ビースティ・ボーイズ、音楽の自由さとオリジナリティ溢れる『ホット・ソース・コミッティー・パート2』

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「音楽って自由なんだぜ」とBEASTIE BOYSのメンバーが言ったか言っていないかはさておき、4月27日にリリースされた『ホット・ソース・コミッティー・パート2』を聴いていると、そんなことを音が伝えているような気がする。

そもそも、BEASTIE BOYSは、“ヒップホップカルチャーは黒人だけのものだ”という風潮が根強かった1981年に登場。もともとは1979年にパンクバンドとして結成されたという経緯があり、結成当初はパンクバンドとして活動していたが、ヒップホップやR&Bを専門とするデフ・ジャム・レコードに所属したのを機に、ラップやヒップホップを軸にしたグループへ進化した。白人ヒップホップの草分け的存在として、レーベルメイトのRun-D.M.CやLL COOL Jらと共にツアーを行ったことも。

そんなわけで、彼らのサウンドにはパンクやハードロックの要素が根底にはあり、かつバンドとしての側面も持っているという変わり種。“もともと異端児なのだから”という開き直りか否か、彼らの音楽の自由さとオリジナリティは他のグループの追随をみないだろう。既成概念とらわれないそんな姿勢は、ヒップホップの第二次成長期であるゴールデンエイジ・ヒップホップの時代に影響を与えた存在ともいえる。

そんな彼らが登場してからもう四半世紀以上が経過しているが、『ホット・ソース・コミッティー・パート2』には、キャリアに甘んじることなく弾けまくっている彼らの姿が収録されている。タイトルに「パート2」とあるが、「2」があるなら「1」があるはずだと誰もが思うだろう。これにはちょっとした訳があり、「1」はメンバーのMCAが唾液腺癌治療により、お蔵入りとなっていたという経緯があるのだ。この作品は、その「1」に収録されるはずだった楽曲とほぼ同じ楽曲を収録。もちろん楽曲には新たなサウンドプロダクションが行われたり、10曲目「The Larry Routine」、16曲目「The Lisa Lisa/FULL FORCE ROUTINE」が加わっているので、まったく同じではない。が、ほとんど内容は同じなら、『ホット・ソース・コミッティー・パート1』としてリリースしたらいいじゃないか!という話もあるが、これはきっと彼らなりの遊び心なのではないだろうか。もともとこの『ホット・ソース・コミッティー』という作品は、二枚に分けて、「パート1」「パート2」としてリリースする予定で制作されていた。ちょうど、この作品をリリースした時期に本来の『ホット・ソース・コミッティー・パート1』をリリースする予定になっていたから、そのままのタイトルでこの作品をリリースしたというわけだ。

SANTIGOLDをフューチャリングした「DON'T PLAY NO GAME THAT I CAN'T WIN」ではダブやダンスホール的なアプローチ。「Lee Majors Come Again」では勢い一発の超パンク! ゆったり音の波の中をたゆたうようなインスト「MULTILATERAL NUCLEAR DISARMAMENT 」等々……音楽的なリーチの長さには本当に驚くし、彼らが音楽好きの少年のまま、「こうしたらカッコいいんじゃない?」とか「これをこうしたら、こんな風に面白いことになった!」と、楽しみながら制作をしている絵が浮かんでくる。

個人的には日本盤のボーナストラックとして収録されているCORNELLIUSがリミックスした「MAKE SOME NOISE」もツボ。グルーヴ溢れるリミックスは、BEASTIE BOYSがバンドスタイルのヒップホップグループだということを再確認させてくれる。

いまだMCAの癌は完治とは言えないらしく、一刻も早く克服することを祈るばかり。今後もリスナーを楽しませるだけでなく、「音楽は自由だ」と音から溢れるスタイルで、若手のミュージシャンたちにも影響を与え続けてほしい。

『ホット・ソース・コミッティー・パート2』
4月27日(水)日本先行発売
TOCP-66880 2,500円(税込)
01.メイク・サム・ノイズ
02.ノンストップ・ディスコ・パワーパック
03.OK
04.トゥ・メニー・ラッパーズ (ニュー・リアクショネリーズ・ヴァージョン) feat. NAS
05.セイ・イット
06.THE BILL HARPER COLLECTION
07.ドント・プレー・ノー・ゲーム・ザット・アイ・キャント・ウィン feat. SANTIGOLD
08.ロング・バーン・ザ・ファイアー
09.ファンキー・ドンキー
10.ザ・ラリー・ルーティーン
11.タドロックス・グラシズ
12.リー・メジャース・カム・アゲイン
13.マルチラテラル・ヌークリア・ディスアーマメント
14.ヒアズ・ア・リトル・サムシング・フォー・ヤ
15.クレイジー・アス・シット
16.ザ・リサ・リサ/フル・フォース・ルーティーン
<日本ボーナス・トラック>
17.メイク・サム・ノイズ (コーネリアス・リミックス)

◆ビースティ・ボーイズ・オフィシャルサイト
◆BARKS洋楽チャンネル
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