増田勇一の、おすすめ映画『ダーウィン・アワード』

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年末公開の話題作群のなかでも、ひときわおバカな1本、それが『ダーウィン・アワード』だ。その概要や、メタリカの面々が登場していたりする事実などについては、BARKSでも以前からいち早く報じられてきたが、僕からも改めてこの映画をおすすめしておきたい。

映画『ダーウィン・アワード』予告編
https://www.barks.jp/watch/?id=1000020185


まず、ジョセフ・ファインズ演じるところの主人公、マイケル・バロウズが最高に素敵だ。サンフランシスコ市警の優秀なプロファイラーでありつつ血液恐怖症という“設定”は、非現実的と指摘されれば確かにそうなのだが、彼の巻き起こす漫画的ドタバタは“あとを引くおかしさ”。僕自身も鑑賞後に何度か“思い出し笑い”させられた。

そして彼とコンビを組んで“バカバカしすぎる死の真相”究明の旅を繰り広げる保険調査員、シリ・テイラーを演じるウィノナ・ライダーの“ちょっとキツい皮肉屋な女”っぷりがリアルでこれまた最高。他に、あのジュリエット・ルイスも“おバカな死”を遂げた男の恋人役で登場するし、終盤にはトーキング・ヘッズのジェリー・ハリソン、Xのジョン・ドーもちょこっとカメオ出演(本人として登場)している。そうした偏差値高めのアーティストたちの出演を実現させたのも、ウィノナの人脈だったのだとか。余談ながら、Xというのはもちろんアメリカのバンド。このバンドの存在が先にあったからこそ日本の某バンドは“JAPAN”を付けなければならなくなった……なんて話も今では懐かしい。

数々の“おバカな死”のエピソードのなかでも、特に音楽ファンにとってリアリティがあるのは、メタリカのライヴが観たいばっかりに会場の塀を乗り越えようとした男と彼の相棒の話。ぶっちゃけ、海外にメタリカ(に限ったことじゃないが)を観に行くと、ああいう雰囲気の連中は必ずいる。そんな“こういうヤツ、いるいる!”という感触が、ほぼすべての登場人物に感じられるのだ。

さらには、随所に文学の匂いを漂わせていたりもするのもこの作品の特徴のひとつ。“謎解き”の部分にも文学が関わってくるし、主人公の名前からはウィリアム・バロウズを連想させ、確かポール・オースターの奥さんは“シリ”だったよな、なんて思い起こさせられたりもする。そんな細かい部分も含め、随所に小ネタとパロディ精神が散りばめられたこの『ダーウィン・アワード』。きわめてバカバカしくて人生の役に立つとは考え難いのだけども、仮に続編が作られたなら、僕は間違いなく映画館に足を運ぶことになるだろう。

公開は12月1日(土)より、渋谷シネセゾンにて。きわめてクールでロックなブランド、GREED(http://www.greedxxx.com/)とのコラボによる超限定版Tシャツも是非ゲットしたいところだ。

増田勇一
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