【BARKS編集部レビュー】SHURE SRH940はスナップの効いた筋肉質なツンデレ・サウンド


◆SHURE SRH940画像
個人的に、味付けがおいしいものよりも、例え無機質でもシビアにリアルに再生してくれるヘッドホンの方が好みなので、「リファレンス・スタジオ・ヘッドホンというからには、こうじゃないと」と勝手に理想のサウンドを思い描いていたのだけれど、そのまま期待通りの…いや期待以上のサウンドを叩き出してくれるので、嬉しさににやけ顔が治らない。全帯域をストレートに描き出すストイックなサウンドは、きっちりと硬質で迷いがない。甘さやゆるさとは無縁で、私の脳みその中に「こういうのを良い音と言うんです」フラグが次々と立ちまくる。これでケーブルもカールコードとストレートが付属し、スペアのベロアパッドが付いて丈夫なケースに入り実売価格2万6800円前後とあれば、めっちゃめちゃお買い得。

サウンドは多少偏重気味だったSRH840の低域が抑えられ、結果バランスとしては高域の抜けと伸びが素晴らしいものになった。全帯域が詰まることなくレスポンス良く飛び出す感覚で、きっちりフラット。低域が抑えられたとはいえ、非常に引き締まった低域が高い瞬発力を持って出てくるので、量感不足は全く感じない。

逆に、この分析的ともいえるスナップの効いた筋肉質なサウンドを、「リアル」「ディテールが楽しい」「シビアな音像」として楽しめる人であれば、SRH940のコストパフォーマンスはバツグンだと感じてくれるのではないかと思う。

MDR-CD900STもいいけれど、SRH940のほうが肉厚でジューシーなサウンドである。このシズル感こそが、あくまでリファレンス・スタジオ・ヘッドホンながら、音楽を楽しむという側面のギリギリまで手繰り寄せてくれているポイントではないだろうか。一般オーディエンスがリアルに音楽を吸い尽くす絶好のエンターテイメント・アイテムとして、SRH940はベストセラーになるべき傑作だと思う。

真面目すぎる設計で、セクシーさやポップ/キャッチーさは全く無いが、この究極のフラットなトーンで聞かせてくれる立体感のある贅肉の取れた引き締まったサウンドは、音像の積み重ねが視覚化されたかのような雄弁さを提供してくれる。この感覚こそ、音楽がかもし出す究極のエロティシズムだと思うわけで、だからやっぱりSRH940は愛すべきツンデレなのです。
text by BARKS編集長 烏丸
SHURE SRH940
形式:ダイナミック型ネオジム磁石採用
ドライバー口径:40mm
感度:100dB SPL/mW
インピーデンス:42Ω
最大入力:1000mW

質量(コードを除く):320g
コードの長さ:カール3m、ストレート2.5mm
コードの種類:着脱式、カールおよびストレート
プラグタイプ:3.5mmステレオ・ミニプラグ、金メッキ
交換用ベロア素材イヤパッド(HPAEC940)
6.3mm標準プラグアダプター(金メッキ)(HPAQA1)
着脱式カールケーブル(HPACA1)
着脱式ストレートケーブル(HPASCA1)
ジッパー付きトラベルケース(HPACC1)
◆SHURE SRH940オフィシャルサイト
◆BARKS ヘッドホンチャンネル
BARKS編集長 烏丸レビュー
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