【BARKS編集部レビュー】オーディオテクニカATH-OX7AMP、アンプ搭載のワケを妄想する

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10月10日に一斉に発表されたオーディオテクニカの新製品は、魅力的なニューモデルがてんこ盛りだったが、今回はその時に実機を触って一発で「これはイイね」と思ったモデルのひとつ、ATH-OX7AMPをご紹介したい。

◆オーディオテクニカATH-OX7AMP画像

▲オーディオテクニカの新製品群の中で、唯一のアンプ内蔵ヘッドホン。折りたたみは出来ないがコンパクトなサイズと出すぎないデザインがモバイルに調度良い。堅牢性も充分。

▲ハウジングの下部にコントロール系が集中している。左にはアンプのスイッチとボリューム、脱着可能なケーブルの差込口が、右のハウジングには単4電池1本のボックスが内蔵されている。

▲ハウジングは耳のせサイズ。イヤパッドは十分な厚さがありふかふか。

▲電池交換はワンタッチ。工具もコツも全く不要。電池がなくても音は出るトゥルーバイパス仕様となっている。

▲付属品は取説、保証書に、ノーマルケーブルとコントローラー付きケーブル、ポーチ。動作確認用の単4形アルカリ乾電池も同梱される。

説明を聞き「良さそう♪」、実機を見て「イイね♪」、実際に音を聞いて「イイ♪」という、第一印象で受けた好印象は、その後商品を手にしてしっかりと使い込んだ後も何ら変わることのなく今に至っている。市場価格約3万円(税込)は決して安価ではないが、様々なシーンで長く使えるモデルとして、老若男女にお薦めしたいと思い当稿を執筆した。

魅力のポイントは以下の通りだ。

(1)音色の素性の良さ
(2)アンプ搭載による伸びしろの大きさ
(3)TPOを問わない洗練されたルックス
(4)軽くて丈夫

サウンドは極めてオーソドックス。安定したどっしりとした低域を持ち、クセのない自然な中域と非常にナチュラルで素直に伸びる高域を持つ。無難というとネガティブなイメージがあるが、サウンドにおける無難というのは、実は最も困難な到達点のひとつでもある。入ってきた信号をスムーズに出力するのがオーディオの究極の姿ではあるけれど、聞くところによれば、常に構成要素の各パーツが持つ固有の物理特性の呪縛からなかなか逃れることができないとか。つまり空気振動を生み出す時点で、その機器自体が持つサウンド特性にまみれてしまっているわけだ。素材や形状、加工によって機材固有のクセを相殺し、無色透明の存在になるのが音響機器が到達すべきひとつの究極型とも言える。その存在自体を感じさせない無味乾燥な特性の向こうに、無難という究極の美徳があるのだ。

ATH-OX7AMPの場合、そのバランスのとれたトーンは、実際どのようなタイプの音楽をどのような音量で再生しても破綻を起こすことがない。適度な厚みと重さ、程よいスピード感、ヌケの心地よさとまとわりつくようなローミッドの濃厚さなど、あらゆる要素が中庸で自らの主張を感じさせないため、音楽そのものの魅力に自然と誘われていく心地よさを持つ。

アンプ内蔵を最大の特徴とするモデルに対してマヌケな意見なのだけど、実のところアンプを切った時の生の音が実に素晴らしい。そして、基本性能の高さとあわせて、増幅部においても無色透明さが発揮され、ATH-OX7AMPではアンプのオンとオフではトーンにほとんど変化を生じない。私が最も高く評価するポイントがここで、そこからは「アンプによる事後処理でサウンドメイクしてしまおうという魂胆が全くない」ことがはっきりと見て取れる。ここ、素晴らしい姿勢だと思うわけだ。

要は、素の状態で完成度の高い魅力的なポータブル密閉型ヘッドホンとなっており、さり気なくも高い基本性能を有しているところこそがATH-OX7AMPの最大の魅力なのだと思う。アンプ内蔵というスペックを耳にすると、飛び道具を挟み込んで基本性能の低さをカバー…のような印象を受けがちで、そのような先入観で耳にすると、アンプOFF時に音が劣化する、あるいはON時に音が良くなるような感覚に陥るかもしれない。冷静にサウンドに注力すれば、アンプによる色付けがほとんどない事実に気付くはずだ。ちなみに、左ハウジングの下部にアンプ機能のON/OFFスイッチとボリュームが搭載されており、ボリューム位置はおおよそ6.5くらいでアンプのオンとオフの音量がほぼ同一になる。その状態でアンプの有無を切り替えてみればアンプでの色付けが一切ないことがよく分かる。

ただしATH-OX7AMPは、アンプオフの状態では出力音圧レベル99dB/mW、インピーダンス68Ωというスペックから見て取れる通り、多少音量の取りづらい設計となっている。音に定評のある高級ヘッドホンの多くがサウンドクオリティの追求と引き換えに能率を落とし、音量が小さくなってしまいがちだったりもする。ATH-OX7AMPもその例に漏れないということのようだ。そんなヘッドホンの力を十分に引き出し存分に高品質なサウンドを堪能するには、非力なオーディオプレイヤーでは力不足で、そこで初めてヘッドホンアンプの必要性が顕在化してくる。

とは言え「別途ヘッドホンアンプが必要です」と言われても、一般の人には余計なお世話…というかむしろ迷惑な話で、望んでもいなければ必要とも思っていないし、そもそも興味もありゃしない。であれば、環境を問わずこのヘッドホンの真の実力をしっかりと打ち出すために、自前でアンプ機能をも有した上で、面倒なことなしに誰でも簡単に使えるように設計しよう、と誕生したのがATH-OX7AMPなのではないか。

ヘッドホン・オタクの殿方は、もうお分かりであろう。駆動力のあるプレイヤーではオフにすればいいし、お気に入りのアンプで聞いている人もオフにすれば良い。一方でスマホや非力なプレイヤー使用時にこそ、さくっとアンプをONにすればいいのだ。再生機側のあれこれ都合を全てまるっと受け入れて、いつでもどんな状況でも常に最高のコンディションでサウンドを届けます、という設計ポリシーがアンプ搭載の真意なのだと思う。だからこそ基本性能がこれ程に高く設計されており、アンプによる増幅が無味無臭なのだ。

なお、ヘッドバンドの形状にも細心の注意を払ったということで、発表会では「カチューシャのような装着感」というキーワードが飛び出していた。頭のでかい私にはちょっぴり側圧が強く、耐えられない程ではないもののオンイヤー型のため2時間もすると耳が痛くなる。そこでまさにカチューシャの如く頭にフィットさせるつもりでヘッドバンドをぐいっと頭に押さえつけてみると、きれいに頭に回り込み、全体に接点が分散された装着感に変わって、少々強めの側圧が気にならなくなった。当然個人差のある話だとは思うが、自分の工夫次第で装着感も大きく変わりそうなので、自分にとって最も心地よい装着ポイントを探ってみて欲しい。

ATH-OX7AMPは、“SONIC FUEL”シリーズの1モデルとして発表されたもので、“SONIC FUEL”は「どこにいても『大好きな音楽を思いっきり楽しみたい』というリスナーの情熱を刺激する」をコンセプトに持つという。単4電池一本でいつでもどこでも高品質なサウンドが気軽に得られるというのは、ある意味画期的だ。これまでにありそうでなかった、オーディオテクニカの良心が結実した注目すべきプロダクトだと思う。

text by BARKS編集長 烏丸哲也

●オーディオテクニカ“SONIC FUEL”シリーズATH-OX7AMP
2013年11月15日発売
¥OPEN(実売市場価格29,800円前後)
ヘッドホン部 
・型式:密閉ダイナミック型
・ドライバー:φ40mm
・出力音圧レベル:105dB/mW(アンプ使用時)、99dB/mW(アンプ不使用時)
・再生周波数帯域:9~26,000Hz
・最大入力:800mW
・インピーダンス:68Ω
マイクロホン部
・型式:コンデンサー型
・指向特性:全指向性
・感度:-40dB(0dB=1V/Pa,1kHz)
・周波数特性:100~10,000Hz
・質量(電池,コード除く):約220g
・電源:単4形アルカリ乾電池または単4形ニッケル水素充電池×1
・電池寿命※:約35時間(単4形アルカリ乾電池使用時)、約20時間(単4形ニッケル水素充電池使用時)※電池寿命は、使用条件によって異なります。
付属品:1.2m ヘッドホンコード(φ3.5mm金メッキステレオミニ/L型)、1.2m スマートフォン用コントローラー付きコード(φ3.5mm金メッキ4極ステレオミニ/L型)、ポーチ、単4形アルカリ乾電池(動作確認用)
別売:交換イヤパッド HP-OX7

◆ATH-OX7AMPオフィシャルサイト
◆BARKSヘッドホン・チャンネル
◆BARKS カスタムIEM専門チャンネル

BARKS編集長 烏丸レビュー(■イヤホン ●ヘッドホン ◆カスタムIEM ◇他)
■音茶楽Donguri-欅(KEYAKI)(2013-11-17)

■オーディオテクニカ ATH-IM01~04(2013-10-27)
◇Astell&Kern AK10(2013-10-25)
●フィリップス Fidelio M1(2013-10-22)
◆earmo Tune4(2013-10-12)
◆Ultimate Ears Personal Reference Monitors(2013-10-05)

◆Sensaphonics 2XS(2013-09-30)
■Earsonics SM64(2013-09-23)
◆LIVEZONER41 LZ12(2013-09-15)
◆Ultimate Ears カスタムIEM全7機種(2013-09-08)
◆null audio Elpis(2013-09-03)

■FitEar Parterre(2013-08-25)
◆カナルワークスCW-L12(2013-08-17)
◆Livezoner41 LZ 4(2013-08-06)
■SHURE SE846(2013-08-02)
■オーリソニックスASG-2 with BassPort(2013-07-28)

■Hippo ProOne(2013-07-21)
◆カナルワークス CW-L51a(2013-07-13)
■EXS X10(2013-06-24)
■音茶楽Flat4シリーズ粋、楓、玄(2013-06-17)
◆LEAR LCM-1F(2013-06-10)

◇Ultimate Ears UEブーム(2013-05-28)
◇Stage93 93PC(2013-05-20)
●Meze Headphones(2013-05-08)
●Fischer Audio Jubilate(2013-04-29)
◇ORB JADE casa(2013-04-21)

◆lime ears LE3(2013-04-14)
◇雑誌「DigiFi 第10号」付録(2013-04-06)
●Ultimate Ears UE 9000、UE 6000、UE 4000(2013-04-01)
■開放型インナーイヤーイヤホンおススメ5モデル(2013-03-19)
◆LEAR LCM-5(2013-03-16)

●フィリップスFidelio L1(2013-02-25)
○スマホが与えた音楽リスニングのモラル変革(2013-02-17)
■Klipsch Image X7i(2013-02-04)
◆LEAR(2013-01-27)
◆カナルワークスCW-L05QD(2013-01-13)

◆earmo(2013-01-02)
◆Westone AC2(2012-12-25)
◇Stage93 93SPEC(2012-12-16)
●California Headphone Silverado、Laredo(2012-12-09)
■音茶楽Flat4-楓(2012-12-03)

◆Stage93 Stage 6(2012-11-26)
●GRADO SR60i(2012-11-19)
◇Astell&Kern AK100-32GB-BLK(2012-11-15)
●オーディオテクニカ ATH-WS99(2012-11-10)
■アトミック フロイドPowerJax+Remote(2012-10-29)

◇VORZUGE VorzAMPduo(2012-10-26)
●ファイナルオーディオデザイン heaven VI(2012-10-16)
●beyerdynamic T 90(2012-10-08)
●GRADO GS1000i(2012-09-30)
●SENNHEISER HD 700(2012-09-16)

◆ACS T1 Live!(2012-09-11)
●オーディオテクニカ ATH-AD2000 ATH-AD1000(2012-09-03)
●GRADO RS1i、SR325is、PS500(2012-08-20)
◆FitEar MH335DW(2012-08-15)
●DIESEL VEKTR(2012-08-07)

◆カナルワークスCW-L51 PSTS(2012-07-30)
●Fischer Audio FA-002W(2012-07-25)
●Pioneer SE-MJ591(2012-07-16)
■GRADO iGi(2012-07-12)
●HiFiMAN HM-400(2012-06-26)

●Klipsch Reference One(2012-06-17)
●GRADO PS1000(2012-06-09)
●ULTRASONE edition 8(2012-06-02)
●PHONON SMB-02(2012-05-28)
■音茶楽Flat4-粋(SUI)(2012-05-20)

●<春のヘッドフォン祭2012>、Fischer Audio FA-004(2012-05-13)
◇Hippo Cricri、Go Vibe Martini+、VestAmp+(2012-05-04)
■ファイナルオーディオデザインheaven IV(2012-04-28)
■フィッシャー・オーディオ Jazz (2012-04-22)
●SHURE SRH1840 & SRH1440(2012-04-16)

■FitEar TO GO! 334(2012-04-08)
◆Unique Melody Mage(2012-03-26)
●Takstar PRO 80、HI 2050、TS-671(2012-03-20)
●klipsch Mode M40(2012-03-15)
■Fischer Audio DBA-02 Mk2(2012-03-07)

◆AURISONICS AS-1b(2012-02-27)
■UBIQUO UBQ-ES503、UBQ-ES505、UBQ-ES703(2012-02-21)
◆Heir Audio Heir 3.A(2012-02-15)
■moshi audio Clarus(2012-02-12)
◆Thousand Sound TS842(2012-02-08)

◆Heir Audio Heir 8.A(2012-02-01)
■CRESYN(2012-01-17)
◆Unique Melody Merlin(2012-01-08)
◆カナルワークスCW-L01P(2012-01-03)
■ファイナルオーディオデザイン Adagio(2011-12-31)

◆LEAR LCM-2B(2011-12-26)
●SOUL by Ludacris SL100、150、300(2011-12-23)
●AKG K550(2011-12-20)
■SENNHEISER IE80 & IE60(2011-12-16)
■DUNU(2011-12-14)

◆カナルワークスCW-L10(2011-12-12)
■オーディオテクニカ ATH-CK90PROMK2(2011-12-09)
◆Ultimate Ears UE 5 Pro(2011-12-06)
■REALM IEM856(2011-12-02)
■ファイナルオーディオデザインAdagio III(2011-11-26)

◇Ultimate Ears用交換ケーブルFiiO RC-UE1&オヤイデ電気HPC-UE(2011-11-25)
●Reloop RHP-20(2011-11-22)
■オーディオテクニカ ATH-CK100PRO(2011-11-14)
■SOUL by Ludacris SL99(2011-11-04)
■Fischer Audio Ceramique(2011-10-25)

■SHURE SE535 Special Edition(2011-10-21)
■JVCケンウッドHA-FX40(2011-10-16)
■BauXar EarPhone M(2011-10-10)
■SONOCORE COA-803(2011-10-02)
◆TripleFi 10 ROOTHリモールド(2011-09-25)

■AKG K3003(2011-09-18)
■Atomic Floyd SuperDarts+Remote(2011-09-11)
■Bowers & Wilkins C5(2011-09-06)
■Westone3(2011-09-02)
◆カナルワークスCW-L31(2011-08-26)

◇ORB JADE to go(2011-08-22)
■YAMAHA EPH-100(2011-08-14)
■NW-STUDIO(2011-08-09)
■NW-STUDIO PRO(2011-08-02)
◆FitEar MH334(2011-07-29)

◆ROOTH SE530×8(2011-07-26)
■Westone ES5(2011-07-21)
●SHURE SRH940(2011-07-17)
◆Ultimate Ears 18 Pro(2011-07-15)
■クリエイティブAurvana In-Ear3(2011-07-06)

◆カナルワークス CW-L01(2011-07-01)
■GRADO GR10&GR8(2011-06-25)
◇SAEC(サエク)SHURE SE用ケーブル(2011-06-21)
■フィアトンPS 20&PS 210(2011-06-17)
■ZERO AUDIO ZH-BX500&ZH-BX300(2011-06-11)

■フィリップスSHE8000&SHE9000(2011-06-03)
■アトミック フロイド(2011-05-26)
■モンスター・マイルス・デイビス・トリビュート(2011-05-20)
■SHURE SE215(2011-05-13)
■ファイナルオーディオデザインPiano Forte IX(2011-05-06)

■ラディウス・ドブルベ/ドブルベ・ヌメロドゥ(2011-05-01)
■ローランドRH-PM5(2011-04-23)
■フィリップスSHE9900(2011-04-15)
■JAYS q-JAYS(2011-04-08)
◇フォステクスHP-P1(2011-03-29)

■Klipsch Image X10/X5(2011-03-23)
■ファイナルオーディオデザインheaven(2011-03-11)
■Ultimate Ears TripleFi 10(2011-03-04)
■Westone4(2011-02-24)
■Etymotic Research ER-4S(2011-02-17)

■KOTORI 101(2011-02-04)
■ゼンハイザーIE8(2011-01-31)
■ソニーMDR-EX1000(2011-01-17)
■SHURE SE535(2011-01-13)
■ビクターHA-FXC51(2011-01-12)
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