のあのわ、歓喜と驚きが満ち溢れた1st full album『SPECTACLE』特集

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のあのわ、歓喜と驚きが満ち溢れた1st full album『SPECTACLE』特集

おもちゃ箱をひっくり返したかのような、
こころ躍る、大仕掛けなショーの始まり

INTERVIEW02

「音楽を知っている人も楽しめて、知らない人も踊れるような音楽を作るのが目標なんです」

“SPECTACLE”というキーワード以外で、このアルバム制作に影響を与えたものは?

Yukko:うーん……たぶん、ライヴだと思います。

荒山:うん、そうだと思う。のあのわが、今後どういうライヴを見せたいかとか、どういう空気を作りたいかとか、デビューした当初から強まってきていたんですよ。さっきYukkoがいった「みんなに近付いていく」というのもそういうことで。ライヴというヴィジョンをイメージしながら切磋琢磨していきましたね。

ゴウ:野外フェスとか、大きいステージでやる機会も増えてくると、欲求として「お客さんを躍らせたい!」とか、やっぱり湧いてくるんですよね。

nakame:そうやって作っていくと、曲がすごくダイナミックで、大袈裟な感じになるんですよ。別に、わざと大げさに作っているわけでもないのに(笑)。でも、そこがのあのわっぽさだなって思って。

すごくキャッチーなのに、先鋭的な遊び心を持った曲ばかりじゃないですか。1曲でエンターテインメントとして成立するし、音楽を深く知っていても、知らなくても楽しめる音楽で。独特の人懐っこさもありますよね。

本間:人懐っこさってあるかもしれませんね。なんとなく、恥ずかしくもあるけど(一同笑)。

Yukko:のあのわとしても、音楽を知っている人も楽しめて、知らない人も踊れるような音楽を作るのが目標なんですよ。マニアックにいこうと思えばどこまででもいけちゃうけど、そこをポップな方向に持っていって、より広い世界に訴えていきたい。このアルバムはその方向性がより明確に出たので、そういう風に感じて貰えるのは嬉しいことですね。

僕の勝手な視点かもしれないのですが、このアルバムは音盤単位で聴かれる為にトータリティーにも注意を払った、コンセプト・アルバム的な狙いもあったのかと思ったのですが、いかがですか?

本間:特別、その部分に意識を集中していたわけではないんです。でも、アルバム1枚を通して聴いて楽しめるように、アルバムの真ん中にインストの曲をはさんで、LPで言うとA面からB面に裏返すような、そういう効果は狙っています。みなさんに隅々まで楽しんでもらうための演出ですね。ただ、あまりにもコンセプチュアルになって、トータルで聴かないと意味をなさないような小難しいものにはしたくなかったんです。

フレイミング・リップスとか、アーケイド・ファイアに匹敵する幻想的で壮大な世界観を作りながら、お客さんとの距離が近いこのアルバムって、ちょっと快挙だと思うんですよ。その距離の近さには日本的なセンスの介在あってこそだとも思うのですが。

nakame:日本的なセンスは、かなりある気がしていますね。確かにフレイミング・リップスとかアーケイド・ファイアとかの影響はあるんですけど、作っている時はそれほど意識はしていなくて。もっと、自分たちの中にある根源的なものとか、反射的な感覚とか、そういうものが反映されていて。

本間:それが歌謡曲やJ-POPを聴きながら育つ日本人らしさなのかな? って。やっぱり日本で音楽をやるからには、日本ならではの影響は隠さず素直に出したいんですよ。

ゴウ:Yukkoちゃんは演歌が好きだもんね?

そうなんですか?

Yukko:そうなんです。演歌のタメが大好きで。そういうコブシ的なものが、歌の抑揚に作用している気がしますね。

そういう影響を臆面もなく出せるのが、新しい世代のロックバンドが持っている素晴らしさだと思うんですよ。特に表題曲にもなっている「SPECTACLE」には、のあのわの持っている重要な音楽性がすべて詰まっているように感じました。

ゴウ:これはまず、構成だけ頭の中に浮かんできたんですよ。

nakame:最初は、今と全然違うサビが付いていて。ただ、みんなの中で「この曲、なんか惜しいんだよなぁ……」という思いがあって。しばらく封印していたんです。

ゴウ:でもこの機会に、しっかりと向き合って完成させようと思って。

本間:このアルバムには、どうしても必要な曲だったんですよ。

「自分を否定することは、体に良くないですからね(笑)」

特殊なカッコ良さで言えば、「星が見える日は」。この曲は一体、なんなんですか(笑)?

本間:(笑)。偶発的にできた曲なんですけど、ストレートにやれば普通にカッコ良い曲なのに、シャンソン的な要素を盛り込んじゃったみたいな。

nakame:パンクバンドのライヴにシャンソン歌手がボーカルで乱入してきて、お客さんはみんな中国人。しかもみんなで大合唱しているみたいな曲です(一同笑)。

(笑)。短期間の間でトンでもない進化を遂げて、まだまだ才能の底がまったく見えないのあのわですが、このアルバムを経て、バンドはどのように方向性に進むと考えてらっしゃいますか?

Yukko:もう、のあのわはどこにでも行ける気がしていますね。

荒山:このアルバムのおかげで、「俺達って、何やってもいいんだ」と思えました。

本間:「ループ、ループ」だけ聴いてこのアルバムに興味を持ってくれた人は、きっと驚くとは思うんです(笑)。でも、良い意味で予想を裏切ることで、さらに興味を持ってもらえるんじゃないかな? って。

ゴウ:『ゆめの在りか』でのあのわとしての基礎は完成されたわけですけど、そこに自分たちを縛り付けておく必要もないと思ったんです。

nakame:自分を否定することは、体に良くないですからね(笑)。個々が良いと思ったものは素直に出す。それをメンバーみんなでのあのわの音に仕上げていく。その方法は、これからも変わらないと思います。

取材・文●冨田明宏

 
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