【BARKS編集部レビュー】典型的なヨーロピアン美麗サウンド、Earsonics SM64

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SM64といえば、任天堂のスーパーマリオ64だけれど、もちろんここではフランスの誇るEarsonicsのSM64のお話だ。唯一の純フランス製IEMとして仏アーティストが愛用、絶大な人気と高い支持を得るEarsonicsだが、なかでもSM64は、3ウェイ3ドライバー構成を持つユニバーサル・モデルのステージモニターとして最も人気の高いモデルである。

◆Earsonics SM64画像

サウンドは、明らかに美音系。必要にして十分な解像度を持ち、伸びやかで素晴らしい中高域を奏でる。低域が控えめと言われており、確かに量的には少なめだが、非常に低いところからしっかりと再生されているため、“低域が弱い”ということはない。実際はイヤーピースの種類とサイズのセレクト次第で、体感的な低域の量は大きく変化してしまう。逆に言えば、自分にとって最も心地よいバランスを調整できる懐の深さがあり、しっかりした重心の低い低音を引き出すこともできる。

▲Earsonics SM64。SHUREやWestone同様、モニター用途として高い評価を得ているイヤホンで、高い遮音性と繊細なサウンドを兼ね備える。

▲ハウジングはブラックとクリアの2トーン。裏から見ると大きな低域用ドライバーが頓挫しているのがよく分かる。

▲付属品は、キャリングケース、イヤーチップ、クリーニングツール。

サウンドの完成度は非常に高く常識的なバランスを持っているが、他に比類できるような似たようなモデルが見当たらない。ちょっと不思議なサウンドで、非常にスッキリしているものの全帯域にわたって音はきっちりと埋めつくされており、フルレンジのBAドライバー1発のような軽い音色ではない。むしろサウンドのバランスは、6ドライバーを搭載した昨今のハイエンド・カスタムIEMで聞かれるような透明感と実在感すら感じさせるものだったりする。高域の伸びは無理がなく、上品な低域とクリアな中域の質感は、非常に基本性能の高いものだ。単なる想像だけど、ドライバーや電気パーツの選定基準がカスタムIEMと同レベルで、価格や物理的制約による妥協を一切行っていないのだろう。販売価格64,800円(税込)という二度見してしまうほどの金額も中身あってのことで、この音を聞けば高額であることも納得のところ。高域寄りのフラットバランスは、カスタムIEMで言えばUnique Melody MageやLEAR LCM-5で聞けるような湿度の低い爽やかな高域に肉薄するクオリティを持っており、一般的なユニバーサルモデルの一線を軽く越えている。

中高域の美しさが際立つ美音系のため、多くの人が特徴と魅力を高域に見出すと思われるが、実は中域の充実も見逃せない特筆ポイントで、SM64が軽いサウンドではない重要なポイントがここにある。3つのドライバーが3つの帯域をそれぞれ受け持つ3ウェイである点が効いているのか、こと1KHz~2KHzあたりの張り出しがしっかりしている。高域系サウンドであるにもかかわらず、軽々しさがなく空気感を伴う意外とどっしりとした音像を出すのは、この中域の充実に他ならない。このあたりの音色に関しては、低域をマスキングしてしまうような騒音の大きいところでわざと遮音を落としてみれば、シャープさや芯のあるアタックが必要量しっかりと出ていることがよく分かることと思う。この中域の充実は、同じ3ドライバー搭載モデルでも2ウェイ設計では手の届かない領域ではないかと思われる。

ちなみに、SM64は一般的なイヤホンと比較するとボリュームが小さめだ。感度はそれなりに高いのだが抵抗値が大きいために、いわゆる“音が取りにくい”と言われるタイプとなる。普段使っているプレイヤーのボリュームを多少大きくするだけのことで、実用に問題はないし特にアンプが必要となるわけでもないが、この大きめのインピーダンスがSM64のトーンを形作るひとつの重要な要素なのかも知れない。

素晴らしいサウンドであることに間違いはないが、一方でトーンバランスは非常にデリケートで、イヤーピース如何で実際のバランスもトーンへの印象も大きく様変わりしてしまう気難しさは否めない。使いこなしの面で、いい音をしっかりと受け止められるよう使用者側にスキルを要求するようなフシもある。しっかりとしたフィット感、イヤーピースによる遮音性とサウンドバランスとの相関関係のコントロールが、SM64の実力を引き出す最大のポイントとなるようだ。

そういう意味では、Earsonicsの高度にバランスがとれたサウンドを余すことなく享受しようとするならば、ユニバーサルモデルではなく、カスタムIEMシリーズとなるESモデルにこそEarsonicsの真髄があるとも言えそうだ。SM64の美麗サウンドは、この美音が最高のパフォーマンスを発揮するであろうEarsonics ESシリーズへの誘い水かもしれない。

text by BARKS編集長 烏丸哲也

●Earsonics SM64
販売価格:64,800円(税込)
感度:122 dB/mW
周波数特性:10Hz~20kHz
インピーダンス:98 ohms
ドライバー:3 drivers with high quality 3 way crossover with impedance corrector
付属品:ソフトキャリーバック、ワイプ、シリコンイヤーピース、コンプライイヤーピース

◆Earsonics SM64オフィシャル販売サイト
◆BARKSヘッドホン・チャンネル
◆カスタムIEM専門チャンネル

BARKS編集長 烏丸レビュー(■イヤホン ●ヘッドホン ◆カスタムIEM ◇他)
◆LIVEZONER41 LZ12(2013-09-15)
◆Ultimate Ears カスタムIEM全7機種(2013-09-08)
◆null audio Elpis(2013-09-03)

■FitEar Parterre(2013-08-25)
◆カナルワークスCW-L12(2013-08-17)
◆Livezoner41 LZ 4(2013-08-06)
■SHURE SE846(2013-08-02)
■オーリソニックスASG-2 with BassPort(2013-07-28)

■Hippo ProOne(2013-07-21)
◆カナルワークス CW-L51a(2013-07-13)
■EXS X10(2013-06-24)
■音茶楽Flat4シリーズ粋、楓、玄(2013-06-17)
◆LEAR LCM-1F(2013-06-10)

◇Ultimate Ears UEブーム(2013-05-28)
◇Stage93 93PC(2013-05-20)
●Meze Headphones(2013-05-08)
●Fischer Audio Jubilate(2013-04-29)
◇ORB JADE casa(2013-04-21)

◆lime ears LE3(2013-04-14)
◇雑誌「DigiFi 第10号」付録(2013-04-06)
●Ultimate Ears UE 9000、UE 6000、UE 4000(2013-04-01)
■開放型インナーイヤーイヤホンおススメ5モデル(2013-03-19)
◆LEAR LCM-5(2013-03-16)

●フィリップスFidelio L1(2013-02-25)
○スマホが与えた音楽リスニングのモラル変革(2013-02-17)
■Klipsch Image X7i(2013-02-04)
◆LEAR(2013-01-27)
◆カナルワークスCW-L05QD(2013-01-13)

◆earmo(2013-01-02)
◆Westone AC2(2012-12-25)
◇Stage93 93SPEC(2012-12-16)
●California Headphone Silverado、Laredo(2012-12-09)
■音茶楽Flat4-楓(2012-12-03)

◆Stage93 Stage 6(2012-11-26)
●GRADO SR60i(2012-11-19)
◇Astell&Kern AK100-32GB-BLK(2012-11-15)
●オーディオテクニカ ATH-WS99(2012-11-10)
■アトミック フロイドPowerJax+Remote(2012-10-29)

◇VORZUGE VorzAMPduo(2012-10-26)
●ファイナルオーディオデザイン heaven VI(2012-10-16)
●beyerdynamic T 90(2012-10-08)
●GRADO GS1000i(2012-09-30)
●SENNHEISER HD 700(2012-09-16)

◆ACS T1 Live!(2012-09-11)
●オーディオテクニカ ATH-AD2000 ATH-AD1000(2012-09-03)
●GRADO RS1i、SR325is、PS500(2012-08-20)
◆FitEar MH335DW(2012-08-15)
●DIESEL VEKTR(2012-08-07)

◆カナルワークスCW-L51 PSTS(2012-07-30)
●Fischer Audio FA-002W(2012-07-25)
●Pioneer SE-MJ591(2012-07-16)
■GRADO iGi(2012-07-12)
●HiFiMAN HM-400(2012-06-26)

●Klipsch Reference One(2012-06-17)
●GRADO PS1000(2012-06-09)
●ULTRASONE edition 8(2012-06-02)
●PHONON SMB-02(2012-05-28)
■音茶楽Flat4-粋(SUI)(2012-05-20)

●<春のヘッドフォン祭2012>、Fischer Audio FA-004(2012-05-13)
◇Hippo Cricri、Go Vibe Martini+、VestAmp+(2012-05-04)
■ファイナルオーディオデザインheaven IV(2012-04-28)
■フィッシャー・オーディオ Jazz (2012-04-22)
●SHURE SRH1840 & SRH1440(2012-04-16)

■FitEar TO GO! 334(2012-04-08)
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●Takstar PRO 80、HI 2050、TS-671(2012-03-20)
●klipsch Mode M40(2012-03-15)
■Fischer Audio DBA-02 Mk2(2012-03-07)

◆AURISONICS AS-1b(2012-02-27)
■UBIQUO UBQ-ES503、UBQ-ES505、UBQ-ES703(2012-02-21)
◆Heir Audio Heir 3.A(2012-02-15)
■moshi audio Clarus(2012-02-12)
◆Thousand Sound TS842(2012-02-08)

◆Heir Audio Heir 8.A(2012-02-01)
■CRESYN(2012-01-17)
◆Unique Melody Merlin(2012-01-08)
◆カナルワークスCW-L01P(2012-01-03)
■ファイナルオーディオデザイン Adagio(2011-12-31)

◆LEAR LCM-2B(2011-12-26)
●SOUL by Ludacris SL100、150、300(2011-12-23)
●AKG K550(2011-12-20)
■SENNHEISER IE80 & IE60(2011-12-16)
■DUNU(2011-12-14)

◆カナルワークスCW-L10(2011-12-12)
■オーディオテクニカ ATH-CK90PROMK2(2011-12-09)
◆Ultimate Ears UE 5 Pro(2011-12-06)
■REALM IEM856(2011-12-02)
■ファイナルオーディオデザインAdagio III(2011-11-26)

◇Ultimate Ears用交換ケーブルFiiO RC-UE1&オヤイデ電気HPC-UE(2011-11-25)
●Reloop RHP-20(2011-11-22)
■オーディオテクニカ ATH-CK100PRO(2011-11-14)
■SOUL by Ludacris SL99(2011-11-04)
■Fischer Audio Ceramique(2011-10-25)

■SHURE SE535 Special Edition(2011-10-21)
■JVCケンウッドHA-FX40(2011-10-16)
■BauXar EarPhone M(2011-10-10)
■SONOCORE COA-803(2011-10-02)
◆TripleFi 10 ROOTHリモールド(2011-09-25)

■AKG K3003(2011-09-18)
■Atomic Floyd SuperDarts+Remote(2011-09-11)
■Bowers & Wilkins C5(2011-09-06)
■Westone3(2011-09-02)
◆カナルワークスCW-L31(2011-08-26)

◇ORB JADE to go(2011-08-22)
■YAMAHA EPH-100(2011-08-14)
■NW-STUDIO(2011-08-09)
■NW-STUDIO PRO(2011-08-02)
◆FitEar MH334(2011-07-29)

◆ROOTH SE530×8(2011-07-26)
■Westone ES5(2011-07-21)
●SHURE SRH940(2011-07-17)
◆Ultimate Ears 18 Pro(2011-07-15)
■クリエイティブAurvana In-Ear3(2011-07-06)

◆カナルワークス CW-L01(2011-07-01)
■GRADO GR10&GR8(2011-06-25)
◇SAEC(サエク)SHURE SE用ケーブル(2011-06-21)
■フィアトンPS 20&PS 210(2011-06-17)
■ZERO AUDIO ZH-BX500&ZH-BX300(2011-06-11)

■フィリップスSHE8000&SHE9000(2011-06-03)
■アトミック フロイド(2011-05-26)
■モンスター・マイルス・デイビス・トリビュート(2011-05-20)
■SHURE SE215(2011-05-13)
■ファイナルオーディオデザインPiano Forte IX(2011-05-06)

■ラディウス・ドブルベ/ドブルベ・ヌメロドゥ(2011-05-01)
■ローランドRH-PM5(2011-04-23)
■フィリップスSHE9900(2011-04-15)
■JAYS q-JAYS(2011-04-08)
◇フォステクスHP-P1(2011-03-29)

■Klipsch Image X10/X5(2011-03-23)
■ファイナルオーディオデザインheaven(2011-03-11)
■Ultimate Ears TripleFi 10(2011-03-04)
■Westone4(2011-02-24)
■Etymotic Research ER-4S(2011-02-17)

■KOTORI 101(2011-02-04)
■ゼンハイザーIE8(2011-01-31)
■ソニーMDR-EX1000(2011-01-17)
■SHURE SE535(2011-01-13)
■ビクターHA-FXC51(2011-01-12)
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