハーモニクスのシンセ系のペダル。音を変えてくれるからおもしろいよ。嫌いなのはコーラスのペダル」 とのお答え。
John:
今回は曲を作っていくうちに、“これはヴォーカルを入れた方がいい曲になる”って思った。必要性を感じて入れたんだよ。

――2曲目「Take Me Somewhere Nice」はきれいな旋律のヴォー カルとストリングスがメインな曲ですが、そこにうっすらとノイズをのせているところが “MOGWAIらしさ”ですよね。

John:
あの曲はストリングスが主体になっているから、あまりノイズがうるさすぎるとせっかくのストリングスが聴こえなくなる。だから抑えておいたんだ。今まではノイズを大々的にフィーチャーしてきたけれども、そこらへんを違う手法で表現したかった。

――全体的に轟音ギターが控えめですが、物足りなさはないですか?

John:
いやないよ。 もちろんノイズを演奏するのはすごく楽しい。特にライヴではね。 でもライヴでやることが必ずしもレコードでうまくいくとは限らない。僕らはレコードとライヴは別ものと捉えているから、それぞれに合った形式で演奏しているんだ。 あと、今までリリースしたレコードでの轟音ギター・ノイズは、音のテクスチャーだとか音質を気にしてなかった。今まではそれでもよかったんだけど、また繰り返したら前の焼き直しみたいになるから、音質の部分を考えて控えめな要素を取り入れたんだ。
――7曲目「2 Rights Makes 1 Wrong」はゲストとしてバンド、HOODの元メンバーから成るエレクトロ・ユニット、Remote Viewerが参加しています。以前から交流はあったのですか?

Dominic:
どこかで僕らがライヴをやったとき、たまたま同じビルでRemote Viewerがライヴをしていて、それ以来の友達だ。彼らのレコードもすごく好きだった。 それに僕らは打ち込みの機材をもってるんだけどあまり得意じゃないから、Remote Viewerに任した方がいいってことになって頼んだんだよ。

John:
彼らの制作方法はすごくユニークなんだ。サンプラーとかいろいろマシーンを使っているんだけど、通常のサンプリングとは違う。とにかく何か音を機材に入れて打ち込んで、そこからなぜかすばらしいリズムや音が作り出せるところが、すごく気に入っている。

▲もしかしたらリーダーのStuartよりも やんちゃそうなベースのDominic。 打ち込み系アーティストをよく知っていた。以前、リミックスにも参加したアーテイストThird Eye Foundationについて訊ねると「すごくいいアーティストだ。だけどイギリスではあまり評価されていないのが本当に残念だ。彼の新譜もすごくいいよ。 」とのこと。
――そうですね。Remote Viewerも温かみのある曲を作りますよね。ただ、日本ではレコードが手に入りにくくて…。

Dominic:
イギリスでも手に入りにくいんだよ。最近、イギリスのマンチェスターで彼らとライヴをやったんだ。その時にRemote Viewerのメンバーのひとりがすごく酔っ払ってしまってね。オーデエンスに怒鳴り散らしたり、ターンテーブルでスクラッチしても針が跳んでノイズをだしたりとか、ドラムセットを全部壊したりしていて、大変だったけどすごくおもしろかった(笑)。

――あのサウンドからは想像つきませんね。でも改めてRemote Viewerや彼らが在籍していたバンドHOODはあなた達と比較して、作り出す音は違うとしても、同じスタンスを感じるのですが…。

Dominic:
僕たちはいろんなバンドと比較される。会ってみるとその大半のバンドがすごくシリアスな人達だ。 もちろん僕らも音楽をシリアスに受け止めているけど、バンドっていうのはそもそも楽しむためにやるものだと思う。彼らと話したとき、とても楽しんでバンドをやっている感じが伝わってきて、そこらへんが合っているのかもしれないね

――Remote Viewer参加の曲をはじめ、エレクトロ音が導入されています。Radioheadもそういうアプローチをしてきましたが、イギリス全体でギター・バンドがそういう流れに傾いてきていると思いますか?

John:
確かにそういうバンドは増えていると思う。例えばSuper Furry Animalsとかもエレクトロを導入しているし、うまくやるとすごくかっこいいサウンドになる。 だけどRadioheadはコンセプトの側面が強すぎる。 たぶん曲を作る前からどういうものにするか決めているんじゃないかなあ。僕はRadioheadよりSuper Furry Animalsのやり方のほうが好きだね。

――アルバムをつくりながらコンセプトを固めていく?

John:
「この曲はこれについて」っていうような決まったコンセプトは全くないよ。あんまり気にしていない。 いろんな音を自然に組み合わせていって、かっこよければ曲になるんだ。決まった曲作りのプロセスはない。リハーサルのときに誰かがひとつのフレーズだとかアイデアをもってきて、それをみんなに聴かせて、合わせたフレーズをみんなで弾いてみて、2週間後また演奏したときに改めてかっこいいと思ったら使うし、ダメだったら使わない。

Dominic:
みんなで話し合って、「さあこういう曲にしよう」ってことは全くないし、誰かアイデア持ち込んだ人が、他のメンバーに「こういうふうに演奏して」って指示するようなこともない。もしそんなこと言ったら大変なことになるよ。

――でも5人もメンバーがいるから、時には意見が割れたりするでしょう?

Dominic:
時間の無駄だからあんまり口論とかはしない。民主的に決めてるんだ。“3人よければ採用”みたいに、5人いるから票が割れることはないよ。

――やっぱりお2人はギターバンドが好きなんですか?


John:
スチュアートもそうだけど僕らは最近、電子音楽とかも聴いているよ。 でもメインはギターバンドだ。ギターって言ってもエレクトリック、アコースティック…とかいろんな使い方があるからおもしろいし…。

――楽器のプレイヤーとして、Autechreみたいにメロディを自動発生させるようなプログラミングを組んで演奏するラップ・トップ・ミュージックをどう思いますか?

Dominic:
Autechreはすばらしいと思う。いい曲っていうのはどんな方法で作られていたとしてもいいんだよ。Ocean Colour Sceneみたいなひどいギター・バンドを聴くよりは、Autechreみたいな電子音楽を聴いたほうがよっぽどましだね。(笑)

――最近、ギター・バンドで好きなグループは?

John:
いるかなぁーーー?

Dominic:
いないよな。

John:
最近、Neil Young聴いているよ。

――ところでもうすぐライヴですね。

John:
今回はエレクトロ的要素が増えていると思う。歌を加えたっていうぐらいしかそんなに変わってないけど…。ただツアーを繰り返して時に古い曲の演奏を忘れているから(笑)、ちょっと演奏の仕方が変わっているかもな。

Dominic:
日本でライヴをするのがすごく好きなんだ。曲の中にはすごく静かな部分とかがあって、他の国でライヴをやるとオーディエンスが話し始めちゃう。でも日本は静かなパートはみんな静かに聴いてくれるから、演奏もすごく集中するし、間違えないように気をつけているよ。

John:
イギリス人も聴いてほしいよな。

Dominic:
あと他の国よりも早い時間にライヴをやるから、終わった後に飲みに行けてうれしいよ。(笑)

取材/文●イトウトモコ


about MOGWAI

現在のメンバーは5人でStuart Braithwaite(G, Key, Per)、John Cummings(G, P)、Dominic Aitchison(B, G)、Martin Bulloch(Dr)、Barry Burns(fluete, G, Key)。

'95年、グラスゴーの郊外で当時、友達であったStuart、Dominic、Martinの3人が“真摯なギター・ミュージックの創作”をめざし、バンドを結成し、その後すぐにJohnが加入。

彼らは小さなインディ・レーベルから楽曲をリリースしていき、'97年それらをまとめてコンパイルした作品『Ten Rapid』を米レーベルJetset Recordsと自身のレーベルRock Action Recordsよりリリース。
同年、ロンドンにあるロンドンズ・ガレージで行なわれたライヴでは、オーディエンスにアルコールとアラブの革ひも(アラブ・ストラップ)を配り、機材とライヴ・ハウスの破壊に参加させるというライヴを敢行。その当時、MOGWAIは一般的かつ平凡なブリティッシュ・ミュージック・シーンに絶望しており、それに共感するたくさんのオーディエンスの指示を得た。

そして地元グラスゴーのレーベルchemical undergroundと契約し、第一弾としてEP『4 サテン EP』をリリース。その後、同年10月に初のフル・アルバム『mogwai young team』(邦盤では塗りつぶされているが “富士銀行”の看板入りジャケ)をリリース。“静と動”からなる彼らの独特な響きが英国で好評を受け、英“NME”誌で年間ベスト・アルバム7位に選出される。

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'98年、レーベルEYE Qより豪華リミキサー陣により作られたリミックス・アルバム『Kicking A Dead Pig』がリリースされ、新たな角度から注目を浴びる。

また、政治的問題にもアクションを示し、グラスゴー政府が打ち出した、夜間外出禁止令に、「これは若者の犯罪率上昇に対して不条理な解決法だ」と反対。その抗議として“Fuck The Curfew(くだばれ夜間外出禁止令)”のステッカーを配るとともに、EP『No Education=No Future』をリリースした。

'99年3月、さらに新たな境地を開拓するべく、静の音=ギター・メロディや響きに重点をおいたアルバム『Come On Die Young』をリリース。世界の各音楽系メディアにより絶賛された。同年に行なわれたイギリス最大のレイヴ、グラストンベリー・フェスティバルのセカンド・ステージで大トリを務め、その存在をアピール。

日本では2000年、フジ・ロックフェスティバルの2日目にレッド・マーキーのトリを務め、大自然の中での怒涛なステージで話題を呼んだのは記憶に新しい。

MOGWAIはただのポスト・ロックやインストゥルメンタル・ミュージックにはとどまらない独自のサウンド・スケープをさらに展開していくだろう。

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