奇抜かつエクセントリック、アイスランドに敬意を

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毎年10月にアイスランドで開催される<The Iceland Airwaves Music Festival>、2010年は10月13日から17日にかけて開催、このフェスティバルは様々な意味で他とは一線を画す。Rolling Stone誌のSenior Writerである著名な音楽ライターDavid Fricke氏も「年間の音楽フェスティバルの中で最もヒップ」と絶賛している。

フェスティバルの始まりは、1999年にアイスランドの飛行機格納庫で開催されたイベントだった。国内大手銀行が次々と破綻した2008年以降も、アイスランドではアートに対する関心が高く、フェスティバルの存続だけでなく繁栄の一端を担ってきた。美しい景色に恵まれた会場は世界中の大物バンドを魅了し、これまでにファットボーイ・スリム、CSS、フレイミング・リップス、ホット・チップ、ザ・クラクソンズ、フローレンス&ザ・マシーンらが出演。国際的で強力なラインアップに加えて、地元アイスランドの才能あるミュージシャン達のショーケースの場としての役割も果たしており、毎年多くのアイスランド出身アーティスト達がパフォーマンスを行なう。国民総人口が青森市の30万2千人をわずかに上回る32万3千人のアイスランドで、これだけの数のミュージシャンが活躍しているのかと改めて感嘆する。

自国の音楽輸出においてもアイスランドはかなりの実績をあげている。アイスランド・ポップを代表する“狂気の女王”ビョークが全世界で売上げたアルバムの総数は約1500万枚。彼女はこれまでにトム・ヨーク、Nelle Hooper、トリッキー、マイク・パットン、ティンバランド、ロバート・ワイアットといった大御所アーティストをはじめ、トゥバ共和国のスロート・シンガーやハープ奏者、日本の映画監督の石岡瑛子、ビートボックス・アーティストのDokokaら様々アーティストとコラボレーションを行なっている。

ビョークは、1988年にシュガーキューブスのヴォーカルとしてアルバム『Life's Too Good』で海外デビュー。独自の世界観を音楽と映画作品で築き、人々を魅了、時には困惑させながらも世界に名だたるエンターテイナーとして不動の地位を確立した。また、人権問題や政治問題についても自由奔放に意見を発している。

ビョークの成功は、後続のアイスランド勢のEmiliana Torrini、Kira Kira、mum、Mugison、Sigor Rosの海外進出にも大きな影響を与えた。彼らはいずれもアルバムを海外でもリリースし、高い評価を受けている。その中でも最近大きな注目を集めているのがOlafur Arnaldsだ。Arnaldsはハードコア・メタルバンド、Fighting Shitのドラマーとしてプロの音楽活動をスタート。今日ではピアノ、ループ、ストリングス、その他のオーケスレーションとクラシック音楽の影響を取り入れた豊かでゴージャスなサウンドを作曲する。日本のp*disレーベルから発売された最新アルバム『And They Escaped the Weight of Darkness』は必聴の1枚だ。

肯定的な意味で奇抜かつエクセントリック、というのがアイスランド音楽に対する一般的な印象だ。そのため、多くの音楽ファンはユニークで、型にはまらない発見を求めてアイスランド音楽に耳を傾ける。

音楽をサポートし、国の環境を美しく保ち、音楽が繁栄する環境を作り上げて来たアイスランドに敬意を表したい。

キース・カフーン(Hotwire)
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